リカ場 ~私の脳脊髄液減少症のリカバリー~

原因不明の症状が「脳脊髄液減少症」だった私が、世界中に伝えたいこと

医師も知らない?脳脊髄液減少症の味覚障害③

time 2017/09/20

味覚障害について放送した、NHKチョイス病気になったときを見た感想の続きです。

味覚障害で取材に応じてくださった患者さんたちの表現が、私が体験したことのそのままで驚きました。

たとえば、

仕事を変えたばかりで職場でパワハラとモラルハラスメントを毎日受けていて、味覚障害になった男性の表現では

・スナック菓子を食べた時にすごい塩気がないと感じる。

・チョコレートは固いバターを噛んでいる感じ。

・ラーメンは熱々の噛み切れるひものように感じた。

とのことでした。

おいしく感じられないにもかかわらずその男性は食べ続けた理由は

「この食事ひとつ、このお菓子ひとつ、この一袋食べ終わることには、もしかしたら味覚が戻っているかも?お腹がいっぱいでも、確認したくて食べた。」と話していました。

これらの気持ち、感じ、表現は、私はすごくわかりました。

味が薄く感じ、ポテトチップスを食べても、やけに塩気がすくないなと感じたし、チョコはとけても、そう味のない油みたいでした。

ラーメンはだしの旨みが感じられず、うすっぺらで、塩味がうすく感じました。

ラーメンが熱々のひもっていうのもわかります。おそらく嗅覚も落ちているから口の中で広がる麺の味とともに麺の香りもしないし、ラーメンスープの湯気を嗅いでも、匂いも味も薄すぎるから、結果的に口の中の触覚だけが、強く感じて、「熱々のひも」みたいに感じられるのだと思います。

ストレス性、心因性の味覚障害と、脳脊髄液減少症の味覚障害は、味覚機能は正常にもかかわらず、脳が正しく味を感じられていないという点で共通点があるのかもしれませんし、脳脊髄液減少症の味覚障害は、顔面神経麻痺などの影響もあって、味を感じる神経にも悪影響が出ているのかもしれません。

番組で最初に出てきた、高齢の女性が高血圧の薬が原因で亜鉛が排出されてしまい、亜鉛欠乏によるご自分の味覚障害の体験を語っていました。

それによると、

・和菓子を食べていても何も味がしない。

・イワシの塩焼きや、巻きずしの味も味がせず、カレーパンなど強い香りの食べ物ばかり食べていた。

・次第に食べる量が減っていき、何の味がしないものがこんなに食べられないものかと思うぐらい食べられなくなり、わずか一ヶ月で体重が7キロも減った。

・何も食べられないからぐったり寝ているだけ、何も(食べ物を)受けつけない。

そんなある日の夜中、台所で塩や砂糖などの調味料をなめてみた。どれも何の味もなかったので、これは自分の錯覚ではなく病気だなと思って耳鼻咽喉科を受診し、味覚障害だとわかった。

ということです。

このエピソードの「調味料を直接なめてみた。」というのは、私もしたことがあります。

あまりに甘さ、塩気が感じられなかった時です。

私の場合は、まったく感じられないわけではなく、薄く感じます。だしなどの旨みが鈍くなった感じもしました。

また脳脊髄液減少症の味覚障害の場合は、症状が一定しておらず、日によって味覚障害の程度に差があります。味がうすくなったりもとにもどったりするし、体の痛みやだるさなどのつらい症状に比べれば、味覚障害はあまり苦痛は伴わないので、患者自身もあまり気づかないこともあるのではないか?と私は思います。

脳脊髄液減少症で口の中が苦く感じたり、味覚障害が出るのは、舌の味蕾や、味を感じる細胞のセンサーやその情報が脳へ伝わる情報伝達の途中か、または脳の味を感じる部分のどこかに、異常が生じているのではないでしょうか?

もし、そうだとしたら、脳脊髄液減少症患者の対応を脳脊髄液減少症の専門医である脳外科医だけでなく、味覚障害の相談にのる味覚外来の専門医が協力して対処していかなければ、最初に出てきた高齢の味覚障害の一人暮らしの患者さんのように、次第に食べられなくなり、体が弱り体重が減り、寝たきりになってしまうのではないでしょうか?

脳脊髄液減少症になると動けない→筋力の低下→気力の低下→人に会いたくない→ますます動けなくなる→筋力が低下する。といったような悪循環に入ってしまうことで治らない人も多いのではないか?と私は、想像しています。

味覚障害については食べられずやせることだけでなく、

食べられない→水分や塩分やナトリウムや亜鉛などミネラルの減少→その他栄養素の減少→神経伝達への悪影響→などといった悪循環によって、脳脊髄液減少症のさまざまな障害が改善しない場合もあるように想像しています。

脳脊髄液減少症の場合、症状が多岐にわたるのですが、そのひとつひとつを専門医が連携して対処しているかといったら、そういうことはできていないのが現実だと思います。

がんに関しては、外科医だけでなく、麻酔科などの疼痛管理の専門医、栄養課、リハビリ専門医、ソーシャルワーカーなどさまざまな専門家がチームを組んで支えるしくみがすでに日本中の病院のあちこちでできあがっています。

しかし、脳脊髄液減少症に関しては、そもそもそこまでの医療体制ができていません。

私はかねてから、脳脊髄液減少症の回復には、脳脊髄液減少症の専門医が適切に検査し、髄液漏れの場所をきちんと予測して、ブラッドパッチ治療をすることだけではなく、治療後も定期的に検査や治療を繰り返すことはもちろん、いろいろな診療科の専門医のチーム医療が必要だと感じてきました。

しかし、現実には、そんな脳脊髄液減少症のチーム医療は、少なくとも私の住む地域の大学病院にさえ存在しません。

それどころか、私の住む地域では、「脳脊髄液減少症」がたどってきた今までの医学界でのバッシングも含め、過酷な歴史をなんらご存知なく、まるで、普通の病気やケガのように、当たり前に治療を受けられる疾患だと思い込んでいる、医療関係者が多いのに愕然とします。

真実の歴史や、患者の苦悩をしっかりと理解しないで、真の医療なんてできないと私は思っています。

こうした脳脊髄液減少症の味覚障害について、一刻も早く、せめて味覚障害の専門医には知っていただきたいと思っています。

関連記事:

味覚障害と脳脊髄液減少症

医師も知らない?脳脊髄液減少症の味覚障害①

医師も知らない?脳脊髄液減少症の味覚障害②

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自己紹介

lily

脳脊髄液減少症のサバイバーです。私が生きているうちに「原因不明」「異常なし」「精神的なもの」とされたり、何かすでに別の病名がついている人たちの中に、脳脊髄液減少症が隠れている可能性について、広く社会に伝えたいと思っています。

「脳脊髄液減少症を知っていますか」

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