リカ場 ~私の脳脊髄液減少症のリカバリー~

原因不明の症状が「脳脊髄液減少症」だった私が、世界中に伝えたいこと

発達障害と脳脊髄液減少症

time 2017/05/21

2017年5月21日、NHK特集発達障害について放送があります。

番組案内には

小中学生の15人に1人と言われる発達障害。最新の脳科学や当事者の証言でこれまで誤解されがちだった行動の裏にある理由に迫り、当事者の思いを生放送で発信する。

とあります。
かねてから、脳脊髄液減少症で、まるで発達障害のような症状を経験してきた私は、複雑な思いを抱きました。
「脳脊髄液減少症の当事者の証言と最新の脳科学で、今まで誤解されがちだった脳脊髄液減少症当事者の行動の理由が、解き明かされ、当事者の思いをNHKスペシャルで発信してもらえる日は果たしてこの先くるのだろうか?」と思ったのです。

また、

多くの人にとっては何でもない日常空間が、耐えられないほどまぶしく見えたり、小さな物音が大音量に聞こえてパニックになったり。その独特の感覚・認知が、実は、社会不適応につながる原因のひとつになっていたのだ。

ともありますが、その現象は、脳脊髄液減少症でも起こるのです。
一時的発達障害ともいえる脳脊髄液減少症のこれらの症状を研究すれば、発達障害の方の脳の解明にもつながる、「何か」が解明されるような気がしてならないのです。

脳脊髄液減少症は、そうした発達障害にも似た、高次脳機能障害ともいえるような、見た目ではわからないようなわかりにくい障害もでますし、身体症状は特に、身体障害のように目に見えるものではないものが多く、さまざまな症状があって本人が苦しんでいても、周囲や医師にさえ理解されないということがおこりがちです。

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私が勇気をもらった「自閉症の僕が飛び跳ねるわけ」

以前にも、紹介しましたが、達障害の当事者の証言と言えば、東田直樹さんの本「自閉症の僕が跳びはねる理由―会話のできない中学生がつづる内なる心」でしょう。

これを読まなければ、いきなり飛び跳ねる発達障害の当事者のその時の思いや気持ちは、発達障害ではない人たちには理解できなかったでしょう。

私も脳脊髄液減少症になってから、私に起きている現象(嘘でも縁起でもない本当のことなのに)健常者にも医師にもわかってもらえない、誤解され、避難される、と感じていますから、

突然飛び跳ねたり、その場にそぐわない言葉や行動が出てしまう発達障害の人の気持ちがわかる気がします。

東田直樹さんの事を知って、私も、脳脊髄液減少症の私の誤解されがちな現象のその意味を、当事者の視点から世の中に伝えたい!と痛切に思いました。

認知症も発達障害も、脳脊髄液減少症も、当事者が発信することは、ごくまれだと言われていますが、環境さえ整えば不可能ではないと感じます。

東田直樹さんの場合も、お母さまが、東田直樹さんが小さなころから、文字を書く訓練や、本人が可能なコミュニケーション手段をさぐりながら見つけ、当事者本人の童話を、何かの賞に応募したり、書き溜めた文章を本にしたのも、当事者だけでは無理だったのではないか?と想像します。
おそらくはお母さまを中心とした、周りの人たちの行動があったからこそ、当事者の思いや考え、証言は世に伝えられ、世界に広まっていったのだと私は思います。

それらの条件が整わない、そうした周囲の環境に恵まれない当事者たちが大多数だから、自分でそれらを発信する手段を持ちたくても障害で持てない認知症、発達障害、脳脊髄液減少症などの当事者の思いは、なかなか世にでません。

当事者は発信する手段さえ障害で奪われている

認知症にしても、発達障害にしても、発信できる当事者はごくまれだと、思われがちですが、実はそれは違っていて、環境さえ整えば発信はできる力はあっても、自分一人では伝えたくてもその手段を障害によって奪われ、周囲に手伝ってもらえないために自分一人では発信することができないだけだと私は思っています。

私も、こうしてネット上でなら発信できるようになったのも、たまたま私がもともとなんとかキーボードが打てたことと、インターネットの環境を周囲が整えてくれたこと、こうしたツールでの発信の仕方を手取り足取り教えてくれた人がいたから、こうして当事者の思いをここに書けています。

もし、症状を抱えて動けない、頭がまわらない、字を書くのがつらい、漢字が書けない状態の、治療もされないままの私であったなら、私はこうして自分の考えや内なる思いを、外に出すことさえ難しかったでしょう。

周囲の誰もがパソコン、インターネットというツールを与えてくれたからこそ、手書きの文字が書けなくても、キーボードを打つことで考えを表現できるようになったのです。

東田さんも、お母さまの考えられたツールを与えられたからこそ、ネットでブログを書いたり、本を出版したり、内なる世界を表現し外の世界の人たちに伝えることができたのだと思います。

私も、脳脊髄液減少症の当事者の思いを、パソコンが見られない環境や世代の人たちにも紙に書いた文字の形にして届けたいと考えたりもしますが、残念ながら、それを手伝ってくれる家族が私の場合はいないのでできないままです。

私自身が脳脊髄液減少症の症状で、まぶしかったり、機械の操作が苦手になったり混乱してできなくなったり、座った姿勢がきつかったりした時、パソコンや携帯の画面を見るより、現実にそこに存在して消えない、いつでも本を開くだけで読める紙の文字の方が目と姿勢的に楽だったので、紙の文字が一部の人たちにとって便利である可能性については想像しています。

ただし、本の場合、現実の物である分、しまい忘れ、置き忘れ、というリスクはあります。

ネットの文字はいつでも接続さえすれば読めてなくならないという便利さもあります。

しかし、パソコンにしても、スマホにしても、それが操作できないような症状もあると私は想像します。

高齢の認知症の患者が、自分でパソコンやスマホで自分の認知症について調べたり、自分と同じ認知症の人の闘病記を読んだりするのが難しいのと同じように、

ある一定以上の年代の脳脊髄液減少症患者や、症状によってパソコンやスマホが苦手になっている患者には、ネット上の脳脊髄液減少症の情報を得ることも困難だと思います。

それは、患者に限らず、高齢の医師にも同じだと思います。

私は、ある一定以上の、高齢の医師にだって、脳脊髄液減少症について知っていただきたいと思います。そしてせめて亡くなる前には、「あの時のあのおかしな症状を訴える、あの原因不明の患者は、もしかしたら脳脊髄液減少症だったのかも?」と気づいたり、若い医師の指導の時に、その気づきを伝えてほしいと願っています。

認知症患者の当事者もそうですが、何らかの形で当事者の思いを発信できている人は、必ず周囲のなにかの支えがあるからだと思います。

周囲の支えなしで、すべて自分だけの力で発信できる患者・当事者がごくわずかなのであって、力さえ借りられればかならず多くの当事者の声は表に出てくるはずだと思っています。

認知症は「痴呆症」から「認知症」に病名が変わったことや介護保険の導入からどんどん理解は広まり、医療福祉関係者による取り組みも盛んになってきました。

発達障害についても、当事者の家族の熱心な活動や発信により、当事者の思いも次第に伝えられるようになりました。

発達障害の理解を広めることの重要さに気づいた出版関係者、TV関係者が興味を持って発達障害について伝えはじめ、それで発達障害について知った人たちも増えたり、それを見た当事者とその家族が声を上げ始めたりと、さらに社会に発達障害についての意識を高める結果となり、それによって伝える側もさらに情報を伝えようとする大きなうねりとなって、それによって理解も広がっていく、といういい循環になっていると感じます。

脳脊髄液減少症当事者の発信

脳脊髄液減少症については、社会が認知し、興味を持ち、さらに情報を求めていくという、認知のためのいい循環にはまだ至っていないと私は感じています。

脳脊髄液減少症について、この間の「その原因Xにあり」のような報道の仕方ではなく、

きちんと、脳脊髄液減少症になにがあったのか?伝えてもらえる日がくるのでしょうか?

どんな風に、多くの医師は脳脊髄液減少症の存在さえ否定し、
どんな風に、保険会社側の医師が脳脊髄液減少症の治療医を批判し続け、
それによって、脳脊髄液減少症の理解はなかなか世の中にも医療界にも広がらず、
何も進まないままただただ年月が過ぎ、
その中で、どんな風に患者たちは陣との医師にも診察さえ拒否され、相手にされず、
医療難民化してきたのか?
こどもの患者の深刻さ異常に、子供を守り育てなければならない大人の患者が、症状を抱えても患者として認めてもらえないことが、何を意味し、どんなに深刻な事態を招くのか、

ごく一部の脳脊髄液減少症患者を見る医師に患者が殺到し、
どれだけその医師たちが大変な思いをしてきたのか、

そのへんのところまで、脳脊髄液減少症をしっかり取材して放送してくれるようなそんな番組が出てくるまで、あと10年ぐらいかかりそうな気がします。

そのころ、私は、もしかしたら、こうしたネットでの発信すらできなくなっているかもしれない。

私が記憶をなくす前に、生きているうちに、私の人生に脳脊髄液減少症が何をしたのかを、書き記しておきたいと思います。

発達障害が、ここまで社会に認知されてきたのは、多くの当事者とその家族が伝えようとして努力のたまものだと思います。

脳脊髄液減少症の当事者の私も、社会の無理解と無関心に負けず、伝えていきたいと思います。

NHK発達障害プロジェクトのように、いつかNHK脳脊髄液減少症プロジェクトが立ち上がることがあるのでしょうか?

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自己紹介

lily

脳脊髄液減少症のサバイバーです。私が生きているうちに「原因不明」「異常なし」「精神的なもの」とされたり、何かすでに別の病名がついている人たちの中に、脳脊髄液減少症が隠れている可能性について、広く社会に伝えたいと思っています。

「脳脊髄液減少症を知っていますか」

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