リカ場 ~私の脳脊髄液減少症のリカバリー~

原因不明の症状が「脳脊髄液減少症」だった私が、世界中に伝えたいこと

「その原因Xにあり」脳脊髄液減少症

time 2017/05/07

先日の「その原因Xにあり」でくしゃみで脳脊髄液減少症を発症した患者さんの例が放送されていました。

その感想を前回に続いて書いてみたいと思います。

取材に応じてくださり、脳脊髄液減少症について放送を通じて伝えてくださった、患者さんとそのご家族、主治医の先生と、番組で脳脊髄液減少症についてとりあげてくださった番組制作者にも感謝いたします。

ただ、脳脊髄液減少症に長年苦しめられてきた私としては、この放送で世の中に脳脊髄液減少症について伝わった部分とあまり伝わらなかった部分とがあると感じています。

あくまで、私の経験からの個人的な考えや感想です。ご了承ください。

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脳脊髄液減少症について番組を通じて伝わったと思うこと

・くしゃみなど、日常のささいなことで発症する誰にでもなりうる身近な疾患であること。

・脳脊髄液減少症に医師にもなかなか気づいてもらえないこと。

・症状と特徴から脳脊髄液減少症かも?と気づく医師にやっとたどりついたとしても、その疑いが事実かどうか、検査でしっかり判断し診断・治療できる医師が少ないこと。

・そのため、患者が脳脊髄液減少症を診てくれる医師さがしのため、病院めぐりを余儀なくされること。

・脳脊髄液は腰からだけでなく首からも漏れることがあること。

・脳脊髄液減少症には、医師の理解と家族の理解・支えが必要であること。

・脳脊髄液減少症は回復可能なものであること。

・早期発見、早期治療が大切であること。そのためには脳脊髄液減少症に気づける医師が必要であること。

・脳脊髄液減少症の潜在患者が10万人ぐらいはいるということ。

脳脊髄液減少症について番組を通じて伝わらなかったと思うこと

・実は以前は脳脊髄液減少症に否定的だった医師たちも、今は、さも昔から脳脊髄液減少症の治療に理解があったような顔をしていることもあること。

・私が経験した脳脊髄液減少症の症状はテレビでやったような、あんな生易しいものではないこと。(見た目健常者、本人生き地獄&拷問状態)

・発症からそう簡単に脳脊髄液減少症の診断まで行きつく例は少ないと思われ、多くが見逃されている可能性が高いこと。

・症状から脳脊髄液減少症に気づける医師があまりにも少ないこと。

・脳脊髄液減少症を見逃されたり、誤診されたりする方が多いと思われること。

・不登校やひきこもりなどとされている人の中に、脳脊髄液減少症患者が潜在している可能性があること。

・脳脊髄液減少症は、首の痛み、めまい、耳鳴り、頭痛などのわかりやすい症状の他に、精神症状も多種でること。

・うつ、社交不安症、強迫神経症、対人恐怖症、広場恐怖症、被害妄想、など、精神疾患と疾患とされている人たちの中に、脳脊髄液減少症が潜んでいる可能性があること。

・脳脊髄液は増えすぎても水頭症になり認知症、歩行障害、排尿障害を引き起こしますが、脳脊髄液が減少しても同じように認知症、歩行障害、排尿障害などを引き起こすことがあること。そのため、高齢者のそのような症状を呈する人の中に、脳脊髄液減少症が潜んでいる可能性があること。

・高齢者の精神、身体症状の影に脳脊髄液減少症が潜んでいることに気付ける医師があまりにも少ないこと。

・ささいなことで脳脊髄液減少症を発症した人は再発の可能性があること。

・ブラッドパッチ治療が1回で症状が治まる人ばかりではないこと。

・脳の画像に血腫など異常が映らないために、脳のMRI画像などを撮っても、脳脊髄液減少症を見逃される人もいると思われること。

・むしろ、脳のMRI検査から脳に血腫がある場合などは、すぐに入院などの処置をとってもらい医師に真剣に向き合ってもらえる可能性が高いが、脳の画像に異常がなかった場合、脳脊髄液減少症が存在していても、「異常なし」とされ、そのまま帰され、さらに脳脊髄液減少症を疑って、RI検査などをされないまま、放置される可能性もあること。

・脳脊髄液減少症は、日常生活が困難なほどの激しい倦怠感、激しい全身の痛み、思考の混乱など、実にさまざまな症状が出るため、首の痛みや頭痛などがない場合、脳脊髄液減少症が原因での症状だと医師も本人も家族も気づけない場合があると思われること。

・脳脊髄液減少症では、さまざまなホルモン障害もでること。

・脳脊髄液減少症でのホルモン障害は、更年期障害や橋本病と似た症状が出るため、患者の年齢によっては、更年期障害などと誤診されかねないこと。

・寝ても寝ても眠い、動作がゆっくりになる、などの医師にも脳脊髄液減少症の症状だと気づけない症状もあること。

・脳脊髄液減少症は、社会や医師にその症状に対する知識や実際の患者のさまざまな実体験・誤診体験が報道されないため、脳脊髄液減少症だと診断され治療に至れる人より、見逃され、放置されている人の方が多いと思われること。そのため、家族や医師、職場の理解や支えがある脳脊髄液減少症患者ばかりではないと思われること。

・なまけ病、さぼり病、精神的な症状、心気症、などとされ、周囲から適切な支援も受けられず、精神的にも経済的にも追い詰められている患者もいると思われること。

・脳脊髄液減少症の症状としての記憶障害、ダブルブッキング、約束忘れ、ドタキャンなどが、その人の欠点のようにされバカにされたり、責められたり、叱られたりし、人間関係も悪化させる場合もあること。

・脳脊髄液減少症は、低気圧が接近してくるころから症状が出始める人もいること。必ずしも、天気が悪い当日だけ頭痛や痛みなどが出たり、症状が悪化するわけではないこと。

・脳脊髄液減少症を発症してから、何か月も何年も何年も、原因不明とされてつらい思いをしてきた人たちがたくさんいること。

・脳脊髄液減少症をくしゃみで発症して短期間で脳脊髄液減少症の病名を口にする医師にたどりつけ、検査診断治療をしてくれる医師にたどりたのは、かつて多くの医師が脳脊髄液減少症の存在すら否定していた中、一部の医師たちがバッシングを受けながらも必死に脳脊髄液減少症患者と向き合い、その患者と家族たちが脳脊髄液減少症について無知な医師たちと社会に対して患者自ら脳脊髄液減少症の啓蒙活動をし続けてきたおかげであること。その無理解との涙ぐましい闘いを、最近の患者は知らずにいること。そのため、ごく普通の疾患のように当たり前に診断治療されるもので、ただ珍しい疾患を診る医師が少ないように、脳脊髄液減少症に関しても、診てくれる医師が少ないだけだと思い込んでいるふしがあること。

・最近の脳脊髄液減少症の患者さんが、比較的早期発見早期治療に至れるのは、そういう名もない多くの患者や家族が、無理解な医師や無理解な医学界、無関心な社会と、闘い、脳脊髄液減少症について伝え続けてきた結果であることが最近の患者と家族に知られていない現実。最近の患者が感謝すべきは、最近になって脳脊髄液減少症治療に取りくみはじめた医師ではなく、脳脊髄液減少症の無理解と闘い続けてきた医師と患者であるということ。

・脳脊髄液減少症は、髄液がある一定量減って、生産量が減った分を補えなくなった時に発症するように私は感じます。つまり、原因である転倒や交通事故などからしばらく時間がたってじわじわ症状が出てくる場合があるため、原因と症状がむすびつかない場合もあると思われること。つまり、くしゃみが原因ではなく、その前になんらかの転倒などがあったものの、その時はすぐさま症状がでないために本人が気づかないまま日にちがすぎ、髄液が漏れ続け、ある日、くしゃみがきっかけで体内になんらかの圧力がさらに加わってさらにもともとあった髄液漏れが広がったり、新たに髄液漏れが怒ったりすることで、髄液が補えなくなり、髄液量が減って症状が出始め、まるで最後のくしゃみがきっかけで脳脊髄液減少症が発症し、その前にあったかもしれない最初のきっかけがマスキングされてしまう可能性もあると思われること。

・脳脊髄液減少症の信じられないほどの症状は、放送された程度のあんなものじゃないこと。呼吸困難や歩行障害、手足に力が入らなくなるなど、の症状、嗅覚障害や味覚障害などの症状もでること。頭痛だけが脳脊髄液減少症の症状じゃないこと。

・全科の医師にかかわりがある症状がでるのが脳脊髄液減少症なのに、脳脊髄液減少症のことに詳しくない医師がまだまだ大多数であること。

・精神症状に隠された脳脊髄液減少症、難病と間違われている脳脊髄液減少症、不登校・ひきこもりと間違われている脳脊髄液減少症、むち打ち症と誤診されている脳脊髄液減少症、認知症の影に隠された脳脊髄液減少症を含めると、潜在患者は10万人なんかではすまないはずで、全世代に脳脊髄液減少症はさまざまな症状で潜んでいるはずで、実際の潜在患者はもっと多いと思われること。

・運転する人の脳脊髄液減少症が見逃され続ければ、その人が事故を起こしかねないこと。

・首から髄液が漏れるのは決して珍しいことではないこと。ただし、腰から髄液が漏れている場合、腰の漏れを止めてからでしか首の漏れが映らない場合もあるため最初の検査では首からの漏れが映らない場合もあると思われること。

・首へのブラッドパッチは、カテーテルを使わずともすでに脳脊髄液減少症のブラッドパッチ治療に慣れた医師なら10年以上前から行われていること。

・脳脊髄液減少症で命の危険があるのは、なにも血腫がある場合だけではないこと。むしろ血腫がある脳脊髄液減少症患者は医療に手厚く守られ、家族からも支えられるけれど、血腫がない脳脊髄液減少症患者にはなかなか診断がつかず、医師や家族に支えてもらえずそれが原因での死の危険性おあること。つまり、脳脊髄液減少症が原因での症状なのに、周囲の無理解や、つらすぎる身体症状に比べ見た目の元気そうな姿での誤解、働けなくなることでの経済苦、無理解な医師家族、職場などの人々による精神的苦痛での自殺、高次脳機能障害での事故死などが起こりうるということ。

・脳脊髄液減少症の症状が重い人、医師や周囲の理解に恵まれていない人、で深刻な状態に追い込まれている人ほど、こうしたマスコミに登場することができない状態にあるであろうこと。

・昨年春まで、脳脊髄液漏れのブラッドパッチ治療は健康保険適用外で自費治療であったこと。さらに、一部の病院では脳脊髄液減少症を疑って受診した患者の検査まで自費であったこと。それが健康保険適用になったのは、多くの先人たちの努力があってのブラッドパッチの健康保険適用だということ。しかしその事実を最近のブラッドパッチ保険適用の恩恵を受けている患者や家族の多くは知らないこと。

・くしゃみや転倒など、加害者がいないで自分で脳脊髄液減少症を発症した人と、加害者がいる脳脊髄液減少症患者では、精神的苦痛が、加害者がいる脳脊髄液減少症患者の方がはるかに大きいこと。それなのに被害者である脳脊髄液減少症患者に対して、適切な支援制度や相談援助制度が整っていないこと。

・患者が自分で動ける範囲で、診てくれる病院があるとは限らないこと。

・脳脊髄液減少症の疑いだとわかったからと言って、すぐさま2週間の安静点滴が可能な患者の近くに病院があるわけではないこと。

・普通の大人が泣かないことでの患者の涙もろさは、単に病状を知っての普通の感情だとは限らず、脳脊髄液減少症のひとつの症状としての「感情のコントロール障害」涙もろさである可能性もあること。

この手の番組で残念に思うこと

それは、病名をあらかじめ出さないで、放送を見てはじめてどんな病名についての放送内容かがわかること。

これだと、あらかじめ何についての放送があるのかわからず、脳脊髄液減少症について放送されることを、視聴者が知らされないまま番組を見ることになります。

結論を最初から言ってしまうと視聴者は引きけられないため、あえて真相を隠す手法は、テレビに限らず、映画でもよくある手法です。

しかし、それだと最後まで、「何だろう、何だろう」と視聴者を引き付けて最後まで見てもらえ、視聴率を稼げるメリットはあっても、その情報が必要な人、その病名について詳しいことが知りたい人には、見逃し、情報が届かない可能性もあると思うのです。

最近では、「認知症」に関しての放送があるときは、民放のバラエティ番組であっても、きちんと最初に「認知症」に関しての放送があることをあらかじめ視聴者に通知されます。

しかし、脳脊髄液減少症に関しては、それがなされていないと私は感じます。それがとても残念です。

これからはテレビ放送などの際は、あらかじめ「脳脊髄液減少症」についての放送がある番組だとあらかじめ視聴者に通知してほしいと思います。

そうでないと、脳脊髄液減少症に関しての情報を必要としている人たちに伝わらないと思います。

まとめ

脳脊髄液減少症のサバイバーの私からみたら、まだまだ脳脊髄液減少症の全体像や、脳脊髄液減少症が抱えてきた問題点については、視聴者に伝わらない内容だと感じました。

かつてひどかった医学界の無理解とそれと闘うごく少数の医師や患者の闘いの歴史を語ることなしに、脳脊髄液減少症について触れてほしくないと思いました。

その闘いは今なお続いています。

脳脊髄液減少症のサバイバー患者や脳脊髄液減少症患者の治療経験豊富な医師にしか気づけない考えに、まだまだ脳脊髄液減少症についての全体像を知らない医師も耳を傾けて、今後脳脊髄液減少症の研究を進めていただきたいと思います。

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自己紹介

lily

脳脊髄液減少症のサバイバーです。私が生きているうちに「原因不明」「異常なし」「精神的なもの」とされたり、何かすでに別の病名がついている人たちの中に、脳脊髄液減少症が隠れている可能性について、広く社会に伝えたいと思っています。

「脳脊髄液減少症を知っていますか」

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