2020/07/04
昨日のTBS「爆報THEフライデー」で芸能人の見栄晴さんがお母さまが今年2017年5月7日、89歳で亡くなったお母さまが住んでいた実家のゴミ屋敷を掃除していました。
脳脊髄液減少症でも前頭葉に悪影響が出るようで、感情のコントロールができなくなったり、片づけられなくなったりしたので、見ていていろいろと考えることがありました。
番組内容をまとめ、私の感想を書いてみたいと思います。
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ゴミ屋敷と化した家
見栄晴さんのご実家の築40年の家は、大量の遺品の重みで傾いていた。
家のすぐ横を電車が一日460本も走るため、強い振動で、いつ家が倒壊するとも限らない。
なぜ、見栄晴さんのお母さんは、ここまで物をため込んでしまったのか?
ゴミ屋敷への経緯
見栄晴さんは40歳で結婚し実家を出た。
そのためお母さんは79歳でひとりぐらしになり、見栄晴さんが、実家にもどるたびに実家に物があふれていった。
そして、最後はゴミ屋敷状態になった。
これについて、シニアメンタルクリニック日本橋人形町院長 井関栄三 さんによると、「脳の前頭葉の老化によって、関心の範囲が狭まっていって自分の所有物、金銭など身近なものに対する執着心が強くなる。」との説明。
前頭葉の萎縮による高齢者のかたづけられない症状の三段階
①物への執着心の増大
高齢になると、記憶・感情をコントロールする前頭葉が委縮し、新しい物への興味関心が薄れ、身近な物への執着心が強くなる。
② 子供部屋の物置化
子どもが家を出て行き、部屋があまったことにより、不要な物でも何気なく置いてしまう。子供と離れ独居老人になってしまった場合はよりいっそう物をため込みやすい。
③ 物を近くに置きやすい。
体力が衰え、動くのがつらくなると、手の届きやすい身近なところに物を置くようになり、気が付けば家全体が物で一杯になっている。
片づけられないお母さんと、かたづけない見栄晴さんとがあいまって、ゴミ屋敷状態に。
転倒、骨折、病魔の負の連鎖
81歳になった母は、転倒し足を骨折、体が不自由になった母を腸閉塞、心不全、尿路感染と次々と病を患い、営んでいた食道も閉店。
ついには要介護2と診断され、歩くことも困難に。
母がため込んだ物に囲まれながら、5年間自宅で見栄晴さんが、介護した。
今年5月にお母さまが亡くなられ、8月に遺品整理数1万5000件の業界屈指の実績を持つ、遺品整理専門サービスの「ネクスト」に遺品整理を依頼され、家をきれいに片付けた。
という経緯。
私の感想
どうせなら、お母さんが生きていらっしゃるうちに、ショートステイでも利用してお母さまをどこかに預け、そのすきに家をきれいにして見せてあげてから、きれいになった思い出の家で逝かせてあげたらよかったのになと、少し思いました。
見栄晴さんが、六本木での豪遊やギャンブルで1000万円もの借金を作ったのを、お母さんが仕事を増やし、すべて肩代わりして返済したことを、番組では「ダメ息子を決して見捨てない強い女性だった。」と表現していました。しかし、テレビがそういう表現で美化してはいけないな、と感じました。
私は本当に強い母親なら、そんなしりぬぐいなどはしないで、突き放して自分で返済させると思うからです。息子の作った借金は、息子に自分で返済させるべきで、決して母親がしりぬぐいしてはいけないと思うからです。本人に自分で作った問題を解決させないでしりぬぐいすると、いつまでたっても本人が問題を自分で解決できなくなると思うからです。
けれど、お母さまの気持ちもわかります。息子がこしらえた借金を何とか早くきれいに返したかったのでしょう。
医師も知らない、脳脊髄液減少症でも「かたづけられなくなる」こと
話がそれましたが、今回この番組を見たのは、私が脳脊髄液減少症になってから、片づけられない女になったからです。
どうやら、脳は、片づけるという行為で、いろいろな脳機能を駆使しているようです。
まずは、「いるか、いらないか」考えて仕分ける能力。いらないものは躊躇なく捨てる決断力。常にいる、いらないを判断し続け、部屋をきれいに保つ能力などだと感じます。
今回、前頭葉が委縮するのは、「高齢になると、記憶・感情をコントロールする前頭葉が委縮し、新しい物への興味関心が薄れ、身近な物への執着心が強くなる。」と説明されていましたが、私は自分の経験から、年齢が若くても、髄液漏れで、脳は萎縮したり、脳が下がったりすることで機能が低下したりするのではないか?と思います。
ただし、昨日まで元気だった若い人が、すべって転んだり、頭や腰を打ったりして髄液が漏れはじめた場合、年齢が若いだけに、片づけられない症状が出ても、誰も「前頭葉の萎縮」だなんて思わないだろうし、ましてや「髄液漏れによる前頭葉の機能低下」が原因、などとも考えないでしょう。
ただの、「だらしがない人」ということで終わりのような気がします。「頭が混乱するとか、物が片づけられなくなった」という主訴で、脳脊髄液減少症を疑える医師は、現在はまだほとんどいないと思います。
だって、そういう症状が出ることを医師が知らないと思うからです。
知っているのは、体験した患者だけでしょう。
また、家がゴミ屋敷化する原因の3番目に「物を近くに置きやすい。」があげられましたが、脳脊髄液減少症の私も、物を近くにおいておきました。
ですから、高齢になって体力が衰え、動くのがつらくなるから、手の届きやすい身近なところに物を置くようになる、ということだけではないのです。
脳脊髄液減少症になっても、若くてもだるくてしんどくて動けなくなったり、手足の力が抜けて家の中ですら移動や家事ができなくなるために、一つの部屋ですべてをこなすようになったり、手が届く範囲に何でも置いてぐちゃぐちゃの中で過ごさざるを得なくなったりするのです。
そこまで動けなくなっても、寝たきり状態になっても、医療現場で世話をしてもらえるような環境が、脳脊髄液減少症患者にはないから、自宅で過ごすしかないからです。
動けないことの他に、記憶障害のために、物を身近なところに置かざるをえなくなります。
脳脊髄液減少症での、記憶障害で、見えないところにしまい込んでしまうと、そのこと自体を忘れてしまうために、使うもの、大事なものは、常に目につくところにおいておいて、毎日見ることによって、その場所にそれがあるということを、毎日繰り返し覚えないと、どこに何があるのかがわからなくなるために、身近な目につくところに、すべておいてしまうのです。
こんなことが、脳脊髄液減少症患者の体と脳で起こっているなんて、前頭側頭型認知症や、レビー小体認知症に詳しい医師もおそらくご存知ないことでしょう。
実は私は今振り返ると、「前頭側頭型認知症」や「レビー小体認知症」と似た症状も経験しています。
これからは、認知症だけでなく、脳脊髄液減少症について深い知識と、早期発見と早期治療ができる医師がいないと、高齢者だけでなく、若い世代の「かたづけられない症候群」の中に潜む、脳脊髄液減少症を早期に見つけて回復させることは不可能でしょう。
もし、脳脊髄液漏出症や脳脊髄液減少症が原因での、前頭葉の機能低下による「かたづけられない・捨てられない症候群」なら、髄液漏れを止めることでの治療で回復が可能なのに、
高齢だから、認知症だからしかたがない、治らない。と放置されたり、単なる「だらしがない人間」と放置され続ければ、治療で回復できる人をそのままほったらかしにすることになり、社会的に大きな損失だと思います。
早くそのことに、世界中の医師が気づいて、研究や対処に取り組んでいただきたいと思います。
※もし、私以外に、かたづけられない、捨てられない、という、高次脳機能障害を経験したことのある脳脊髄液減少症患者さんがもしおられましたら、コメントください。
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