2020/07/04
2017年8月27日のゲンキの時間の「かたづけられない」の続きです。
東邦大学 看護学部教授の、岸恵美子先生が、セルフネグレクトについて解説されていました。
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セルフネグレクトとは
一般的に人が生活するのに必要な、食べる・入浴・病院の受診などの行為を、しない、あるいはできない事で、生命・健康・安全が損なわれる状態に陥ること
をセルフネグレクトと言うそうです。
ある調査では、セルフネグレクトに陥った人の6~7割が散らかったままの部屋で生活していることがわかっている。
岸先生の資料によると、最近話題になっている「孤独死のおよそ8割がセルフネグレクト」だそうです。
セルフネグレクトは誰にでも陥ってしまう可能性があるそうです。
岸先生のお話の再現ドラマでは、奥さんに先立たれ、一人残された男性が、家事は奥さんに頼り切りだったため食生活は荒れ、ゴミの分別もよくわからなくなっていた。ゴミを捨てた翌日、近所の人にゴミの分別に対する苦情を受け、このことで周囲の目が気になりはじめ徐々に外出も減り、家の中にこもるようになった結果、室内にゴミがたまっていき、室内がゴミ屋敷になり、セルフネグレクト状態になった。
配偶者が亡くなったショックに加え、周囲とのちょっとした行き違いからセルフネグレクトに陥ってしまうこともある。
セルフネグレクト予備軍チェック
① 昔のカレンダーが貼りっぱなし
② 「いつか捨てよう」と思ってゴミをためてしまう。
③ 賞味期限切れの物が複数ある。
④ トラブルがあっても周囲に相談せず自分で解決しようとする。
(資料提供:東邦大学 看護学部 教授 岸恵美子)
セルフネグレクトのよくあるきっかけ
・転職 転勤 リストラ
・多忙
・引っ越し
・人間関係トラブル
・失恋
・病気 怪我
・配偶者を含めた親しい人の病気 逝去
番組では、セルフネグレクトに陥ってしまった人に接することが多いのが清掃会社の人ということで、ゴミ屋敷の片付け、特殊清掃、遺品整理、生前整理、の清掃会社、東京都江戸川区にある、株式会社「まごのて」のスタッフの方のお話が紹介されていました。
それによると、セルフネグレクトは年配の方だけではないそうです。
この清掃会社の方は数年前、失恋がきっかけで、セルフネグレクトになってしまった20代の女性の依頼を受け、部屋を掃除したそうです。
積極的に話しかけ、最初はあまり話をしなかった20代女性が片づけがすすむにつれだんだん話すようになり、お部屋がきれいになると、だんだんと笑うようになった。その後その女性は結婚し、子供もいて、新たな人生を歩きだしているそうです。
この事例から、セルフネグレクトに詳しい先生が解説されていました。
セルフネグレクトの人への支援方法
東邦大学 看護学部教授 岸恵美子先生の説明によると、
「単に(片づけられない本人の支援で支援者が)片づけるとかゴミを捨てることではなくて、(片づけられない)本人とつながることで、本人が誰かに思いを打ち明けられ、共感してもらえる事が、(片づけられない本人が)「もう1回がんばってみよう」ということにつながっていく。
(片づけをすることによって)家庭の中の環境も再構築だが、自分自身も「再構築」して新たに一歩踏み出すことが、セルフネグレクトの人には大切な支援。」と話していました。
私の感想
失恋でセルフネグレクトに陥った20代女性の場合は、一時的にうつ状態になり、それが原因で、片付け脳である前頭葉の機能が落ちて、セルフネグレクト状態になってしまったのではないかな?と感じました。
健常者が一時的に環境の変化や、精神的ショックなどが原因で、うつ状態などになり、それが原因で、セルフネグレクト状態になるのと、
セルフネグレクトの影に、何らかの脳の生まれつき、あるいは後天的な原因がある場合とがあるので、それらを一緒にしないでほしいと思いました。
健常者の一時的なうつ状態によるセルフネグレクトは時間とともにうつ状態が回復する可能性があり、それに伴いセルフネグレクトからも脱する可能性がありますが、自分の力では回復不能な脳の原因がある場合は、いくら上手に清掃会社の人が話かけて、励まして、その人につながって支援しても、そのたった1回だけでは、いつまでたってもその人はセルフネグレクトからは脱せないと思うのです。
脳に原因があってのセルフネグレクト状態にある人は、片付けの支援者と同時に、医療的支援も必要だと思うのです。
ちなみに、セルフネグレクトのチェックをやってみると、私は②と③が当てはまりました。
あまり見ないところに貼ってあるカレンダーは、ついめくるのを忘れて、数か月前のままになっていたりしますが・・・。これはカウントしません。
④の「トラブルがあっても周囲に相談せず自分で解決しようとする。」というのは、周りに助けてもらいたくても、相談しても相手にされない経験が積みあがった結果、自分で解決しようとするといったほうが正確かもしれません。第一、脳脊髄液減少症での片付けができない困難さなんて、相談したくても、相談に乗ってくれる場も人も皆無です。支援が全くないのですから、自分でなんとかするしかないのです。
なんとかしたくても、なんともならないのですが。
多分、セルフネグレクトに詳しい先生も、私のような存在には、おそらくお気づきになっていないと思います。
セルフネグレクトのよくあるきっかけは、あくまでも、「健康な人」が一時的に心や体のリズムを崩した結果そうなる、という考え方でしょう。
しかし、セルフネグレクトの原因をつくる、脳脊髄液減少症については、ほとんど専門家にも知られていないのが現状でしょう。
もともと、なんらかのきっかけで髄液漏れを起こしていた人が、なんとか生活できていたものが、
それに加え、上に書いてあるような「セルフネグレクトのきっかけ」となるような環境の変化や身体精神状態のストレスが重なれば、簡単に通常の生活ができなくなったり、「片づけできなくなる。」ことでゴミ屋敷になってしまうのも当たり前だと感じました。
脳脊髄液減少症を発症しているにもかかわらず、それが医師にも見逃され、単にストレスとか気のせいとして帰されてしまうと、「人が生活するのに必要な、仕事をする、買い物に行く、栄養バランスよい料理を作って食べる、皿洗いをする、入浴をする、病院の受診などの行為」が、体が症状でつらくてしんどくて、頭がはたらかなくて、とにかくスムーズにできなくなります。
その事で、たとえば、一人暮らしなどで、家族がいない場合などで孤立してしまっていれば、簡単に生命・健康・安全が損なわれる状態に陥ってしまいます。
脳脊髄液減少症の見逃しや、治療しないままの放置は、セルフネグレクトにもつながる可能性がある、ということを、一刻も早く、認知症や、セルフネグレクトの専門家の先生には知っていただきたいと強く感じました。