2020/07/04
昨夜の(2017年5月31日放送)のNHK総合診療医ドクターGを見て、がっかりしました。
なぜがっかりしたかそのわけを書きたいと思います。
簡単に言えば、 この番組の医療監修の医師でさえ、脳脊髄液減少症をもしかしてあまりよくは知らないのでは?と思ったからです。
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「詐病」は疑っても「脳脊髄液減少症」は疑わない医師
その前の、「右胸が痛い」の回で「身体症状症」の診断に至ったとき、見ていた私は、
ドクターGが「詐病」は疑っても、「脳脊髄液減少症」は一度も疑わなかったことにとてもがっかりしました。
それなのに、この番組の作成過程での医療監修医でさえ、私のような違和感を抱かなかったとしたら、それは絶望的なことだと感じて、がっかりしたからです。
昨日放送された検証番組の中で、2009年の「吐き気」の番組の回を、この番組の医療監修医が改めてその回の医師の診断に至った頭の中を解剖し解説するという内容容になっていましたが、
「吐き気」の症状から疑われる疾患のリスト100個の病名の中に、なぜか、脳脊髄液減少症の病名が書いてありました。
これはとても不自然に感じました。
本当に、その時、その当時出演されたドクターGの頭の中に、吐き気がでる病名リストの中に、脳脊髄液減少症があったとでも言うのでしょうか?
そんなはずはないと、私は思います。
2009年当時の総合診療医の頭になかに、吐き気から脳脊髄液減少症を疑える医師など、いないに等しいはずです。
当時は、脳外科医ですら、脳脊髄液減少症の存在すら否定する人が大勢いたのですから。
昨年やっと脳脊髄液漏出症の治療であるブラッドパッチ治療が健康保険適用なり、あれから1年たった今でさえ、脳脊髄液減少症の不定愁訴に詳しい医師は少ないままですし、総合診療医だからと言って脳脊髄液減少症を診断するのは困難は状態です。
なぜなら、もし、総合診療医が脳脊髄液減少症の知識があり、これを疑って病院内の脳神経外科医や神経内科医に診てもらおうとしても、その役割を担うべき、放射線科医や、脳外科医や神経内科医が、脳脊髄液減少症の検査方法や画像の撮るべきポイントの指示や、撮られた画像の見るべきポイントもわからないようでは、治療以前の問題で、診断なんてできないと私は思うからです。
それらの医師たちが脳脊髄液減少症を見つけ出す方法をあまりよくわかっていないままでは「異常なし」という結果が出て、放射線科医や脳外科医や、神経内科医に口をそろえて「異常なし」と言われれば、総合診療医はその「異常なし」をさらに「異常があるのに見抜けないだけでは?」とは思わないだろうからです。
医師も人間ですから、同じ病院内での人間関係も働いている以上大切でしょう。
現在ですらそんな状態なのに、当時のドクターGの頭の中には、吐き気を出す病名リストに、「脳脊髄液減少症はなかった。」というのが本当のところではないでしょうか?
あくまで、2017年5月31日放送の、改めて当時を検証してみれば、吐き気の病名リストに、「脳脊髄液減少症」を入れておいた方がいいな、というのは、現在の見解であって、その番組が作られた2009年当時は、番組ではその病名は出ていなかったのではないでしょうか?
当時の医師の頭の中は、誰もわかりません。「脳脊髄液減少症が医師の頭の中の病名リストの中にあった。」というなら、
「あった。」ことになってしまうでしょうけれど。
当時の番組を私は見ていないので、事実は何なのかわかりませんが、2009年当時、吐き気の症状に対して、脳脊髄液減少症の病名が実際に放送時上がっていないなら、当時の医師の頭の中には、脳脊髄液減少症は思い浮かんでいなかったというのがむしろ自然でしょう。
それなのに、なぜか昨夜の放送では、2009年当時の放送のドクターGの頭の中に、すでに「吐き気=脳脊髄液減少症」が思い浮かんでいたかのように放送しているのが、何か嫌な気持ちになります。
2009年の番組放送の回でもし脳脊髄液減少症がリストアップされて放送されていたとしたら、その方がむしろ不自然に私は感じます。
いうなれば、時代劇に、携帯電話が出てくるような違和感です。
時代劇の医師が、MRI画像で診断しているような、時代錯誤の違和感を感じます。
当時は医師の頭の中には脳脊髄液減少症はみじんも浮かんでいなかった、とはっきり言ってもらった方がまだ違和感がないです。
さも、2009年当時から、総合診療医は「吐き気を訴える患者を見たら、脳脊髄液減少症という病名も思い浮かんでいました」的な番組構成が、非常に不愉快な感じを私は受けました。
最近、テレビに出てくる他の医師たちを見ていても、さも昔から脳脊髄液減少症を知って患者を支えていた名医のように紹介されるのを見ると私は非常に不愉快です。
数年前まで、あなたの所属するその病院の上の方々は、脳脊髄液減少症を否定していたではないですか?とつっこみたくなります。
「昔は脳脊髄液減少症はあまりよくわかっていなかったから、症状から脳脊髄液減少症を疑わなかったけれど、今は症状から脳脊髄液減少症を疑うようになり、患者を見逃さないようにしているし、日々学びながら少しずつでも治療にも取り組んでいる。」と正直に言っていただく医師は、ほとんど見かけません。
その「吐き気」から疑われる100個の病名のリストの中で、医療監修医は「頭痛がないから頭の疾患は否定的だと、脳脊髄液減少症も含む「頭の疾患」のリスト全体を「頭痛がないことだけで否定」しました。
これは頭痛がなかった脳脊髄液減少症の私の場合は「吐き気」はあったので、私のような脳脊髄液減少症患者は見逃されるということを意味します。
「頭痛がないだけで脳脊髄液減少症ではない」と診断するのは明らかな過ちだと思いますが、それが今の医師たちひ広がっている「脳脊髄液減少症=頭痛のイメージ」だという証明にもなっているということでしょう。
非常に残念だし、これからも見逃しの危険を感じます。
患者を救えない!ドクターG
先日の「身体症状症」の回を見て、改めて思ったのですが、いくら全国の優秀なドクターGであっても、少なくとも私のような患者の症状から、脳脊髄液減少症は診見抜けないだろうと感じました。
脳脊髄液減少症で直接命を奪われることはなくても、見逃され続けることで、症状のつらさや周囲の無理解を苦にしての自殺や、
高次脳機能障害での事故で、あるいは脳脊髄液減少症が原因での硬膜下血腫を引き起こたり、と結果的に脳脊髄液減少症で命を奪われえてしまう危険についても、おそらく想像していないんだろうな、と感じました。
今後も、私のようなタイプの症状の脳脊髄液減少症患者は、私が脳脊髄液減少症を見逃されていたころとなんらかわりなく、脳脊髄液減少症は今も見逃されかねないなと感じました。
脳脊髄液減少症の私から見たら、「患者を救え!ドクターG」ならぬ、これでは「患者を見逃す!ドクターG」としか思えません。
医師のための学習及び医師称賛番組?
この番組は、医師のための娯楽&教養番組であって、普通の一般人や特に原因不明の症状で苦しんでいる患者が何かを気付くための、知るための番組ではないな、とかねてから思っていましたが、先日の「胸が痛い」の回の「身体症状症」の結論で改めてそう思いました。
「まず、医師ありきで、どうしても原因不明の症状に関しては、「精神的なものが原因での症状であり、そういった場合は患者を受容し、支える。」でまとまってしまう。
出てくる総合診療医は皆完璧であり、神様みたいに、真実を見抜く」ということが前提となっている。
脳脊髄液減少症を見逃され、精神的なものとされた経験のある私は、この番組のつくり方に非常な怒りを感じます。
この番組はまず医師の称賛ありきで、決して総合診療医の誤診はとりあげない。
出てくる総合診療医は見事に患者の症状の原因を見抜く事例ばかり。
見ている人が、医師の診断過程を称賛するための、医師による、医師のための、医師の学習と医師称賛番組だとさえ私は感じます。
医師称賛番組をやるなら、今度は、患者がいかに誤診されたかを検証する番組も「患者を主体」で作っていただかなけば、非常に不公平だと思います。
患者と医師の力関係の中で圧倒的に医師が権力を持っている現状では、医師の誤診ばかりを取り上げる番組なんて、何らかの圧力がかかって、実現は不可能でしょうけれど。
これからも、医師の診断は絶対、医師は神様、出てくる総合診療医には絶対に誤診はない、患者は無能、患者が自分で自分の症状を調べたり学んだりするのは思い込みが生じやすく危険、という番組構成には非常に違和感を感じます。
若い医師に伝えるべきことは、実は先輩医師の誤診経験
いくら経験豊富な総合診療医も今までの人生で誤診があったことは確実にあるでしょうし、それを顔と名前を出して、番組で得意そうに言って、その経験からの教訓を若い医師に伝える医師はおそらくないでしょう。
でも、私は、若い医師に伝えるべき重要なことは、先輩医師の誤診経験からの教訓だと思うのです。
しかし、そんな過去の自分の失敗を、教訓として、声を大にして、若い医師に伝えようとする医師や、ましてや顔と名前を出して、番組で得意げに語る医師もまず、皆無でしょう。
こうして、テレビに出てくる医師たちとその番組の制作者は、これまでもこれからも「出演医師称賛番組」を作り上げていくのではないか?と感じて愕然とするのです。
昨日の5月31日の番組でも、この番組の医療監修医が番組の初めのほうで、「これまで出てきたドクターGがいかにすばらしいか」と伝えると言っていたので、がっかりしました。
今回こそ、医療監修医が今までの医師の番組での診断を「別の視点で斬る!」内容だと思っていたからです。
考えてみれば、医療監修医が、今までの出演番組の医師の診断を、批判したりするわけはないですよね。
それは監修医である医師の自分自身の否定にもなってしまうのですから。
見落とされる脳脊髄液減少症
私のような脳脊髄液減少症が見落とされる確率は、昨日の5月31日の患者の例のような、糖尿病性ケトアシドーシスの比ではありません。
脳脊髄液が漏れて減ったことで人体に起こることがらは、身体症状、精神症状さまざまで、症状が多彩であればあるほど、その原因が脳脊髄液減少症であることに医師は気づきにくいことでしょう。
さらに、脳脊髄液減少症の症状は、時間差で出てくることがあるのです。
交通事故や転倒などをきっかけにして、すぐ何らかの異常が体にあれば、患者もその事故と症状との因果関係に気づけるでしょう。
しかし、転んですぐはなんともなくても、しばらくして症状が出てくる場合、患者が、症状と、数日前あるいは1か月以上前の転んだ出来事が結びつかないことがあります。
そうなると、医師が問診しても、転んだことを忘れていて、患者が言わない場合可能性もあるのです。
そうなると、医師はますますわからなくなると思うのです。
こうして脳脊髄液減少症は見逃され、あるいは精神的なもの扱いされて、さらに重症化する危険を招くのです。
恐ろしいことです。
早く番組制作者側にも、脳脊髄液減少症の見逃されやすさに気づいてほしいと思っています。