2020/07/04

今朝(2018年10月29日)のNHKニュースで、50年間無戸籍だった男性が、弁護士の助けを得て、やっと戸籍を取得した話を聞いて、ふと思いました。
もし、無戸籍の人が、脳脊髄液減少症になったらどうなるんだろう?と。
誰もそんなことは考えないのかもしれませんが、脳脊髄液減少症サバイバーの私は、そう思ってしまいました。
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もし、無戸籍の人が脳脊髄液減少症になったら?
もし、なんらかの理由で無戸籍状態にある人が、生きている中で、転んだり、いじめで暴力を受けたり、交通事故にあったり、日雇いの仕事で、工事現場で転落したり、しりもちをついたり、重いものを急に持って腰を痛めたりしたとき、とにかくしんたいに急激に衝撃が加わって髄液漏れを起こしたら、どうなるのでしょうか?
戸籍がある人のように健康保険がないから、あちこちの医師をめぐることもできないでしょう。
戸籍がある人でも、症状からではドクターショッピングを繰り返しても、なかなかたどりつけないような病名や、ましてやほとんどの医師が理解していないような脳脊髄液減少症のようなものには、無戸籍の人がたどり着くのはほとんど無理でしょう。
たとえ“誤診”であったとしても、症状に合致した病名をつけてもらい、それによって社会の支援を受けることさえできないのではないでしょうか?
インターネットが普及した今でも、世間にない情報でも、ネット上には脳脊髄液減少症の情報があっても、その脳脊髄液減少症の情報にたどりつき、自分の症状が似ていることに気づくことさえ難しいでしょう。
無戸籍では小学校も中学校も行けていないで、自宅に親と過ごしていた人もこの日本に潜在してることでしょう。
もし、その人たちが、なんらかの不慮の事故で、脳脊髄液減少症になったとしたら、転んだり、暴力を受けたりして体に衝撃を受けてからすぐ症状がではじめるなら、原因と症状が本人の中でもつながりますが、私のように原因から時間をかけて徐々に症状が出てくるなら、原因と症状の因果関係に気づける人は少ないでしょう。
原因があって、時間差があって、症状が出てきた時、たまたま実は髄液漏れの症状のひとつとして“免疫力の低下”が起こっていて、それでインフルエンザとか、風邪とか感染症になって、それで二次的にさらに症状があって、患者本人が「これはおかしい、あの感染症からだ。」と思い込んだとしたら、その感染症の原因をつくりだした“免疫力を低下させる脳脊髄液漏れの存在”には本人はおろか、医師も気づけるわけはありません。
戸籍があって、ひとりの医師の診断に納得できず、医師めぐりができる人であっても、なかなか“自分の症状と脳脊髄液減少症”がつながらないのに、
ましてや、無戸籍の人では、教育水準からも、持っている知識からも、情報を得る手段からも、医師へのかかりやすさからも、あまりにも戸籍がある人よりも困難が多すぎて、脳脊髄液減少症に気づける可能性はものすごく低くなるような気がします。
となると、働けない、動けない上に、記憶障害、集中力の低下、睡眠障害さまざまな精神症状、耐えがたいだるさ、動きにくさしんどさ、痛みなどの身体症状が現れたら、生きていくことは、戸籍がある髄液漏れ患者よりもはるかに、生き続けるためのハードルが高いことでしょう。
けれど、無戸籍の人が脳脊髄液減少症になったら?なんて考える医療者も、マスコミ関係者も、福祉関係者も行政関係者も、たぶんですが、誰もいないんじゃないか?と私は思います。
だって、戸籍がある人たちにだって、脳脊髄液減少症を知らない人がいるんですから。
大人なら、症状が出たら、なんらかの手段で相談したり、解決することができるかもしれませんが、
もし、無戸籍の子供が“脳脊髄液減少症”になったらどうなるのでしょうか?
その親が子供が症状があって外出できなくなっても、医師に診せることさえしないのではないでしょうか?
ニュースでは中高年の無戸籍者が日本にどれだけいるのか不明だとのこと。
子供から大人まで、いったいどれだけの“無戸籍者”が日本に潜在していて、その中でいったいどれくらいの割合症状を抱えながら医師にもかかれず、原因もわからないまま放置されている人たちがいるのでしょうか?
人間だったら、誰でも風邪をひく可能性があるように、脳脊髄液漏れという怪我だって起こる確率は絶対にゼロではないのですから。
脳脊髄液減少症を見逃されている人たちが、この日本に、この世界中にいったいどれだけいるのかと考えると、ぞっとして、とても怖いです。
その人たちの存在を考えるだけで、自分の過去と重なって恐ろしいのです。
助けてあげてほしい。助けてあげたい。
けれど、私にできることは、ここに書くことだけです。