2020/07/04

NHK・Eテレ“ウワサの保護者会~こどもの心身の不調~”を見ての感想の7回目です。
今まで、番組を見る前も含め、私の思いを書き綴ってきましたが、また書き尽くせていません。
今回は、取材に応じてくださった子供さんとお母さんたちの言葉が、あまりにも、私にもそのまま当てはまる、共感できる言葉だと感じたことについて書きたいと思います。
起立性調節障害と診断されて症状が続いて学校へ行けず困っている娘さんと、起立性調節障害の子を持つお母さんの困りごとのどちらの立場からも私はよく理解できました。
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起立性調節障害の人の言葉は脳脊髄液減少症患者の心情と同じ
起立性調節障害と耳鼻科医に診断されて一年たっても症状が良くならず、いまだに朝起きられない、倦怠感などの症状で学校へ行けない高校一年の娘さんが、やっとお昼になって起きてきて、インタビューに答えて話してくれた言葉は、
「やっぱり、普通の生活っていうか、普通に高校に行って、勉強して帰る、みたいな生活を送りたいのに、一人だけ家で寝ているっていうか、ダラダラしてるって思っちゃって、なんかおいていかれているような気持ちになっちゃうことが多いです。」というものでした。
その言葉は、脳脊髄液減少症患者にもそのままあてはまります。
私は、脳脊髄液減少症と診断がつく前から、周囲から直接「なまけもの」「変わり者」あるいは「病弱」と誤解され続けましたから、同じ誤解にあっている脳脊髄液減少症患者も多いと思います。
私も、見た目は元気そうに見えるために、家族にも医師にも「精神的なもの」とよく誤解され、症状のつらさを理解してもらえませんでした。
だからこの高校一年の女の子が周囲から「なんで毎日ダラダラ寝ているの、なんで起きて学校へ行けないの?、なんで働けないの?だらしがない、なまけているだけじゃないの?」と周囲に思われてしまうのを恐れる気持ち、よくわかります。
実際に、そういう風に周囲は思って、中には口に出す人もいますから。
私の場合ですが、当時、医師でさえ、私のその「なまけものみたいな」症状の影に、「脳脊髄液減少症」なんて重大なことが隠されていて、患者は動きたくても、規則正しい生活がしたくても、できない状態にあるってこと、誰も気づけない時代だったんですから。
でも、今も、脳脊髄液減少症について知らない人が多いので、結果的には「脳脊髄液減少症の存在を唱える医師さえ誰一人いなかった時代」とあまり大差ない気がします。
知識がないから、罪もない患者が責められてしまうのです。責められるだけならまだしも、症状の真の原因を見逃してしまい、悪化させて、人生の時間を「誤診」されたまま過ごしてしまうのです。
あまりにも残念なことです。
起立性調節障害の親たちの言葉はそのまま脳脊髄液減少症の周囲の大人たちにもあてはまる
番組の中で語ってくださった起立性調節障害の子を持つお母さんたちの言葉が胸に突き刺さりました。
Mお母さん
『病気(起立性調節障害)だって最初わからなかったので、もうどうしていいやら。もう毎日、ケンカのようになってしまって・・・。
朝からね、「なんで起きれないの?根性で起きなさいよ」、ってもう根性論になってきちゃって。
でも、やっぱり(起立性調節障害は)見えない病気というか・・・・。
ブツブツが出たりとか、高熱が出たりとか、せき込むとか、そういうわかりやすい症状があれば、「根性で起きろ!」なんて言わないですけど、「眠い」(って子供に言われても)(母親である)私自身も毎日眠いし、疲れたり頭痛がしたりすることも日常的なことだから、つい(起立性調節障害と診断されている子供を)責めてしまうこともいまだにあります。』
Aお母さん
『私も病気(起立性調節障害)と認識するまでは、(起立性調節障害と診断される前のこどもを)無理やり起こして、本当に本当に無理やり力づくで起こして、(こどもの)着替えも(母親である)私がさせて、(こどもに)ランドセルもしょわせて、玄関で「行ってらっしゃい。」って(送り出すことを)やってたんです。そしたらある日玄関で(こどもが)もうその場でしゃがみこんで、「無理~!」って泣いてしまって、(母親である自分が)「ああやっぱりこんなことをしててもダメだ」と思った。
という話をされていました。
これらの話は、生々しく自分の経験と重なります。脳脊髄液減少症の私がどんなに苦しい症状を抱えていても、どんなに言葉を尽くしても、周りの人間や医師に伝わらず、「大丈夫、死なないから、そんな症状は誰にでもある。」と無理やり周りの意見に従わされ、つらいし症状を理解されず、助けてもらえなかった経験は数々あります。私の外見からでは、私の感じている辛さはまわりに伝わらないんだと痛感しました。
起立性調節障害を診る医師より、さらに少ない脳脊髄液減少症を診る医師
また、起立性調節障害の医師の少なさについては、起立性調節障害の子を日々見ているも大阪医科大学・小児科医師の吉田誠司さんも
「一般的にも(起立性調節障害は)知れ渡っていませんし、医者の中でもまだ知れ渡っているとは言いきれないですね。」とおっしゃっていました。
Mお母さんは「小児科から(起立性調節障害)の専門の先生に診ていただきたいと思うと、専門の先生があまりにも少なくて」
と困っていました。
医師の大阪医科大学・小児科医師の吉田誠司さんも、
「小児心身症の先生が(起立性調節障害)を診ているんですけれども、外来をやっている先生が少なかったりします。」とのこと。
第一、医師にも起立性調節障害が知れ渡っておらず、起立性調節障害を専門に診る医師も少ない現状では、その医師の中で「起立性調節障害」が実は「脳脊髄液減少症の一症状の可能性」に気づける医師はさらに少ないな、ということは、相当数、こどもの脳脊髄液減少症は見逃されいるな、と私は感じました。
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