2020/07/04

医療従事者に感謝を示す行為として、拍手する運動が広がっているようです。
それを美化して報道されるのを見ていて、私はいろいろと複雑な気持ちになります。
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舞台終了後の演者でもないのに、突然、拍手されてうれしいですか?
私がもし、逆の立場で、医療者で、医療崩壊の医療現場で必死に患者を助けようと毎日毎日激務に耐えている時、誰かがどこかで決まった時間に拍手なんかされても少しもうれしくありません。
そんな暇があったら、極力外出を自粛して、自分が患者にならないように、精いっぱいの知恵と努力をしてもらった方が、私は、はるかにうれしいと感じると思います。
あなたはどうですか?
あなたが医療従者だったら、誰かが決まった時間に、自分たち医療者に向けて拍手されてうれしいですか?勇気づけられますか?仕事、また頑張ろうと思いますか?
私は、そんなことをされても、勇気づけられないし、また頑張ろうと思いません。
そんなことをされるより、「今日は外出しませんでした。」「家で我慢しました。」という多くのつぶやきをネットで読む方が、励まされます。
それは、「医療者のあなたを、これ以上大変にしないように、私は、私自身の身を守ります。」というメッセージが伝わってくるから。
どうも日本は、外国から始まった行為にすぐ影響を受ける感じがします。
冷静に考え、日本なら何がベストか考え、すぐ外国での行為を真似しないでほしいものです。
以前、アイスバケツチャレンジとかいって、冷たいバケツの水をかぶる活動とかも日本で連鎖しましたっけ。
たとえそれが誰かを助けるための行為であっても、私は正直ばかばかしい行為に感じました。
「そんなこと、その人の体に良くないのに・・・」としか思いませんでした。
海外の話題を、なんでも日本に報道するのもいいですが、それを真似するのがいい、みたいなニュアンスで報道しないでほしいものです。
日本人は、すぐ海外を真似しますから。
海外では流行っていると報道されても、自分たち日本人にとってベストか、冷静に考えてから行動に移してもらいたいと私は思います。
実は、その行為で傷つく人もいる
医療者が新型コロナウイルス感染症のために、仕事がきつくなっているのに頑張っているこんな時に書いてはいけないことかもしれませんが、私自身が経験している本当のことなので正直に書きます。
「医療者に感謝の拍手を」という運動で、傷つく患者もいるという事実です。
それは、こんな時に言いにくいことですが、「医療従事者によって、繰り返し繰り返し、モラルハラスメントや、だまし、誤診や、嘘やごまかしなど、何度もひどい目にあって、それが心の傷となり、今も医療従事者が怖くて、医師恐怖、医療不信で苦しんでいる人たち」にとって、「すべての医療者に感謝しろ!」って運動が、世界的に広がることが、とても苦しく感じる場合もあるってことです。
そうした運動に、自分が心から賛同できないことに、そんな自分に葛藤し、それでまた苦しむこともあるのです。
そんなことは、当事者でないと気づけないことでしょう。
だから、そんな「医療者に拍手で感謝を示そう」なんて海外からきた風潮に影響されないで、日本ではただ静かに、医療者の尽力に心の中で感謝し、今自分ができること、自分が感染しないように極力努力することを毎日精いっぱい、たんたんとやっていってほしいと思うのです。
一人一人が自分を感染症から守り、それが感染者数を減らし、それが結果的に医療者を応援することになるのではないか?と思います。
ネット上の動画がこれだけはやっている時代、目に見える拍手の動画はわかりやすい応援に見えるかもしれませんが、本当の医療者への応援というものは、「目には見えない地味な日々の一人一人の自粛活動」なんだと私は思います。