リカ場 ~私の脳脊髄液減少症のリカバリー~

原因不明の症状が「脳脊髄液減少症」だった私が、世界中に伝えたいこと

“厳しい診断基準”が患者を苦しめる

time 2017/10/12

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一番怖いのは医師の無関心と軽視

私は、自分が脳脊髄液漏れを見逃されて、早期発見早期治療されずにほったらかされてみて感じたことですが、
髄液漏れも場合によっては、脳梗塞と同じぐらい、早期発見早期治療を逃すと取返しのつかない事態になるように感じています。

髄液漏れが微量なら、不定愁訴だけで経過する場合もあると思います。
でも、それでも、一見死ななそうであっても、目には見えない高次脳機能障害などで事故死の危険もあるのです。

ましてや、髄液漏れがひどい場合、様子を見たり経過を見ている間に、どんどんと手足の力が抜けていって、全身まひ状態になったり、起き上がっていられなくなったり、歩けなくなったり、目がぼやけて見えなくなったり、高次脳機能障害が出てきたりするのです。

睡眠障害が出てきたり、発症から治療までの時間がかかればかかるほど、症状は増え深刻な事態になっていくと思います。
場合によっては、呼吸中枢まで障害が出て、突然死するとか、髄液漏れの影響で血管が引っ張られ、硬膜下血腫ができるとか、突然死の危険だってあると思います。

けれど、患者が異常を感じて病院に駆け込んでも、見た目が普通で元気そうに見えるし、普通に歩いて病院に来れる上、血圧とか酸素濃度とかで異常がないと、「経過を見ても大丈夫」と医師は判断して軽視してしまいがちです。

どんな病気やケガでもそうですが、歩いて病院に自分で来れたからといって、患者どんな苦痛を訴えても「がんではない。」とか「心臓病ではない。」「大丈夫」なんて言われることはないと思います。もし、そういう医師がいたら逆に問題です。

でも、脳脊髄液減少症の場合、歩いて病院に一人で行くだけで、多くの医師に普通に「大丈夫」と思われてしまうのです。
私以外の患者さんも、歩いて地元の病院に来れた段階で、遠くの脳脊髄液減少症の専門医を受診できている段階で「脳脊髄液漏れなんてあなたに起こっているはずない、あなたは治っている。」と言われたそうです。

それは、脳脊髄液が漏れて減ると人体にどんな恐ろしいことが起こるのか?について、医師たちは大学で一切学んでいないし、学んだとしても古い概念での「低髄液圧症候群」だけだだから、「脳脊髄液が漏れた人間は歩けない」と思い込んでいるからだと思うのです。

 

低髄液圧症候群とはちょっと違うと思う

低髄液圧症候群は、古くから医師にその存在を知られていたものの、「きわめてまれ」だとされていました。
ましてや、「脳脊髄液圧が低いのではなく、脳脊髄液が減少することが問題だ。」として「脳脊髄液減少症」を提唱しはじめたごく少数の医師に対し、少し前までほとんどの医師が、その存在さえかたくなに否定し続けていました。

実際、私の髄液圧は低めではあっても、正常範囲の最低ギリギリでした。一応正常圧ということになります。

私自身の経験からも「髄液圧」が問題なのではなく、「髄液量」が問題なのだと思います。「髄液量が減るからそれにつられて髄液圧が減る。」のですから。

脳脊髄液漏出症

しぶしぶ脳脊髄液が漏れて減ることを多くの医師たちが認めるために、作り出されたのが「脳脊髄液漏出症」という病名だったと思います。

脳脊髄液が「減る」なんてことは、医学的に証明できないから、脳脊髄液が「漏れる」ということはRI検査などで画像的に見ることができるから「脳脊髄液漏出症」としてならその存在を認め、その治療法としての「ブラッドパッチ治療」を健康保険で認めるということになったのだと私は考えています。
脳脊髄液漏出症の治療としてのブラッドパッチ治療が、健康保険適用になったのは、つい昨年、2016年4月のことです。

(脳脊髄液が減ることが画像的に医学的に証明できないというのなら、なぜ、脳脊髄液が増えるということは画像的に認められ、正常圧水頭症の診断で用いられているのでしょうか?私ははなはだ疑問です。ただ単に、脳脊髄液が減った脳の特徴的な画像を、多くの医師が「脳脊髄液が減った時の脳画像」だと認めていないだけに過ぎないのではないでしょうか?)

脳脊髄液漏出症という、かなり厳しい診断名が現れて、やっとブラッドパッチ治療が健康保険適用になっても、だれでも怪我で発症しうる脳脊髄液減少症に理解を示す医師や専門医は、一年半たった今でも、いまだに地元には皆無です。

ブラッドパッチの健康保険適用には無名の人たちの努力あり

ブラッドパッチ治療の健康保険適用に至るまでに、患者と家族は署名を集めたり、議員さんに頼んで市議会や国会で取り上げていただいたり、それはそれは大変は思いをしました。

子どもの患者のお母さんたちは、必死で厚生労働省や文部科学省にお願いに何度も何度も行きました。

多くのお母さんたちに、「身近な事故後遺症」だと訴え続けても、なかなかお母さんたちに広まりませんでした。

それは「脳脊髄液減少症」「脳脊髄液漏出症」という、一見、転んで起こるような身近なケガには思えない病名、まるで希少難病みたいな病名からの「自分たちには関係ない」というイメージもあると思います。
なかなか世間に理解も知識も広がりませんでした。

治療の健康保険適用はゴールではなく理解のスタート

診断基準があまりに厳しすぎ、液漏れの画像が写らない場合、いくら、患者に症状があっても、「ブラッドパッチ治療」が健康保険適用にならないという弊害を作ってしまいました。

ブラッドパッチ治療の健康保険適用の恩恵を受けられるのは、ごく一部の「髄液漏れの典型例」のチャンピオン画像が撮れた人たちだけに限られるという、厳しさなのです。

だから「脳脊髄液漏出症」の診断基準をクリアして、治療を健康保険で受けられるのは、全体の「髄液減少」が疑われる患者のごく一部の患者たちだけなのです。

画像に髄液漏れがはっきりと映らないと、患者は健康保険適用で治療を受けられず、どうしても患者がダメ元で治療をしてみたいと望めば、自費で「ブラッドパッチ治療」を受けるしかないのです。
で、それで実際に治ることもあるのですが、(画像には映らない漏れも実際に存在すると私は思っています)が、

そういう場合も今まで「ブラッドパッチ治療」を「おまじないみたいな治療」と軽蔑してきた医師たちは、不定愁訴にブラッドパッチ治療が効くのは「患者の精神的なプラセボ効果」だなんて言い続けてきた医師たちは、やはり今でも「プラセボ効果」だと言って治りたくて必死で治療を自費で試す患者をひそかに笑うのでしょうか?

氷山の一角、富士山の頂上

「脳脊髄液漏出症」は、いわば、富士山の頂上の雪の部分だけを言っているようなものです。

「脳脊髄液減少症」の診断と健康保険での治療が受けられる患者は、全体の患者のごく一部にすぎないから、氷山の一角と言ってもいいと思います。
患者は必ずしもしっかりと画像で漏れがとらえられる例だけとは限らず、富士山の裾野までいるのに、頂上付近の雪の部分だけは「患者」と認めて健康保険適用の治療で治してあげるけど、それ以下は「知らない」と言われてしまっているようなものです。

その厳しすぎる診断基準は、患者全体を救うものではないのです。

むしろ、少数の患者を救う分、多くの患者を排除してしまっているのが、今の脳脊髄液漏出症の診断基準だと私は感じます。

富士山の雪の部分にあたるごく一部の典型例の患者だけは救えても、それ以下の多くの患者が「脳脊髄液漏出症」の病名ももらえず、「脳脊髄液減少症」という健康保険病名もいまだ存在していないので、その病名もなく、結局「不定愁訴症候群」とか「線維筋痛症」とか、「慢性疲労症候群」とか、「起立性調節障害」とか「うつ病」とか「原因不明の難病」扱いで、医療や福祉に対応してもらうしかなくなるんでしょうか?

日本は医療後進国ですか?ここは無医村地区ですか?

この医療先進国の日本で、健康保険適用の治療を受けられず、苦しみ続けるなんて、発症してすぐ治療もされず、何日も何か月も放置されみすみす悪化させるなんて、ここは発展途上国の無医村ですか?と言いたくなります。

私の住んでいる地域には、数えきれないほどの医師がわんさかいます。

けれど、この誰にでも起こりうる怪我後遺症、脳脊髄液減少症の患者の治療に専門的に取り組んでいる医師はひとりも見つからないのです。

こんなことが日本で起こっているのを、どれだけの人が信じられるでしょうか?

医師に気づいてほしいこと

本当は富士山全体の裾野の部分のあたりまでの、さまざまなタイプの脳脊髄液減少症患者をすべて治療し救うことで、逆に国の医療費は抑えらえると思うのです。

ドクターショッピングでの、無駄な診療費、検査費が減ると思うからです。

回復して働けるようになる人たち、引きこもりや不登校でなくなる人たちだって増えるはずです。

そうなれば、国にとってもいいことばかりだと思うのです。

なのに、どうしてそのことに気づけないのでしょうか?

診断基準を厳しくすることで、逆に多くの患者を見捨て、治らないまま放置してしまうという過ちに、どうして気づけないのでしょうか?

診断基準を厳しくしたことで、多くの「画像にははっきり髄液漏れが映らない」患者を締め出し、治らないまま家庭に放置し続け、結果的に働けない、学校へ行けない、外出できず家に引きこもらざるを得ない人たちを増やし続けることは、非常に罪なことだと私は思います。

どんな病気怪我でも、早期発見早期治療が重要なように、同じように、脳脊髄液漏出症患者にも、そうした意識をまずは日本全体の医師がもっていただき、そこで得た経験と知識を全世界に発信してほしいと私は願っています。

厳しすぎる診断基準は、確実な症例を集めるたえに大切なステップなのかもしれませんが、同時にその時々の診断基準から漏れた多くの患者も苦しめていることを忘れないでいただきたいのです。

厳しい診断基準で罪もない被害者の救済を遅らせ苦しめるさまは、まるでかつての「水俣病」での患者たちへの過ちの歴史を繰り返しているかのように私には感じます。

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自己紹介

lily

脳脊髄液減少症のサバイバーです。私が生きているうちに「原因不明」「異常なし」「精神的なもの」とされたり、何かすでに別の病名がついている人たちの中に、脳脊髄液減少症が隠れている可能性について、広く社会に伝えたいと思っています。

「脳脊髄液減少症を知っていますか」

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