2020/07/04
きのうの記事にも書きましたが、NHK総合診療医ドクターG「身体症状症」を見て、感じたことの続きです。
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共感してくれるドクターGより、真実を見抜けるドクターG
患者が「痛かったりしびれたりして困っているのに、異常なしだなんてなんだか納得いかなくて」とドクターGにいうと、ドクターGが「痛みやしびれには原因があるはずですよね。」と共感を示しつつも、患者に思い当たる病名を言わせるというシーンがあった。
そこで、患者は、半年前に自分でインターネットで調べたところ、多発性硬化症の症状に一番似ていると思い、神経内科で脳のMRI検査と、髄液検査、誘発電位検査、をしてもらった。
しかし異常なしだと言われたことを明かす。
それを聞いて、ドクターGは「そうだったんですか。体中に痛みがあるだけでも大変な思いをされているのに、その原因がわからいのはつらかったでしょうね。一緒に原因を探しましょう。」と、共感の言葉を言う。
そんなお手本のようなすばらしい共感の言葉で患者を慰める前に、一度は脳脊髄液減少症を疑ってほしい、と私は思いました。
それに、なぜ、患者の前の病院での「異常なし」の情報をうのみにするのか?
患者のいう事の確認をすると同時に、前の医師が何かを見落としているかもしれないと考えないのか?
前の医師の検査結果は正しいとなぜ、その段階で思い込むのか?私は疑問でした。
前の病院の医師からの画像や検査結果など、情報を得たのかもしれないし、改めでドクターGが検査をしたのかもしませんが、たとえドクターGが自分の病院で、神経内科医に患者を回して多発性硬化症の検査をしたとしても、そこの神経内科医が脳のMRIを撮ったとしても、その神経内科医に脳脊髄液減少症の知識がなければ、脳脊髄液減少症はその検査結果から読み解けないから「異常なし」とされるでしょう。
その検査結果がドクターGのところにくるのですから、ドクターGもその「異常なし」を信じるしかないのです。
そして、結果的に、精神的なものによって起こる身体症状でまとめられてしまいがちです。
神経内科医の多発性硬化症の疾患の否定によって、なぜ簡単に「器質的な疾患は考えにくい」=精神的な疾患だと結論づけられるのか?非常に怒りと危機感を感じます。
こうして脳脊髄液減少症は見逃されていくのです。
脳脊髄液減少症は多発性硬化症みたいな症状が実際に本当に起こるのです。
詐病でも、うつ病でも、身体症状症でもなく、脳脊髄液減少症でもあのような症状は起こるのです!。
いくら優しく共感の姿勢で患者に対応するドクターGでも、患者の症状の原因を見抜けず、脳脊髄液減少症を一度も考えることのないまま精神的な症状だと決めつけてしまうことは、脳脊髄液減少症を見逃す危険があり、
さらに患者の症状を悪化させ、最悪寝たきり状態(かつての私)にさせてしまう恐れがあり、非常に危惧を感じました。
理想の医師像
私は、確かに医師は共感の姿勢も大切だとは思います。
それよりなにより、患者の体で起きている症状の原因をさぐり、今ある苦痛を緩和し、最終的に治すことのできる医師であってほしいと願います。
なぐさめと共感はたしかに患者の心を安心させ、癒し、その効果で多少の症状を緩和させる効果もあります。
しかし、隠された原因がもしあった場合、それだけでは患者は救われないです。
ですから、医師には真実を見抜く知識が一番で、共感は二番目であってほしいと思いました。
どんなに患者に寄り添う優しい先生であったとしても、脳脊髄液減少症を見逃されるのではたまりません。
多少つっけんどんで冷たい先生でも、隠された脳脊髄液減少症を見抜いて治してくれる先生がいたら、どちらかと言えば、私はつっけんどんでも治してくれる先生を選ぶと思います。
もちろん、患者に優しく共感的で、しかも脳脊髄液減少症をきちんと見抜ける、両方を兼ね備えた医師がいるならそれにこしたことはないですが。
若い医師のみなさんには、既成の医学知識や、既存の大御所の医師の考え方だけでなく、ご自分の視点で、よりよい考え方、見抜き方、患者の対応の仕方を経験から得ていって、より多くの患者を正しく診断して救っていただきたいと思いました。