2020/07/04
さて、先日高齢者のうつ病についてNHKきょうの健康で放送がありました。
その内容についてと、脳脊髄液減少症患者の私の視点での感想を書いてみたいと思います
sponsored link
高齢者のうつ病の原因
・退職
・身近な人の病気、死
・こどもの自立
・体力の衰え・病気
・加齢に伴う脳の萎縮や血流の悪化
など、環境の変化や、体力の衰え、病気などで、環境的にも体質的にもうつ病になりやすい。
高齢者がよくなる病気とうつの関係
高齢者がなりやすいがん、脳卒中、心筋梗塞などの疾患になるとうつになりやすい。
うつを持っているとそうした病気が治りにくい。
そのため、今までは心と体の問題をわけていたが両方の問題を一緒にあつかうことが大切。
高齢者特有のうつの症状
72歳男性のケース
長年かわいがっていた愛犬を亡くしてから
・不眠
・だるい
・頭痛
・胃痛
などが一か月ほど続く。
・食欲低下 体重が4キロ減少
内科や・神経内科を受診して検査をしてもなにも異常がでない。
趣味のゴルフもしなくなり、自宅にこもるようになる。そのうち
「この病気は現代医療では治らない病気だ。こんなことなら死んだ方がましだ。」と言い出し、心配した妻と
精神科を受診したところ、うつ病と診断された。
脳脊髄液減少症の私の経験からの考え
ここまでの番組の内容で、すでにいくつかの疑問がわきました。
もし、脳脊髄液減少症がその人の人生の中で、
・退職
・身近な人の病気、死
・こどもの自立
の時期に、たまたま発症してしまったら、すべてそれらの環境の変化のせいでのうつにされてしまわないか?
高齢であるがために、たとえ脳脊髄液減少症を発症していても、
・体力の衰え・病気
・加齢に伴う脳の萎縮や血流の悪化
によるうつ病とされてしまわないか?という疑問です。
たとえば、癌などの医師にも世間にも知られた病であれば、
たまたまその人の人生サイクルの
・退職
・身近な人の病気、死
・こどもの自立
のタイミングでがんにかかったとしても、
それらの環境の変化での発症だとは思われないでしょう。
病気の発症時期が、たまたまそういうその人の人生の時期であった、たまたま高齢で体力の衰え・病気・加齢に伴う脳の萎縮や血流の悪化のある身体状況の時に、がんが発症したと考えられることでしょう。
ですから、がんの症状が出ても、それらが、すべて環境のせいで起こったとは思われないでしょう。
しかし、脳脊髄液減少症の場合、症状が起こっても、一般的な検査では異常がでないことから、医師にも脳脊髄液減少症だと見抜くことは難しく、結果的に環境変化などによるうつ病などと誤診される危険が、はるかに高いと感じます。
脳脊髄液減少症と高齢者のうつとの関係
高齢者がなりやすいがん、脳卒中、心筋梗塞などの疾患になるとうつになりやすく、うつを持っているとそうした病気が治りにくいのなら、脳脊髄液減少症でも同じことがいえると思います。
脳脊髄液減少症になると脳の機能が正常に働かなくなりますから、がんや心筋梗塞よりもさらにうつにもなりやすく、うつになると気力体力がそがれますから、脳脊髄液減少症の病名にたどりつく気力も体力もなく、まだまだ医師にも認知度の低い脳脊髄液減少症では、診断にたどりつくことがさらに困難になると思います。
さらに、高齢者の脳脊髄液減少症は、体力の衰え・病気、・加齢に伴う脳の萎縮や血流の悪化も加わりますから、
気力こどもや若い世代の患者よりも、自力で脳脊髄液減少症を診断できる医師にたどりつくことが困難だと感じますし、
うつ病と誤診されることが、他の世代より多い可能性を感じます。
ですから、脳脊髄液減少症の場合、うつ病以上に、きちんと診断できる医師の確保と同時に、心と体の問題を一緒に考えたり支援する専門家が必要だと感じます。
まだ高齢者のうつと脳脊髄液減少症の関係性については、世界中でもまだまだ研究は進んでいないし、知られていないと思います。
検査で異常がでない脳脊髄液減少症
そもそもいろいろな症状がでても、普通の検査では異常がでないことが多いのが脳脊髄液減少症だと思います。
私の場合そのため、脳脊髄液減少症だと診断されるまでに時間がかかりました。
脳脊髄液減少症でも
・不眠
・だるい
・頭痛
・胃痛
などの症状が何か月も続きます。
気持ちが悪く、食べられなくなり、
・食欲低下 体重減少
という症状もも起きます。
内科や・神経内科を受診して検査をしてもなにも異常がでないのも脳脊髄液減少症でも起こります。
そもそも、いくら専門医であったとしても、内科や脳神経外科、神経内科の医師が脳脊髄液減少症の知識がなく、脳脊髄液減少症を疑って脳脊髄液減少症症かどうかを診るための検査をしなければ、他のどんな検査をしても、わかるわけがないと思います。
脳脊髄液減少症での症状が脳脊髄液減少症だと診断されないまま、検査結果で異常がでないからと放置されれば、
「趣味のゴルフもしなくなり、自宅にこもるようになる。」ことも起こりえます。そういう苦しい症状が続いて、思うように動けないのに、医師にも検査で異常がないからと相手にされないことが続けば、
「この病気は現代医療では治らない病気だ。こんなことなら死んだ方がましだ。」と言い出すことは当然の流れだと私には感じます。
そこでいくら、心配した家族が、脳脊髄液減少症の知識がなくひとつも疑いもしないまま精神科に連れていけば、
脳脊髄液減少症の症状に詳しくない精神科を受診してしまえが、今まで検査で異常がないのに症状があることから、
「うつ病」と診断されてしまうことは、それも当然の流れだと思います。
問題は、世間にも医師にも、脳脊髄液減少症の症状が知れ渡っていないために、本人も家族も医師も、すべての段階で脳脊髄液減少症かも?と疑う人が一人もいなければ、他の疾患、病名に誤診されかねない危険が非常に高いということです。
脳脊髄液減少症とは、2017年4月22日現在でも、そういう位置にある疾患だと私は思っています。
脳脊髄液減少症は、うつ病と誤診されるぐらいの症状のうちはまだいいのですが、見逃され続けると身体的精神的に実にいろいろな症状が出てきて、さらに別の病気に誤診されたり、どんな治療をしてもどんどん動けなくなり、寝たきりになることもあるぐらい深刻な状態になります。
そうなってから脳脊髄液減少症だと気づいて、治療をしても、予後は早期発見早期治療した人よりは悪いと感じます。
若いころ発症した脳脊髄液減少症を何十年も放置されたのちに高齢になってから脳脊髄液減少症の治療をしても、寝たきりから回復できない人もいるのではないかと私は想像しています。
本当に何よりも脳脊髄液減少症は早期発見と早期治療が大切だと思います。
高齢者のうつ病の症状
番組では高齢者のうつ病の特徴として
・頭痛 胃痛 息苦しさ しびれ めまいなど、体の不調が多く出る。
・妄想(心気妄想、罪業妄想、貧困妄想)
・不安・緊張でそわそわ、パニックで落ち着かない。→自殺につながることがある。
などがあげられていました。しかし、脳脊髄液減少症でも、不眠、だるい、頭痛 内蔵痛 息苦しさ しびれ めまいなど 私が経験しただけでも体の不調が多くでます。
このうつ病の高齢男性の症例では愛犬を亡くした後にこれらの症状が出てきたそうですが、私の場合、とある環境の変化やストレスのあった時期に、たまたま脳脊髄液減少症の症状がひどかったため、すべて心因性の症状と誤解されてしまいました。
脳脊髄液減少症によって、私は被害妄想はありましたし、不安と緊張、そわそわ、パニックなど落ち着かない症状も経験しています。
妄想について
高齢者のうつ病の特徴として妄想が解説されていました。
妄想とは、“現実にはないことをまるで現実に起こっているかのように考え修正がきかないこと”だそうです。
・「自分は不治の病にかかってしまった。」と思い込む心気妄想
検査をしても体は異常がないのだけれども、自分はとんでもない病気になってしまったのではないか?治らないないか?と思ってしまうこと。
・「周りに迷惑をかけている わびなければ」という罪業妄想
自分はとんでもない大きな罪を犯してしまい、周りに迷惑をかけていてわびなければいけないとずっとそのことばかりを考えてしまう。
・「お金がなくて生きていけない。」と考える貧困妄想。
自分が破産してしまって治療費を払えないんだと思い込む。
が解説されていました。しかしこれについて、私は一時期うつ、心因性と間違われた脳脊髄液減少症患者として、意見があります。
もし、いろいろな体の不調やうつの影に、脳脊髄液減少症が隠れていれば、いくら検査をしても異常がでないために、身体的には異常がないと言われ続け、それによって、病名も治療法にもたどりつかないために、「自分はとんでもない病気にかかってしまったのではないか?治らないのではないか?」と思い悩むのは至極当然のなりゆきだと私は感じます。いろいろ病院めぐりをしても原因不明、精神的なものとされると、それだけもストレスですし、まして、高齢者でない場合でも、症状で働けない、となれば、収入がなく、通院費、ばかりにお金が出ていき、治る見通しもつかず、「皆に迷惑をかけている。」「お金がなくて生きていけない。」などと考えるようになったとしても、それもまた人として少しも不思議ではない自然な反応だと私は思います。
脳脊髄液減少症が見逃されている人のそうした反応が、脳脊髄液減少症を知らない家族や医師が外側からだけ見たら、心気妄想や罪業妄想、貧困妄想に陥っていると思ってしまうこともあるかもしれないと私は考えました。
高齢者のうつ病の診断基準
番組では、高齢者のうつ病の診断基準は
・憂うつ ・興味や喜びの喪失のどちらか一つと
・食欲の異常
・睡眠の異常
・そわそわする、または体が重い
・疲れやすい
・自分を責める
・思考力集中力の低下
・死にたいと思う
のうちのどれかを含めて全部合わせて5つ以上が当てはまること。それに加えて、こうした症状がほとんど一日中2週間以上続き、仕事・家庭などえなんらかの問題があること。と言っていましたが、
脳脊髄液減少症の私で当時を振り返ってチェックしてみると、
・憂うつであり、興味や喜びもなくなり、これらの両方が当てはまり、
・食欲の異常 ・睡眠の異常・そわそわするし体も重い・疲れやすい・思考力 集中力の低下の5つが当てはまり全部で7つが当てはまってしまい、高齢者のうつ病の診断基準に当てはまってしまいます。
抑うつ症状が出るほかの病気
抑うつ症状がでるほかの病気として、
・アルコール依存症
・甲状腺の病気
・認知症
・脳卒中
・パーキンソン病
などが紹介されていましたが、残念ながら脳脊髄液減少症は紹介されていませんでした。
まだ、番組で取り上げられるだけの「確かな情報」になっていないのでしょう。まだまだ精神科医も脳脊髄液減少症での精神症状をご存じない方が多いのですから、しかたがないと思います。今後、精神科医も脳脊髄液減少症の研究に参加が増えれば、いろいろな事実がわかってくると期待します。
高齢者の場合、転倒などが増えますから、転倒でも起こりえる脳脊髄液減少症は鑑別診断に外せないものではないかと私は思いますが、現状では、高齢者の場合、認知症や脳卒中、パーキンソン病との鑑別診断に重きをおいているようです。
高齢者のうつ病が疑われる場合の検査
まず他の病気ではないかを確認するためにさまざまな検査を受けることがあるそうでそのことが解説されていました。
検査には
・CT MRI (脳卒中などの脳に異常がないか調べる。)
・認知症検査 少量の放射性物質を体に投与して、脳の血流を調べる脳血流シンチグラフィ― や問診での認知機能のチェック(どのタイプの認知症かのか判断)
仮性認知症(認知症に見えるうつ病、集中力や思考力が低下するためぼっとするが、認知機能検査では認知機能は正常の場合)かどうかもみる。
そうですが、これについても、うつの症状が脳脊髄液減少症が原因で起こっていた場合は、CTやMRIをやっても、それが脳脊髄液減少症を診るための検査でなければ、脳梗塞や他の脳の異常を診る一般的な脳の検査であれば、脳脊髄液液減少症には気づけないと私は思います。
それなのに、認知症検査をすると、私の場合を思い出すと、認知機能検査の問診にひっかかってしまいそうなほど、物忘れや思考力判断力が低下していたので、正常だとは判断されないのではないか?認知機能が低下していると判断されはしないか?と思いました。
脳脊髄液減少症で結果的に認知機能が低下している場合、認知症に見えるうつ病ならぬ、脳脊髄液減少症で、そういう意味での仮性認知症になりかねないと感じました。
しかも脳脊髄液減少症は、うつ病に見えるけれども実は脳脊髄液減少症ということもありますから、仮性うつ病ともいえるのではないか?と感じました。
まとめ
脳脊髄液減少症は、さまざまな症状がでるのでどんな年代でも他の疾患に間違われかねませんが、特に高齢者は認知症や、高齢者のうつ病と、脳脊髄液減少症との鑑別診断が早く普及することが大切なのではないかと番組を見ていて強く感じました。