リカ場 ~私の脳脊髄液減少症のリカバリー~

原因不明の症状が「脳脊髄液減少症」だった私が、世界中に伝えたいこと

人を死なせないために

time 2016/08/03

人を死なせないために

昨日の記事の続きです。

NHK仕事の流儀の再放送を見た感想です。

自殺予防のプロフェッショナルが
言っていた言葉のいくつかは

救いを求める脳脊髄液減少症の患者側から見ても、
共感できる部分が多かったと思います。

それは、カウンセラーとなる人、相談を受ける側が、

「相談者がカウンセラーに順序立てて話をすることを求めない。相手が思いつくまま、吐き出したい思いのまま、ランダムに話をしても、
それを責めない。」という姿勢。

「カウンセラーは相談者の鏡に徹する。」
「ひたすら相談者の話を聞く。」
「相談者と週に一度面談しつづけ、次の予約を入れ続け、何か月も話を聞き続ける。」
という姿勢です。

もし、
脳脊髄液減少症患者に対して、
こうした支援が、あったなら、
患者はそれだけで、
どんなに救われるかもしれません。

私は、自力で動けるようになってから、
病院の地域医療連携室や、医療相談室の社会福祉士や担当者に
脳脊髄液減少症について、相談したことがありますが、

入院者や、
がん患者の相談には広く門戸を開いていても、

脳脊髄液減少症患者となると、
「どうすることもできないから相談にのれない」といった感じを受けました。

その病院に受診している患者のために、
医療相談室があるのに、
「困ったことがあったら、いつでも相談に来てください。」というスタンスで
医療相談室が設置されているはずなのに、

実質は脳脊髄液減少症患者には
なんの意味もないところだと感じました。

脳脊髄液減少症患者は、

「主治医と地域の医師が連携して診てもらえないこと。」
「自費の治療での治療負担を強いられての家族との軋轢や、それがもとでの経済的問題。」
「働けないこと。」
「周囲の無理解による精神的苦悩」などなど、
カウンセラーの必要性が高いのに、

実質、少なくとも、私の住む地域では、
脳脊髄液減少症患者に対しての、
病院内での相談室での相談支援はゼロだと、感じます。

まず、
肝心の社会福祉士や、精神保健福祉士の方々に、

脳脊髄液減少症患者支援の必要性に、まだまだ気づいておられないと私は感じるし、
いくらその必要性を伝えようとしても、患者の抱える深刻な問題点が伝わりません。

この私の元気そうな姿からか、
脳脊髄液減少症患者に対する、相談援助の必要性に、
興味関心さえ持っていただけない感じがします。

地域の医師たちが、脳脊髄液減少症に対して無理解、無関心であったとしても、

福祉分野の専門家の人たち、
たとえば、相談援助業務をお仕事にされている、
社会福祉士や、精神保健福祉士の方々や、カウンセラーの方々が、

脳脊髄液減少症患者の相談に乗ってくれていたら、
どれだけ脳脊髄液減少症患者は救われるかしれないと、
私は思っています。

そして、
脳脊髄液減少症患者が、自分の苦悩を、
社会福祉士や、精神保健福祉士や、カウンセラーに語りだすことで、

それらの専門職の人たちから、

脳脊髄液減少症患者に巻き起こる、さまざまな問題点が見えてきて、
それが次第に、
社会に伝わって、それまで無理解、無関心だった医師にも伝わり、
看護師や、理学療法士など、医療スタッフにも伝わり、

次第に勉強会などが増え、

やがては、本格的な社会的支援につながっていくのではないか?と
私は思っています。

脳脊髄液減少症患者が、もし何か嘆きを口にして、
それを暖かく家族が受け止め、ひたすら話を聞いてもらえる患者が
いったいどれだけいるのでしょうか?

そんな恵まれた家族を持った患者が、全体の脳脊髄液減少症患者の、
どれだけを占めているのでしょうか?

家族ですら、
脳脊髄液減少症患者の、嘆きや苦悩を聞かず、
怒りの吐き出し場所がなく、
少しでも嘆いたり怒りを吐き出したりすれば、

「嘆いてばかりで、否定的なことばかり言うな!過去を振り返ってもしょうがないだろう?前を向いて歩け!」とか

「これからのことを考えた方がいいんじゃない?」とか、

「そういう後ろ向きの考えがダメなんだ。」とか、

「誰だって痛いところはあるしつらいんだ。」とか

「働きたくないのに、働いている人だってつらいんだ。

「誰だって頑張っているんだから・・・」とか、

言われている脳脊髄液減少症患者も
多いのではないでしょうか?

自殺予防のプロフェッショナルが、
精神的においつめられて相談してくる人たちに、
もし、上に書いたような言動をとったなら、

自殺者を半減することなどできず、
むしろ増やしてしまったかもしれないと感じました。

経済的にひけめを感じている、脳脊髄液減少症患者が、
家族にさえ、脅されたり、
嘆きや悲しみや怒りを吐き出すことを嫌がられたり否定されたり、軽蔑されたり、
それによって黙らされたり、
ただ、叱咤激励されたり、

周囲からも、
マイナーな人だと嫌われ責められ避けられたリ、することは、

脳脊髄液減少症患者をさらに、精神的に苦しめると
私は思います。

第一、
脳脊髄液減少症患者の正直な体験や思いを吐き出しにくい社会では、

脳脊髄液減少症患者の実態など、
表に出てこないために、
そうした問題は、「ないもの」として今後も取り扱われ続けかねないと私は思います。

もし、
脳脊髄液減少症患者に対して、
医師でも、
医療相談室でも、
カウンセラーでも誰でもいいから、

「つらいと思ったらいつでも相談に来てください。」とか、
「いつでも相談にのりますよ。」とか

「話をきくだけならいつでもできますよ。」とか、
言ってくれる支援者が地元にいたなら、

どれだけ
心強かったかと思います。

しかし、
そういう専門職の人には、少なくとも私は出会えませんでした。

何もアドバイスがなくても、
ひたすら、
話を聞き続け、その相談者の話を、否定することなく、聞き続け、
思いを受け止め、
相談者の鏡に徹して、

話をひたすら話すことで、
自分が抱えている問題点を、カウンセラーにひたすら聞いてもらううちに、
カウンセラーが自分の鏡のようになり、
自分の問題点がその鏡にはっきりと写りだす。

そのことで自分の中から自然に解決策も希望も見えてくる。

それが、
「ひたすら相手の話を聞くことで、相手を救うこともある。」ということだと
私は思います。

今まで地元の医師や
カウンセラーに救いを求めてきました。

寝たきり同様の時代から、
自費で高額だった治療と
厳しい自主リハビリを重ねて重ねて、何年も重ねて、

やっとようやく、自力で外出可能になり、
心の問題や、体の症状について、
地域の医師や相談員に、
自分で相談に行けるまでに回復したのに、
いざ行ってみると、

とにかく話も聞いてもらえない、とりつくしまもないといった
印象を受ける人たちが多かったと感じます。

自殺予防のプロフェッショナルの思いである、どんな絶望の中にも光はあるという思い、

「苦しみをただひたすら聞くこと、たったそれだけでも、人間の光になるんだ。」という思いは、
裏返せば、

「相談者の苦しみを、ただひたすら聞かないことは、たったそれだけでも、人を死なせてしまう危険性もある。」ということだと
私は感じました。

医師や福祉関係者が
脳脊髄液減少症患者の苦しみに、無関心で、一切耳を傾けないこと、

たったそれだけでも、
患者を絶望させ、死なせてしまうこともあるかもしれないことに、気づいていただきたいと思います。

本当に
「絶望と希望はいつも紙ひとえ」だと私も思います。

これからは、
医療関係者、福祉関係者にも
もっともっと脳脊髄液減少症に関して、
勉強をしていただき、
少しでも支援の手をさしのべていただきたいと
心から願っています。

自殺予防のプロフェッショナルNPO法人「くもの糸」の代表の佐藤さんが
相談者に別れ際に言っていた言葉
「次の予約もとっておきましょうかね。」の言葉

プロフェッショナルとは?と問われて、
佐藤さんが答えた言葉、

「人がやらないことでもね、やれると信じて、
懸命にがんばり通す。
己を信じてどこまでも前進する人じゃないですか?」

その言葉に、脳脊髄液減少症の存在と回復の可能性を信じて、
多くのバッシングの中、
己を信じてがんばり通してきた主治医の先生たちの姿が重なりました。

脳脊髄液減少症の治療に早くから取り組んできた医師の先生方は、

医療界のほとんどの医師たちの大批判と、大バッシングと、損害保険会社からのバッシング、

ブラッドパッチ治療の後のしばらくしてからの症状の一時的な症状の悪化を
「ブラッドパッチなんて効果がないじゃないか!」と誤解する一部の患者たちの、
批判、

あるいは、ブラッドパッチ後でも回復しない患者のことを記事にするような新聞記事が出ても、

それでも、
脳脊髄液減少症が、身近な事故で起こることを信じ、
治療で回復することを信じ、

「人がやらないことを、やれると信じて、
懸命に、己を信じてどこまでも前進してきた」人たちだと、

私は思います。

「ひたすら私の症状の話を聞き続け、
症状によっては検査をし、必要があれば治療をしてくださり、
何度も何度もお手数をかけるなかなか回復しない、
早期発見、早期治療があまりにも遅れた、本来なら見捨てたいほどの脳脊髄液減少症患者を、
決して見捨てなかった
脳脊髄液減少症の治療に取り組んでくださった医師の先生方は、

脳脊髄液減少症患者の、治療のプロフェッショナルでもあり、
カウンセラーでもあり、
自殺予防のプロプロフェッショナルでもあったのだと、
今、
私は思います。

今後は、
脳脊髄液減少症のプロフェッショナルの専門医の負担を減らすべく、

社会福祉士、
臨床心理士、
作業療法士、
理学療法士、
精神科医
内科医、さまざまな専門科の医師、

医療福祉関係のさまざまな専門家の人たちが、
いろいろな視点と立場から

ご自分たちにできることで、

脳脊髄液減少症患者に救いの手を差し伸べていただきたと
私は願っています。

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自己紹介

lily

脳脊髄液減少症のサバイバーです。私が生きているうちに「原因不明」「異常なし」「精神的なもの」とされたり、何かすでに別の病名がついている人たちの中に、脳脊髄液減少症が隠れている可能性について、広く社会に伝えたいと思っています。

「脳脊髄液減少症を知っていますか」

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