2020/07/04
本日夜、
NHKきょうの健康で、4月に放送された
「これも認知症」の
正常圧水頭症について、再放送がありました。
正常圧水頭症についての放送でしたが、
脳脊髄液減少症の私の症状ともかなり重なる点がありました。
人の脳は髄液が増えすぎても、減りすぎても、正常に機能しないようですし、似たような症状が出るようです。
しかし、そのことに多くの人がまだ気づいていないようです。
一般人ならしかたがないにしても、医師が、正常圧水頭症は知っていても、
脳脊髄液減少症については知らないし、治療に取り組もうとしない医師が多いのは
非常に残念だと私は思います。
本日の放送内容とともに、脳脊髄液減少症の私の思いを重ねながら、書いてみたいと思います。
正常圧水頭症には二つのタイプがあるそうです。
sponsored link
正常圧水頭症のタイプ
①くも膜下出血や髄膜炎の1~2か月後に起こる、
後遺症としての二次性正常圧水頭症
②原因不明の特発性正常圧水頭症
(主に高齢者が気づかないうちに、ゆっくりと髄液が貯留して認知症などの症状を起こすと考えられている。)
特発性正常圧水頭症は65歳以上の高齢者の1~2%が発症していると考えられているが、
特発性正常圧水頭症に関する正しい情報が広く知られているわけではないので、
老化、アルツハイマー病と診断されているケースも多いため、したがって正確な頻度は不明。
特発性正常圧水頭症の起こりやすい人
70~80歳代で発症しやすい。
正常圧水頭症の初期症状チェック
【歩行障害】
①両足の感覚が広がった状態ですり足小刻みで歩くようになった。
②方向転換がしづらい、狭い場所が歩きづらい。
【認知障害】
③思い出すのに時間がかかるようになった。
④物の置き忘れ、・予定忘れが増えた。
【排尿障害】
⑤頻尿になった。
⑥尿を我慢できず漏らす。
この【歩行障害】【認知障害】【排尿障害】の3つのグループのうち、2つ以上当てはまれば、
「正常圧水頭症」が疑われる。とのことです。
なぜ3つの障害が一緒に起こるのか?
・貯留した脳脊髄液が、前頭葉の内側を圧迫すると考えられている。
前頭葉は、運動・思考・排尿のコントロールに重要な場所なため、
前頭葉の障害によってこれらの3つの症状がでるのではないか、と考えられている。
正常圧水頭症の歩行障害
・歩くのが遅くなる。歩きにくくなる。
・足ががにまたになる。
・ふらつき
・左右の足の間隔が横に広くなり(脳が不安定であることを感じて、バランスをとるために無意識に足の間隔が広がる。)
・小刻みですり足で歩く。(腕を大きく振って反動をつけて歩く)
・初期は方向転換や狭いところで歩行障害が現れやすい。
正常圧水頭症の物忘れ
・集中しにくい。
・暗算などがしにくい。
・情報処理能力の低下で物忘れなどが起きる。
・思い出すのに時間がかかる。ヒントをもらうと思いだしやすい。
・思考、行動、作業が遅くなる。(頭の回転が遅くなるイメージ)
排尿障害
・患者の70%以上で起こる。
医療機関受診のポイント
【歩行障害】と【認知障害】があったら正常圧水頭症を疑う。
さらに【排尿障害】が加わったら、すぐに受診!。
ところが、多くの人はまだ医療機関を受診していない。
医療機関を受診したとしても、物忘れはアルツハイマー病と間違えられたり、
排尿障害については、泌尿器科的な疾患と間違えられて、正常圧水頭症の診断にたどりつかないケースも多い。
正常圧水頭症が疑われる場合の医療機関受診のてがかり
・日本認知症学会や、日本老年精神医学界の専門医がいる医療機関を受診
・窓口として脳神経外科を受診する。
・脳ドックを受ける。
正常圧水頭症の検査
・問診(歩行障害、認知障害、排尿障害の有無や特徴、重症度を評価)
・脳の画像検査、MRI(脳を頭のてっぺんから顎にかけて切ったようなMRI画像で
頭蓋骨と脳の間にある黒い隙間がつぶれて見えなくなっているのが特徴)
・タップテスト(脳脊髄液を約30㏄抜いて、歩行障害などの症状が改善するかどうか症状の変化をみる。症状が改善すれば、正常圧水頭症と診断され、髄液シャント術が有効であるという予測ができる。)
正常圧水頭症の髄液シャント術
髄液シャント術とは、直径約2ミリの細い管を体内に入れて、過剰になった髄液を排除する。
①V-Pシャント術 (従来から行われていた髄液シャント手術)
脳室から直接、管を腹腔にながす。
頭蓋骨に小さい穴をあける必要がある。脳を傷つけるリスクもある。
②L-Pシャント術 (近年日本で数多く行われるようになってきた髄液シャント手術)
腰部のくも膜下腔から腹腔に髄液を流す。
頭蓋骨に穴をあける必要もないし、脳を傷つけるリスクもない。
L-Pシャント術の新しい情報
今までは、この手術がどれくらい正常圧水頭症に有効であるかの研究はなかったが、
我が国で最近行われた研究では、L-Pシャント術を受けた水頭症の患者さんの65%に生活の自立度の改善が見られた。
L-Pシャント術の注意点
腰椎に変形が起こっている人は、L-Pシャント術は難しい。その場合はV-Pシャント術が勧められる。
正常圧水頭症は頻度の高い疾患
・他の認知症と違って、早期に適切に治療をすることによって日常生活に支障のないレベルにまで
改善できる。
・頭部のMRIで発見しやすい。
・物忘れに歩行障害、排尿障害が加わった場合は一度、医療機関を受診する。
「治る認知症」をよりよく治すためには早期診断が最も大切。
といった内容でした。
★ここからは番組の内容ではなく私個人の見解ですが、
実は、脳脊髄液減少症の私も、
正常圧水頭症の
・歩行障害
・認知障害
・排尿障害の
この3つのグループの症状のうち3つ全部が当てはまります。
歩行障害は小刻み歩行というよりは、パーキンソン症候群とも言えるような、
カクカクとしたなめらかでない歩き方になったことがありました。
加えて、がにまたになりました。
それは、ふらつきのバランスを無意識にとるためというより、足首に力が入らなくなり足首を外側から
花魁歩きのように、振り回すように歩くようになったためだと自分では思います。
歩行障害ひとつをとっても、
ひざから下に力が入らなくなったり、ひざから上に力が入らなくなったり、日によって、症状は
変わり、症状が固定していませんでした。
がにまた歩きをたびたび周囲から笑われました。
脳脊髄液減少症では、症状としていろいろな現象が人体に起こりますが、
それが周囲に病気の症状として起こっているという認識がないために、からかわれやすく、
それがとても悲しかったです。
子供に脳脊髄液減少症のこれらの症状が起こり、周囲の誰もがその事実に気づかず、治療もされずにいれば、
本人は引きこもりになってもおかしくはないし、
周囲の無理解は、いじめの原因にもつながると思います。
物忘れ、置き忘れ、しまい忘れ、数分前の自分のやったことまで忘れる記憶障害はもちろん
家に帰る道を迷う、今まで読めていた本やテレビの内容がわからなくなるといった、認知障害というよりも
高次脳機能障害と言った方がピッタリくるような症状もありました。
頻尿、多尿、切迫性尿失禁のような症状もたびたびでました。
その症状は家にいるときならまだしも、外出時はとても深刻で、パンツタイプの紙おむつのお世話にもなりました。
したがって、正常圧水頭症を疑うような症状の患者の中にも
脳脊髄液減少症患者がいると考えられると思います。
しかも、
正常圧水頭症でさえ、
アルツハイマー病や泌尿器疾患と誤診されやすいのが現状なら、
脳脊髄液減少症なんて、見逃される、誤診されるのが普通なのではないでしょうか?
しかも、
脳脊髄液減少症は、
脳のMRIや脳ドックでは発見されることは難しいと思います。
たとえ、
日本認知症学会や、日本老年精神医学会の専門医がいる医療機関を受診することや、
・窓口として脳神経外科を受診したり、
・脳ドックを受ける。などのことをしても、早期発見は少なくとも現状では難しいと思います。
二つの学会のホームページで自分の地域の医師を調べてみましたが、やはり
脳脊髄液減少症の専門医はいませんでした。
実際、私は、正常圧水頭症の専門医であるなら、
脳脊髄液減少症に対しても、興味関心を持って、学びを深めておられ、
真剣に患者と向き合ってくださるかもしれないと、ずっと医師を地元で探し続けてきましたが
何年たっても、見つかりません。
今現在、
地元で相談に乗ってもらえる脳外科医にも神経内科医にも巡り合えません。
一口に、
正常圧水頭症の専門医を探すてががりをNHKで放送してくださっても、
現実はそんなに甘くありません。
実は頻度が高い疾患なのに、医師に認知度が低いというだけで、患者の早期発見、早期診断、
早期治療はおろか、見逃し、と誤診が横行しているのが現実ではないでしょうか?
少なくとも私の住む場所では、脳脊髄液減少症患者の実際の医療機関での医師の対応の経験から、
そう思います。
手塚治のブラックジャックの漫画にも登場するぐらい、
昔から、その存在は知られていたはずの正常圧水頭症でさえ、医師に認知度が低く、早期発見してもらえないようでは、
脳脊髄液減少症が、いかに「実は正常圧水頭症より頻度が高く、発症年齢が広く、早期発見が遅れると悪影響が大きいか」に
医師が気づいて、真剣に学びはじめ、研究し、患者の早期発見と治療に本気で取り組みはじめてくださるのは、
まだまだ先の未来の話になる気がします。
せめて、患者や家族自身が、
脳脊髄液減少症でも、正常圧水頭症と似た症状が出るということを知っておいてもらいたいです。
症状は似ているのに、脳のMRI画像で正常圧水頭症ではないといわれたら、
絶対、念のために、なんて、タップテストはしないでほしいです。
だって、もし、
髄液が減少していることで起こっている、「正常圧水頭症」のような症状であったとしたら、
タップテストで髄液を30㏄も抜いたら、きっと症状が劇悪化すると思いますから・・・。
もともと髄液が減っていて症状が出ていたのに、
医療行為でさらに症状が劇悪化した私みたいに・・・。
すべての医師の頭の中に正常圧水頭症や、脳脊髄液減少症の知識が普及するのが、まだまだ先だとしても、
せめて、患者と家族は、
自己防衛のために、
正常圧水頭症と、脳脊髄液減少症の症状と、
その類似性については、
知っておいてもらいたいと思います。
今週、NHKのきょうの健康のアンコール放送で、4月に放送された、「これも認知症」シリーズが4回放送されましたが、
最後の「正常圧水頭症」を見て、何度見ても、私は、
正常圧水頭症でさえ一般に知識が普及しておらず、医師にも見逃しが多いのに、
脳脊髄液減少症なんて、もっともっと、一般人はもちろん、医師も、知らないのが現実ですよね、と
ため息がでました。
NHK、きょうの健康では、いつになったら、「脳脊髄液減少症」を取り上げてくれるのでしょうか?
「確かな情報をお届けする。」番組ですから、まだ「確か」だと思えないうちは、
放送されないのでしょうか?
最後に「正常圧水頭症」の放送の最後の方で、講師の先生が言っていた言葉が印象に残りました。
『「治る認知症」をよりよく治すためには早期診断が最も大切。』という先生のお言葉。
でもね、先生、
「治る認知症」としての脳脊髄液減少症をご存じですか?って、
言いたくなりました。
おそらく水頭症に詳しい精神科医の先生でも、脳脊髄液減少症にはお詳しくはないでしょう?って・・・・。
正常圧水頭症みたいな症状の、脳脊髄液減少症を知っていますか?と。