2020/07/04

2018年10月23日(火)放送のNHKEテレ・ハートネットTV「忘れられた病~筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群の現実~」を見た感想の3回目です。
まず感じたことは、患者さんたち、よく取材に応じてくれたなぁということ。
私は脳脊髄液減少症の高次脳機能障害での「後天的発達障害状態」で家の中がぐちゃぐちゃだから、取材になんて応じられない、取材に応じてくれた患者さんに感謝しかありません。
取材に応じてくれる人たちがいるからこそ、こうして番組を見た人が自分が見た感想も書けるのです。
私以外からも反響も他にもあるだろうし、そうしたことで、違った情報が集まってきて、もしかしたらご本人たちの症状の違った視点での治療法にたどりつけるのかもしれないと思います。
番組を見て、ほとんど同じ症状だった私が今動けているのは、偶然の幸運の連続だったのだな、と改めて思いました。
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私の今があるのは偶然の幸運の連続
今の私があるのはつくづく幸運の連続だったのだなと思います。
その幸運とは、
① 脳脊髄液減少症の病名さえ存在しない時代に、症状がそっくりでありながら、たまたま慢性疲労症候群を診てくれる医師に診察してもらいに行かなかったこと。(もしあの時受診していたら、確実に「慢性疲労症候群」の病名がつけられていたでしょうし、そのために自分もその診断に納得してしまい、今まで多くの医師に相手にされてこなかっただけに、病名をつけてくれた医師を信頼し、その後から今に至るまっで他の原因なんて疑うこともしなかったでしょうから、その後もずっと脳脊髄液減少症だとは気づけなかったことでしょう。)
② 激しい疲労感に日常生活をほんろうされながらも、かろうじて動ける時代があったこと。ほとんど動けなくなったことに偶然にも症状が脳脊髄液減少症にそっくりだと気づけたこと。そして、その気づきを元に自分がそうかどうかを確かめるため、残された気力体力を振り絞って家の中でできる範囲でさまざまな情報を集め、行動に出始めたこと。
③ たまたま動けないほど重症になったとき、脳脊髄液減少症の専門医に連れていってくれる家族がいたこと。
④ その時、かろうじて寝台車をレンタルしなくてもなんとか横になりつついける状態であったこと。
⑤ 髄液漏れの箇所がわかって髄液漏れを止めるブラッドパッチ治療を受けられたこと。
⑥ 重症化する前は動かざるをえない状況だったし、脳脊髄液減少症とわかってからも、治療後しばらくして“安静が第一”だとは私は思わず、なんとか動ける範囲で動いたことが手足や脳や体幹のリハビリになったこと。
番組を見て、私が伝えたいこと
仮名で番組当初に出てきたお母さんと娘さんに知らせてあげたい。
10年前に「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群」と診断されたなら、10年前と言えば、まだ「脳脊髄液減少症の存在」でさえ脳外科医や整形外科医、神経内科医でさえ信じる医師は少なかった時代ですから、内科系の医師であれば、他の病名がつけられてしまったとしてもおかしくない時代だったのですよ。と。
私もお母さんと同じく、寝たきり同様の時代があったのですよ。
食器の触れる音が特に聴覚にきつく響いて耐えがたく、光もなぜだかつらくて、それはまぶしさだけでなく、白い明るい光で体がつらくなるんですよ。と。
髪を自分でドライヤーで乾かすことも、疲れてしまってできなかったのですよ。
でかけることも椅子に座っていることもできなかったから、髪を切りに、美容院に行くことさえできなくて、髪は私はどんどんロングヘアになりましたよ。
ロングヘアになれば、また洗髪が非常に重労働で大変になるのに髪を切りに行けない、いけないからどんどん髪が伸びる、よけい大変になる、という悪循環でした。
私も全身が鉛のように重く、音や光にも敏感で一日の大半を暗い部屋で横になって過ごしていたんですよ。と。
でも、私は原因不明の難病「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群」ではなく、治療法もあり回復できる「脳脊髄液減少症だったのですよ。」と。
10年前より今なら、探せば身近で、脳脊髄液減少症の検査も治療もできる医師がいるかもしれませんよ。と。
このサイトでもその情報を発信していますから医師を探してみてください。と。
「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群」の症状とされてきたものが、実は「脳脊髄液漏れ」が原因での脳の不調で起こっていたとしたら、治療を続け、髄液漏れを止め、睡眠がとれるようになって脳も消化管も自律神経も神経もだんだんと回復してくれば動けるようになる可能性もあるんですよ。と。
まずは、自分自身が疑うことをしないと、脳脊髄液減少症は何も始まらないですよ。と。
番組を見て感じた不安
今でも、医師の方から「もしかしたらあなたの症状の本当の原因は髄液漏れかもしれませんよ。専門医を紹介しますからそこで検査を受けてみてください。」なんて言ってもらえる確率は非常に低いはず。
だとしたら、すでに診断名がついてしまえば、そこから他の医師、他の病名を疑っての方向転換はなかなか難しいかもしれないと感じました。
患者も医師も「原因不明の難病」で一度納得してしまえば、それ以上、解決策を別の視点で探すこともなかなかしないでしょうから。
ナレーションでは「日本に10万人はいるといわれるこの病気」とあったけれど、その10万人の中に、どれだけ「脳脊髄液減少症が見逃されているんだろう。」と私は思いました。
病気というより、私は「見えない怪我」だと思っています。
もし、私のように脳脊髄液漏れが原因での症状だとしたら、ただただ安静にしていたところで回復はしません。
「できるだけ安静にすごすこと、それが一番の対処法だと医師から言われている。」とナレーションで言っていましたが、
その医師は、髄液漏れではないと診断した上で「慢性疲労症候群」と診断し、そのようなことを言っているのでしょうか?
もし髄液漏れが原因でのさまざまな症状だとしたら、安静にすることで髄液漏れが止まる場合もあるけれど、髄液漏れが止まらないまま安静にしていたり、髄液が漏れて何年もたって、脳が機能低下して動けないでいると、どんどん筋力は衰え、手足も体幹もプラプラになって、よけい衰弱して動けなくなるという悪循環に陥ってしまいます。私は筋力がなえてしまった経験がありますからそのことを体で知っています。
私自身、ブラッドパッチを繰り返しながらもその間、筋力を落とさないよう、自分でリハビリをし続けて回復する努力をして今があります。
それと気になっていることがあります。ペルパーの仕事をしていたとのこと。髄液漏れの原因はいろいろあるけれど、たとえば過去に交通事故に遭っていて、髄液漏れがすでにあったところに、高齢者介護などで腰に負担がかかった時、急激に髄液漏れが増して症状が悪化することがあると思います。
私がとあるきっかけが原因で実際に劇悪化したからです。
卵が先か鶏が先か?
あと、最初、慢性疲労症候群が感染症と思われたことの意味が私には想像できます。
脳脊髄液減少症の私にも似たような経験があるからです。
髄液漏れると、感染症になりやすく治りにくく、重症化しやすく、感染症によって脱水が起こるためなのか、免疫系のなにかなのかわかりませんが、脳脊髄液減少症の症状が劇悪化するのです。
患者は無意識に、思い当たる発症原因を医師に告げる前に選んでいると思うのです。
患者自身が一番気づきやすく、思い当たりやすいのが、「風邪を引いた。肺炎になった、インフルエンザになった。」という体験でしょう。
だから、「卵が先か鶏が先か」のように、急激に症状が悪化した原因が「あの感染症」だと思い込んでしまう可能性もあると私自身の経験から思うのです。
実は、原因と結果が入れ替わっている可能性だってあるのです。
つまり、髄液漏れがもともとあったから感染症になりやすくなり、その感染症によってさらに症状が劇悪化した、とは考えられないでしょうか?
そんなことを考えるのは、実際にそれらを経験したサバイバーの私だけでしょうか?