2020/07/04
こどものころ、父が、とある闘病記を買ってきて、読んだ経験があります。
それは、子供を病気で失った父親のつらい記録だったと記憶しています。
父が闘病記を買ってきたのは、私の記憶ではそれが最初で最後だったから、もしかしたら、当時世間で話題になっていた本なのかもしれません。
つらい内容だったという記憶があるので、子供ながらに闘病記とは「亡くなった人、あるいはその家族の手記」だと私はずっと思っていました。
こどものころは、生きている人が闘病記を書いて、「つらい闘病だったけど、治りました、今元気です。」なんていう闘病記なんて、あるとは思っていませんでした。
そんなものは闘病記じゃないと思っていました。
大人になってから、さすがにそうは思いませんが、死なないでしかも、グズグズ治らない症状抱えた私のような人間が、闘病記を書いたとしても、書いても誰も読まないし、誰も感動させられないし、話題にもならないし、人の役にもたたないんじゃないか?と思ったことはあります。
生きてる患者の闘病記は、人の感動を呼びにくいし、同情も呼ばないから涙も誘いにくいし、話題にもなりにくいけれど、
でも、人の役にたたないことはないんじゃないか?そう思って、私は今、書き続けています。