2020/07/04

今夜のNHK総合診療医ドクターG+は「ずっと疲れがとれない」女性の話題みたいです。
どうせ、激しい疲労感がずっととれない、「脳脊髄液減少症」は番組には取り上げられないんでしょう?
いくら、総合診療医だって、脳脊髄液減少症の病名だけは知っていても、その患者のものすごいしんどさつらさは、絶対想像できませんから、すぐさま入院でも楽にしてあげよう、なんて思わないで家に帰してしまうのがオチです。
見た目では絶対、患者の死にそうな一秒たりとも耐え難い拷問みたいな苦しみが、医師にも伝わらないのが、脳脊髄液減少症だと私は感じます。
だから、人知れず、自殺で亡くなる人たちの中に、髄液漏れ患者が絶対いると、私は考えています。
普通の病気やケガみたいに、すぐさま医療機関に入院でもさせてもらって、家庭や仕事から切り離して、病人として、急を要する患者として、扱われないから、家庭や職場に帰され、あまりのしんどさと周囲の無理解に絶望して耐え難くて亡くなってしまう人もいると思うのです。
私、髄液漏れがひどかった時期は、本当に、「慢性疲労症候群」の診断基準にピッタリすべてあてはまる症状で、ずっと疲れが取れませんでした。
ブラッドパッチ治療を受けて、髄液漏れを何度か止めていただいてから、今は、疲労感はかなり軽くなりました。
さて、しつこいですが、書き足りないことがまだあるので、NHKハートネットTV「忘れられた病~筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群の現実~」を見た感想の6回目です。
今回だけでもまだ、伝えきれないところがあるので、7回目の感想もそのうち書くかもしれません。
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脳脊髄液減少症は医師も知らないのが当たり前
私は「慢性疲労症候群」と診断されている人たちの中に、脳脊髄液漏れの人たちが見逃されていると強く感じています。
繰り返しますが、脳脊髄液減少症でも一日中体を起こしていることさえできないほど、とにかくだるくしんどく、日常生活さえ、困難になります。
とにかく立っていられない、座っていられないのですから、仕事や学校へ行くことは困難です。
手足に力が入らず、ペットボトルのフタをあけることさえ困難です。
食べることも、着替えることも、すべてが重労働に感じました。
それが、かつての私の姿でした。
しかし、今、脳脊髄液減少症のブラッドパッチ治療を受けて、私は、朝起きて、一日中起きてすごせています。夜寝るまで体を起こしていられます。これが何を意味するかわかりますか?
30年以上前、世界中の医師も研究者も誰も、脳脊髄液漏れで、私のような症状がでることを知らなかったことでしょう。
でも、そのころにも髄液漏れ患者がいたのです。
そのころ、現れた病名が「慢性疲労症候群」でした。
当時の髄液漏れ患者の多くは「慢性疲労症候群」と診断されたことでしょう。
だって、そのころ、医師の誰も、脳脊髄液漏れで人体に起こる症状を知らなかったのですから。
今でも、ほとんどの医師が脳脊髄液減少症を知らないことでしょう。
どんなに肩書がある医師であろうが、研究者であろうが、脳脊髄液減少症を体験したことも、数多くの患者を実際に診たこともない人は、同じような症状の患者を診ても「慢性疲労症候群」は頭に浮かんでも、「脳脊髄液減少症」は頭にもうかばないのも当然です。
だって、脳脊髄液減少症の患者の実際も、ブラッドパッチ治療で回復していく患者を見ていないのですから、その存在を信じられないのも、知らないのも当たり前です。
医師が知らないのに、普通の患者が、自分で調べて脳脊髄液減少症にたどりつけるわけがありません。
第一、髄液漏れ患者は、体調が悪いうえに、思考力も判断力も低下して情報を集める気力もない患者が多いのですから。
患者は脳脊髄液減少症を知らない医師の診断でも信じるのが当たり前
どんなに症状がつらくて病院を受診しても、検査に異常がでないから「異常なし」とか言われ(当たり前です、だって脳脊髄液減少症の検査でない他の疾患を見もおつける検査をしているのですから異常なしにでるに決まっています。)どんな医師にも真剣に、向き合ってもらえず、相手にされなければ、心もボロボロでしょう。
そんな時、じっくり話を聞いてくれ、優しく励ましてくれ、それは「慢性疲労症候群だと思います。」と診断してくれる医師が現れたなら、「ああ、やっと私の苦しみに向き合ってくれる医師に出会えた。」と心からほっとしてしまうでしょう。
本当に患者に必要なのは、「回復に至れる原因を現した診断名」
患者にとって本当に大切なのはただの症状に名前をつけてもらえる「診断」ではなく、できることなら、「原因不明で治療法もないような診断名」ではなく、「せめて、回復に向かうスタートラインに立てるような診断名」が大切ではないでしょうか?
でも、どの医師にも相手にされず、体調不良を抱えて苦しんできた患者なら、自分の症状を嘘ではない精神的なものではないと認めて、患者とし手向き合ってくれる医師に出会ってしまったら、、もう、その医師に「診断」をしてもらえただけで、安心しきって、信頼しきって、その「診断」を受け入れてしまうことでしょう。
実は、症状の真相が別にあるなんて、もう、考えもしないでしょう。
その医師が「安静が第一」と言えば、それを実行するでしょう。
どこの誰だかわからないような私のような人間が、
もし、「慢性疲労症候群」と診断した医師を心から信じ切っていて、自分の診断名に少しも疑いももたない人に、「その症状、まったく私と同じですよ。慢性疲労症候群ではなく髄液漏れじゃないですか?一度脳脊髄液減少症の検査を受けてみたいかがですか?もし、髄液漏れならブラッドパッチでその慢性疲労症候群みたいな症状が少しずつでも改善していくはずです。」なんて言ったところで、聞く耳をもたないでしょう。
もしかしたら、慢性疲労症候群の患者会にも、「脳脊髄液減少症?そんな人の言うことなんて聞いてはダメ」と叱られてしまうかもしれません。
私が誰かを救いたくても、相手が私の言うことを少しは耳を傾けてくれなければ伝わりようがないのですが、多くは、医師という肩書のある人のいうことを信用しますから、患者の私の声なんて、情報を必要な人にこそ、届かないのが残念です。
ハートネットTV・取材の盲点
番組の最後の方で、女性の医師と男性の医師が出てきました。
女性の医師は、お顔もお名前も病院名も出して、おられ、おっしゃっていることはごもっともで、本当にすばらしいご発言だと感動しました。こういうお優しい理解ある先生だと、私も心許して信頼するだろうなと感じました。
けれど、おそらく、脳脊髄液減少症のことは全くご存知ないのではないかな?と私は感じました。
男性の医師は、お名前も明かさず、病院も明かさず、お顔だけ出しての取材OKだったようですが、それはとても残念に感じました。つまり、「医師の名前と病院名を明かせば、患者が殺到して混乱をきたすし、これ以上患者を受け入れられないから、名前と病院を明かして取材を受けられない。」ということなんだと感じました。
お名前と病院を明かせば、全国から先生の元に、脳脊髄液減少症の専門医や患者から情報が集まってきて、脳脊髄液減少症という「治る慢性疲労症候群」があることに気づけるいい機会だったかもしれないのに、と残念に思ったのです。
また、番組では
『今年の4月、(慢性疲労症候群について)国も新たな研究班を立ち上げて病気の解明に乗り出しました。立研究開発法人、国立精神・神経医療研究センターでは患者の血液からリンパ球を分離して解析。すると、免疫をつかさどる細胞に明らかな異常が見つかったのです。研究班の班長、(国立精神・神経医療研究センター 神経研究所 免疫研究部 部長)山村 隆さんは「病気のメカニズムを読み解くカギになる」と考えています。』
とのことでした。
山村医師は、
「免疫系が暴走して、脳の中に免疫が入り込んで、炎症を起こしているんじゃないかというのが一つの仮説です。血液を採るだけで、この病気の確立がどれくらいあるか、100%、あなたはこの病気(慢性疲労症候群)にかかっていますよと)言えるような時代が来るという風に私たちは思っております。」
とおしゃっていました。
血液を採って、リンパ球を分離して解析した患者が、実は「見逃され脳脊髄液漏れ」患者だった場合が、まったく考慮されていないからです。
まず、脳脊髄液漏れがわかった患者で、かつての私のように、感染症を繰り返しなかなか治らず重症化するような症状がある、脳脊髄液減少症患者の血液のリンパ球も調べてほしいです。
ひとりの髄液漏れが検査でわかった患者の、ブラッドパッチ前の血液と、ブラッドパッチ後の血液の、リンパ球も比較して異常があるかないか調べてほしいです。
慢性疲労症候群の患者の血液を調べたというけれど、その患者が、「髄液漏れではない」ということを調べもしないで、患者の血液からリンパ球を分離して、調べ、明らかな異常があったと言われても、私は納得できません。
その患者がもしかしたら、髄液漏れ患者で、それが原因で免疫をつかさどる細胞に異常をきたしているのか、それとも髄液漏れとは関係なく、まったく別の疾患としての「慢性疲労症候群」が存在し、それによって、免疫をつかさどる細胞に異常をきたしているのか、その区別がわからないと思うのです。
第一、国立精神・神経医療研究センターのどれだけの医師が、脳脊髄液漏れが人体の脳と体に、さまざまな症状を引き起こすかご存知なのでしょうか?
精神状態も、身体状態も、免疫力も、ホルモンもすべて、正常な時からは、メチャメチャに狂うのが、私が経験した脳脊髄液減少症の真実です。
この真実を、研究に取り込もうともしないまま、慢性疲労症候群として研究班を立ち上げるのもいかがなものかと思います。
慢性疲労症候群を研究するなら、髄液漏れの研究班と、深い連携があってしかるべきだと私は思います。
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