2020/07/04

9月6日の、朝のNHKおはよう日本で、産後うつを防止するための24時間の宿泊型産後ケアの取り組みが紹介されていました。
しかし、番組からは母親の産後うつと脳脊髄液減少症の関係性に気づいている専門家は、いないように感じました。
2016年4月24日の毎日新聞記事や 朝日新聞の記事によると、 東京23区の、2005年から2014年までの10年間で、自殺した妊産婦が63人にのぼることが東京都監察医務院の調査でわかったそうです。
(時事ドットコムの記事)
しかし、さすがの、東京都監察医務院の調査でも、亡くなった人が、亡くなる前、妊娠前、出産前から体調不良を訴えていたとか、 出産後から、急に具合わ悪くなったとか、そこまでは調査していないことでしょう。
実は、脳脊髄液減少症は、産後うつも引き起こしかねません。というより、脳脊髄液減少症になると、産後であろうが、なかろうが、 脳の機能が落ちますから、結果的にうつに見えるのです。
脳脊髄液減少症の人が、出産してたまたま産後になっているとか、お産が原因で結果的に脳脊髄液減少症になっている場合とか、 産後にたまたまお産とは別の原因で脳脊髄液減少症になってしまっているとかの場合であっても、第三者が外側からだけ患者を評価したら、みな「産後うつ」ということになってしまいかねません。
原因はなんであれ、脳脊髄液減少症を発症すればとにかく体がしんどいですから、産後の育児と睡眠不足と過労が加われば、それでなくても「脳脊髄液減少症+純粋に産後うつ」になっても不思議ではありません。
普通の健康な人でさえ、普通の産後にはホルモンの影響で心身ともに激変が起こりますし、そこに過酷な労働である大変な産後の育児と家事が加われば、ただでさえ体調が悪い脳脊髄液減少症患者はすぐ「産後うつ病状態」になってしまいかねません。
もし、脳脊髄液減少症を発症していながら、誰にもそれに気づかれず放置されれば、あまりの精神的身体的苦痛からと、脳の機能低下で、うつになり最悪、命を絶ってしまう人がいたとしても、私は不思議だとは思いません。
それぐらいきついんです。脳脊髄液減少症の症状は、健康な人が想像できないほどきついのです。
たとえば、もともとなんらかの原因で脳脊髄液減少症をすでに発症していた母親がそれに気づかず、治療もせずにいて、そのまま妊娠出産して、症状が悪化した結果としての、うつ、という場合もあると思います。
また、もともと脳脊髄液減少症を発症していなくても、もともと髄液圧が低い状態であったとか、正常の髄液圧であったとしても、ぎりぎりの髄液圧で脳が支えられていたのに、帝王切開での腰椎麻酔時の針穴からの髄液の微量な漏れで、結果的に、髄液圧が腰椎麻酔以前よりわずかに低下したり、髄液量が減ったりして、結果的に、脳脊髄液減少症の状態になり、脳が不調になり、その結果として、産後にうつ状態が起きても、少しも不思議ではないと私は思います。
実際、産婦人科医の先生方の中には、帝王切開後、起立性頭痛や吐き気で起き上がれなくなる産婦の存在は、古くから知られていたはずです。
その場合、腰椎麻酔時の髄液漏れの可能性を考えブラッドパッチは、産婦人科医の先生方や麻酔科医の間では、以前から、帝王切開後の産婦の体調不良の治療として、行われてきたはずです。
しかし、ブラッドパッチが、まるで新しい治療法のような報道や、髄液漏れがごくまれな疾患のように報じられてきました。
それは、脳脊髄液が漏れるなんてありえないし、その漏れをブラッドパッチで止めるだけで、実にさまざまな不定愁訴が回復するなんてありえない、と考える多くの医師がいたからでしょう。
脳脊髄液減少症への理解とその治療法としてのブラッドパッチへの医学界の反発や、社会えの理解が遅れたのは、脳脊髄液減少症が、帝王切開時の腰椎麻酔時の髄液漏れのみに、起因するものだけでなく、「交通事故で起こる。」と提唱する医師が現れはじめたからだと、私は思っています。
「交通事故で髄液漏れが起こる」なんてことが認められては困る人たちがいたのです。
追突されて体がゆさぶられ、髄液が漏れたとか、むちうち後遺症だと思っていたら、実は、髄液が漏れていた、という事実を、 認めると、自分たちに都合が悪いと思い込んで、認めたがらない人たちの根深い誤解と偏見問題点があったからこそ、ここまで、脳脊髄液減少症やその治療法としてのブラッドパッチが、医学界や、損害保険会社からバッシングを受け、社会への理解も進まなかったのだと、 私は推測します。
これが、交通事故と全く関係のない疾患であったなら、もっと早く人命救済の見地から、脳脊髄液減少症の早期発見早期治療への理解と対策が急速に広まったはずだと、私は思います。
産後うつと脳脊髄液減少症の関係性も、医療関係者が知っているのと、知らないのとでは、その後の母子の命にもかかわってくることです。
私は、けっして大げさなことを言っているわけではありません。
私自身の体験と事実に基づいて、私はそう思っています。
具体的な私自身の体験については、今日は書きません。
しかし、そこまでの深刻さに気づいている産婦人科医や、精神科医が、いったいどれだけいるでしょうか?
まだまだほとんどいないし、それに対する対策も行われていないのが現状でしょう。
産後うつを予防すべく、対策に取り組んでいる医療福祉関係者であっても、脳脊髄液減少症と産婦の、産後の精神的、身体的不調が、 関係していることを理解して対策は立てていないでしょう。
脳脊髄液減少症は、生理周期で悪化するぐらいですから、内分泌の状態と症状が、非常に密接に関係していることにも、医療関係者も、 産後支援の関係者も、まだまだ理解されていないことでしょう。
出産前に、自分が自覚しないうちに髄液漏れを起こしていて、子供を産む前から、体調が悪かったり、良かったりを繰り返し、天候のたびに、頭痛がしたり、生理周期のたびに、寝込んでいたりする女性には、脳脊髄液減少症が潜んでいる可能性があるということも、医師や専門家は頭において、対策を練っていただきたいと思いました。
これからは、産後ケアに取り組む専門家の皆さまには脳脊髄液減少症は、「知らない、関係ない。」ですまされないし、脳脊髄液漏れは、脳脊髄液の減少を引き起こし、それは、女性の、心と体に、大きな不調を引き起こすという観点から、しっかりと、実経験者から、真摯に話を聞く姿勢を持ち、脳脊髄液減少症患者を数多く診ている医師から、学んでほしいと思います。
脳脊髄液減少症の理解なくして、産後の母親の支援、産後うつの予防の支援はありえません。
きついことを言うようですが、脳脊髄液減少症の知識のない医師や専門家は、人の自殺予防、虐待予防、ネグレクト防止、産後うつなどの支援をする資格はないと私は思っています。