2020/07/04

米倉涼子さん「低髄液圧症候群」を告白1~3のつづきです。
一連の放送を見て、改めて脳脊髄液減少症サバイバーの私の感想を書いてみたいと思います。
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米倉涼子さんの思いが患者の私に伝わってきた
2019年10月7日の、「ドクターX」の第6シリーズの発表会で、米倉涼子さんが「30分いいですか?」と前置きして「低髄液圧症候群」について話しはじめたのは、やはりそこには彼女なりのつらい思いや、助けてくれた医師への感謝や、その診断に至るまでの短いながらも、医師たちの見解の違いなどに気づき、なにか気づきがあったのだな、と私は感じました。
彼女は彼女なりに、感じたことや思いを、あの短い貴重なドラマの制作発表の場で話してくれたんだと感じました。
じゃっかん呂律がまわっていなかったことに、私は気づき、それが脳脊髄液減少症で起こることを体験して知っている私は、今後、「ドクターX」のセリフを覚え、スムーズに話さなければならない米倉さんにとって、今後の撮影は試練だろうなと察しました。
脳脊髄液減少症は記憶力も低下するし、呂律もまわらなくなるから。
私の見たところ「大門未知子役の」「大門未知子」というところで2回、呂律がまわっていないように見受けられました。
それが緊張からきたものなのか、低髄液圧症候群の呂律のまわらなさからくるものなのかはわかりませんが。
2019年10月8日の朝の、羽鳥モーニングショーの、レギュラーコメンテーターの玉川さんや、羽鳥さんの、「元気になってよかったね」的な楽観視は私はできませんでした。
でも、そんなこと、健常者の皆さんには想像もできないことでしょう。見た目の元気さだけで「えらく元気で」とは、私が最悪の症状の時にもよく「元気そう」と言われたことからも、言えるように、見た目だけでは本当の症状のつらさしんどさはわからないのが脳脊髄液減少症なのです。
髄液漏れの本当の怖さはそんなもんじゃない
髄液漏れで起こる、低髄液圧症候群。
髄液が漏れて減るから、脳脊髄液減少症という言葉の方が病態を的確に表現していると思います。髄液が漏れて減って、それによって髄液圧が下がった時には、低髄液圧症候群ですが、髄液が漏れて減っていても、髄液圧は寝て計るせいかあまり低くでない人もいるのです。これについてはまた後で。
さて、米倉さんが低髄液圧症候群になって 『まっすぐあるけなくなったりとか、やる気がなくなったり、ご飯食べてても気持ち悪くなったり、(ミュージカルで跳んだり回ったりして)一曲踊ると、もう無理」とか、彼女なりの症状体験を話してくれていましたが、それは私から見れば、軽症患者の症状に過ぎず、私が経験してきた症状とはかけ離れていました。
まっすぐ歩けないどころか、立っていられなくなります。立っていられないどころか体がしんどくて苦しくて座っていられなくなります。座っている姿勢を苦しくて5分と保てなくなります。
やる気が出なくなるどころか、相手の言葉の意味がわからなくなります。相手の日本語がまるで外国語のように聞こえます。テレビを見ても意味がわからなくなります。本を読んでも内容がわからなくなります。本が読めなくなります。
文字がぶれて2重に揺れて見えます。外の景色が現実感がなくなります。立体が平面に見え、歪んで見えます。
味がわからなくなります。
頻尿になります。
おそろしくのどがかわきます。
尿失禁も起こります。
生理が滅茶苦茶になります。
字が書けなくなります。
自分の住所や電話番号がとっさに出てこなくなります。
判断力が落ちます。
慢性的な激しい疲労感で、入浴はおろか、着替えも歯磨きも困難になります。
だから慢性疲労症候群と診断されている人たちの中に、実は脳脊髄液減少症が原因で動けないほどのだるさが出ている人たちがいると私はかねてから思っています。
体のあちこちに、カッターで切り裂かれるような、弾丸を撃ち込まれるようなさまざまなタイプの痛みが走り、激痛に苦しみます。
目の奥がよじれるように痛みます。
四肢に激痛が走ります。線維筋痛症と診断されている人たちの中に、実は脳脊髄液減少症の患者がいると私は10年以上前から思っています。
頭が何かで殴られ続けているように痛みます。
音が耳から脳をかき混ぜる感じ、白い光が目から脳を刺す感じで、とにかく音や光が健常者のものでは耐えられなく、その場にいられなくなり、不審がられたり、家族とのトラブルの原因になります。
感覚過敏はまるで発達障害とされている人たちと同じような感じです。
このことから、もしかして感覚過敏の症状で「発達障害」と診断されている人たちの中にも実は髄液漏れが原因で感覚過敏になっている人がいるのではないか?と私は想像しています。
睡眠リズムが滅茶苦茶になります。不眠、過眠、傾眠、早朝の覚醒、眠りが浅く悪夢ばかり見る。昼夜逆転、とにかく睡眠リズムが狂います。
血圧、脈拍がおかしくなります。正常ではなくなり低すぎたり高すぎたり多すぎたり安静にしているのに、動悸がしたりします。
呼吸が苦してくるしくて、自然に口すぼめ呼吸になるほど、まるで喘息患者が呼吸困難になっているようになります。そのせいで、寝ても覚めても呼吸が苦しく苦しいのにもちろん、病院は相手にしてくれません。酸素吸入なんてしてもらえません。
とにかく症状は多種多様で書ききれません。
詳しくは、ここのブログのトップページに経験した症状をほとんど書きました。
精神的にも見え方聞こえ方、感じ方が正常時とは変化し、それによって、自分が気が狂ったのではないかと思うような不思議な世界に放りこまれます。
逆に考えれば、いかに脳が感覚や味覚、触覚、判断力、記憶、手足の動きを制御しているかがわかります。
脳がこんなにも数々の身体的、精神的支配をしていて、脳が不調になると、こんなにも身体的精神的に不調が出ることに、私は脳脊髄液減少症になって改めて気づきました。
いくら脳や自律神経に詳しい医師や研究者であっても、脳脊髄液減少症との関連性について気づいていない、あるいは関心のない医師や研究者も多いと常日頃から感じています。
本当に恐ろしいのは医師に理解されず、すぐ助けてもらえないこと
手足に力が入らず、歩けないどころか、字を書くことも、食事をすることも、入浴することも、日常生活のすべてが非常に疲れて困難になります。それでも、医師には異常なしと言われ相手にされず家に追い返されます。
米倉さんは、「本当にもう2週間はもう安静のままで」と言っていましたので、それが可能なのは入院だと思うので、早期発見の上に安静点滴入院を2週間もさせてもらえたとしたら、それは本当に奇跡的に幸運な患者です。
上に書いたような症状で、数か月、数年間、数十年、社会人として大人として、健常者と同じように仕事や家事育児を求められたら、どうなるか?想像できますか?
症状も恐ろしいけれど、私がそれより恐ろしかったのは、自分の感じている症状の深刻さがどんな医師にも伝わらず理解されず、すぐに検査治療と助けてもらえなかったことです。
せめて、脳脊髄液減少症に詳しくなくとも、2週間も安静点滴を入院でさせてくれる医師がいたのなら、それだけでもどんなに救われるでしょうか?
そんな医師には、私はいまだかつて出会えていません。
本当の意味での「脳脊髄液減少症の克服」とは
ナレーターが、「米倉涼子さんを襲った突然の病 もう「ドクターX」ができなくなる、一時はそう思ったという米倉さん、いかにして病を克服したのでしょうか?」と言っていたが、
早期発見と早期治療に至れた患者さんは、脳脊髄液減少症の本当に苦しみを味わわずに済んでいるし、「克服」と言っても、脳脊髄液減少症サバイバーの私とはくらべものにならないほど、楽な克服だと感じます。
交通事故、暴力、体育事故などの、自らには原因がない、いわば他人によって引き起こされた髄液漏れという怪我が原因で、脳脊髄液漏れを発症したのに、患者が訴える多彩な症状からでは、内科、眼科、耳鼻科、皮膚科、神経内科、整形外科、婦人科、ありとあらゆる症状が出ますから、どんな科の医師を受診したところでその症状が「髄液漏れ」が原因だとは見抜ける医師もいなければ、髄液漏れの検査なれた医師も放射線技師も、髄液漏れ患者の症例の読影に慣れた放射線科医も、看護になれたナースも、そろっている病院など、ごくごく少数の病院しかないのです。
早期発見、早期治療もなされず、何年も何十年も髄液漏れたままなのに放置され続け、
症状を訴えても訴えても医師には信じてもらえず、検査しても異常がないからと精神的なもののせいにされ、
家族からも、兄弟からも友達からも、誰からも理解されず、孤独の中を生き抜き、
症状によって起こるさまざまな身体症状、精神症状をすべてその人の至らなさや性格の悪さのせいだと周囲から誤解されさげすまれ、からかわれ、
それでも生きるために働かねばならず、何とか治りたくて自分で調べ続け、医師を巡ればめぐるほど、精神的な病の扱いを受け、
どんな医師にも脳脊髄液漏れが原因での症状だと気づいてもらえず、それでも自分で症状から原因を探し続け、月日が流れ、つらくてもつらくても、生き延び、
やっと自分で脳脊髄液減少症に詳しい医師を探し出し、
けれど、何か月も待たねば初診も検査も受けられず、苦痛に耐え、現実から逃れたい気持ち、死んで楽になりたい気持ちから逃れ、耐えて耐えて耐え抜いて、日常生活も家事も仕事も、大人として求められることをなんとかこなしながら生き抜きやっと治療にたどり着き、また検査し、また漏れが見つかり治療し、
地元でも支えてもらいたくて医師を受診すれば、今まで治療してもらっていた医師の悪口をいきなり初対面なのに聞かされ、
それも地元の、何人も何人もの医師に、脳脊髄液減少症の治療に取り組む医師の悪口をいきなり聞かされ、医師の間に広がっていた「脳脊髄液減少症」に対する誤解と偏見に改めて気づかされ、
地元の医師は今まで私を見逃して放り出しておいて、ここまで治してくれた主治医の悪口を聞かされるのもつらく、悲しく、
地元の医師たちの言動にも深く何度も何度も心傷つき、地元で頼れる人もなく、相談にのってくれる専門家もなく、孤立し、
それでも、患者自らが信じる方向へ突き進み、主治医を信じて、検査と治療を繰り返し、もう少しで完治、というところで、再発し、地獄に突き落とされ、
また、駆け込んだ地元医師には、見逃され続け、早期発見早期治療での2週間の安静点滴入院なんてさせてもらえず、夢のまた夢で、いとも簡単に家に帰され、
ここまで脳脊髄液減少症の理解が医師にも広まったと思っていたのに、ブラッドパッチ治療も2016年に健康保険適用になったというのに、
すでに「髄液漏れ患者」とわかっていた私の、症状の訴えさえも、見逃すのだったら、多種多様の症状を初発した患者からなんて、「髄液漏れ」を疑えるはずがないじゃないか、脳脊髄液減少症の医師の無理解さは、今から17年前となんら変わっていないじゃないか!と愕然とし、
それでも、治療してくれる医師を頼り、検査と治療を続け、それで回復し、もし、走れるくらいに、踊れるくらいに、またなったら、それこそ「克服」じゃないですかね?
やって見せますか?私が。もう寿命は迫ってきていますが、生きているうちに、一度脳脊髄液減少症を克服し、回復してからそれから他の病気で死にたいです。
せっかく脳脊髄液減少症で人生を翻弄されながらも病名さえない時代、多くの医師が脳脊髄液減少症を「ありえない」としてきた時代を生き残ってきたのだから、これから、サバイバーとしての「脳脊髄液減少症の克服」を体験してみせたいです。
早期発見、早期治療の低髄液圧症候群患者が、「克服」するのとは、困難さのレベルが違いますが、もし、私ができたのなら、私より放置期間が短い、他の多くの患者にも克服できるはずだから。
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