2020/07/04
脳脊髄液減少症ははじめて発症したり、一度回復して再発しても、他の怪我や病気とは違ってなかなか医師にも気づいてもらえない可能性があります。
そのため、早期発見早期治療に至れず、症状を悪化させてしまい、そこからの回復が大変になってしまうことが多いと思います。
なぜ、そうなるのか私なりに考えてみました。
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脳脊髄液減少症が早期発見されにくいわけ
・身体に衝撃を受けてから症状が出てくるまでに時間差があることがあるため、原因と症状が患者本人も結びつかないことがある。そのため思い当たる原因を医師に告げないことがあるため、ますます医師も脳脊髄液減少症に気づきにくくなる。
・そもそも脳脊髄液減少症の早期発見のための知識がない医師が多い。
・脳脊髄液減少症治療の経験豊富な医師が少ない。
・脳脊髄液減少症の早期発見がいかに重要かをわかっていない医師が多い。
・他の疾患は重要視しても、脳脊髄液減少症は命にかかわりがないと軽視する医師が多い。
・脳脊髄液減少症の画像診断技術がある脳外科医、放射線科医が少ない。
・患者に頭痛があるとは限らず、不定愁訴や精神症状ばかりを訴えると、医師も放置が深刻な事態を招くことに気づかないで、単なるストレスによる心身の不調や心の病や精神疾患と誤診しやすい。
・患者が感じているさまざまな症状の苦しさに比べて、それを裏付けるような検査結果がでないために、医師はますます心の病を疑ってしまいやすい。
・一般的な検査では、脳脊髄液減少症の患者が感じている症状を裏付けるような検査結果は得られず「異常なし」とされやすい。
・激しい痛み、シビレ、激しいだるさがあっても、検査結果に出ないために、「原因不明」とされ、線維筋痛症や慢性疲労症候群と診断されても少しもおかしくない現状がある。
・脳脊髄液減少症になると、朝起きられなくなったり、睡眠障害が出たり、体を起こすとくらくらしたり、立っているのがつらかったり、自律神経機能がおかしくなるために、結果的に自律神経失調症とか起立性調節障害とか更年期障害など、その人の年齢ごとに不定愁訴につけられやすい病名をつけられても少しも不思議はないのにそのことに気づいている人達が少ない。
・脳脊髄液減少症の見逃しにより、物忘れ、記憶障害などにより、本人や周囲が事故や新たなケガや事件に巻き込まれかねないのに、その危険性に気づいていない医師が多い。
・物忘れがしたり、ぼんやりしたり、気力がなくなったり、よろよろしたりするために、高齢者だと認知症とされてしまう可能性も高い。
・若い患者であっても脳脊髄液漏れによって脳が委縮したように画像に映ることもあり、加えて激しい記憶障害があると、その画像と症状から脳脊髄液減少症に詳しくない医師なら「若年性認知症」と診断されたとしても、おかしくない。一度「若年性認知症」と医師に診断されてしまうと、それを本人も家族も疑いなく受け入れてしまい、回復可能な脳脊髄液減少症が放置されてしまう危険があると私は思うが、そのことにも気づく人が少ない。
・患者の訴えが多いわりには、見た目が大丈夫そう、元気そうなため、帰して様子を見てもすぐには大事には至りそうもなく、患者が症状を訴えれば訴えるほど、ますます仮病っぽくみえ、気のせい扱い、心の病扱いされやすい。
・患者の症状が、起立性調節障害や、自律神経失調症、線維筋痛症、慢性疲労症候群、更年期障害、などの他にも、精神科分野のさまざまな病気、たとえば、過換気症候群やパニック障害、うつ病、境界性パーソナリティ障害と症状や状態がとても似ている場合もあり誤解されやすい。
・突然の激しい頭痛や半身にシビレや麻痺が出ても、脳梗塞は疑って検査はするが、脳脊髄液減少症は一度も疑わない。
・脳脊髄液減少症=起立性頭痛ではなく、味覚障害も臭覚障害も、視覚障害も触覚障害も、精神的な症状も生理不順も、便秘も下痢も、体幹機能障害も、自律神経障害も、精神症状も、ホルモン障害もなんでも起こりうることを知らない医師が多い。
・医師をはじめ、看護師、作業療法士、理学療法士、放射線技師、薬剤師などすべての医療スタッフ、福祉関係者、医学教育関係者、世間一般に、脳脊髄液減少症について正しい知識が普及していない。そのため他の疾患やケガの情報に比べてさまざまな角度から早期発見がされにくい。
・大出血がある、X線で骨が折れている。脳に血の塊がある、などわかりやすい画像なら、外見や画像から誰でもその人の体に起こっている異常がわかり、手を差し伸べる必要性を感じることができるが、脳脊髄液減少症は、治療が必要な人間には、外見からは見えないことが多い。
既存の医学知識に当てはまったり、外見や、一般的な検査から、けが人だとすぐ判断できるような患者と違って、脳脊髄液減少症患者は、外見や一般的な画像からではわからないで放置されやすい。
・脳脊髄液漏れは、患者の訴える症状から見抜ける医師は少ない。知識が必要だが、知識を持った医師があまりにも少ない。
・脳脊髄液減少症に気づき、早くから研究や情報交換をしてきた少数の医師たちを、尊敬し、あとに続こうとする医師がまだまだ少ない。残りの医師の中には、自分の不勉強を棚に上げて、今も、脳脊髄液減少症のパイオニア医師たちを尊敬しようとしない、人たちがいると感じる。
・脳脊髄液減少症の患者が感じている症状の深刻さや苦痛を、VRで医師に体験して実感してもらいたいがそういうことがない。
・脳脊髄液減少症を体験したものにしかわからないあの苦しみを、脳脊髄液減少症の症状によって、発信能力や気力体力を奪われた患者が、この不可解で難解な症状を言葉や文字で表現し、なおかつ無理解な医師や社会に伝える続けるということが、どれだけパワーを要し、ハードルが高いことか、それができる患者がどれだけごく一部か、考えたこともない医師たちが多い。そのために、本当に苦しんだ者たちの言葉があまり表に出ていないので、医師は患者の感じている世界を知ることがなかなかできない。
・脳脊髄液減少症の体験を伝えられる患者は、それだけ経済的なことや家族などの協力や主治医などいくつものハードルを乗り越えるだけの恵まれた環境にあるごく一部の患者か、またはたまたま幸運にも早期発見、早期治療され、脳脊髄液減少症の見逃されが招く本当の恐ろしさを全く経験せずにすんだ、心も体もダメージが非常に軽い状態の患者であるため、その人たちの声しか表に出ていない可能性が高い。
・本当の脳脊髄液減少症の恐ろしさの最中にいる人たちは、声を上げる力さえ奪われたり、周囲の無理解の中で孤立していたり、亡くなっているかもしれないということに、多くの医師たちは気づいていない。
・全国どこの病院でも、大きな病院なら、普通の病気のように、簡単に脳脊髄液減少症も診てもらえ、診断治療を受けられ、患者は簡単に普通に患者として扱われ、治してもらえると思い込んでいる、人たちや看護師など脳脊髄液減少症患者の歩んできた歴史や現在の医療難民状態の現実を全く知らない関係者が多い。
・点滴ならすれば、速度も内容もなんでもいいと思い込んでいたり、点滴がなんで効くのかわかっていない人たちも多い。
・論文に書いていないことはすべて、嘘だと思い込んでいる人たちがいる。真実はまだ論文にも出ていない時代がいつの時代もあったことを忘れている人たちがいる。
・患者は症状があまりにきついと自分で病院に行けないし、胸の締め付け、呼吸の苦しさ、割れるような頭痛、全身のシビレなどから、これは普通ではないと感じてしまうため、救急車を呼ぶなどしかねない。けれど、病院に運ばれて検査を受けてもそれらしい検査結果が出ないため家にすぐ帰される。
・しかし、脳脊髄液減少症だと、また、信じがたいような症状が現れ、患者はその異常な症状から身の危険を感じるほどで、耐え難くなり、また救急車を呼んでしまう。したがって、救急車の頻回利用者の中には脳脊髄液減少症患者がいると私はかねてから思っているが、そのことに、救急車の頻回利用者対策に取り組む関係者たちも「脳脊髄液減少症の存在が潜んでいる可能性」については全く気付いていない。
それどころか、「救急車の頻回利用者」というレッテルが貼られてしまうことで、「心の病」ということになり、方向違いの支援が行われたりして、ますます「脳脊髄液減少症が潜んでいる可能性」から遠ざかっていってしまう危険があり、診断治療からとおのき、ますます救急車の頻回利用者が巷にあふれていくという悪循環も起こりうると思う。
以上です。
脳脊髄液減少症の真実も、過去のバッシングの歴史も、何もわかっていない地域の医療関係者ばかりがいるところでは、たとえすでに脳脊髄液減少症と診断されて治療を受けても、万一なんらかの理由で症状が再発したり、髄液漏れが再発したとしても、すぐに早期発見早期治療にたどりつくことは現段階では困難だと思います。
そんな現状ですから、ましてや、不定愁訴ばかりを訴えしかも頭痛もないような脳脊髄液減少症の新規発生患者が、そうした地域の医療機関で症状を訴えたところで、早期発見、早期治療なんて無理だと私は思っています。
それなのに、テレビではいとも簡単に、発症から1か月以内に、診断できる医師にたどりつき、家族にも理解され支えられ、治療も成功して治る、みたいな患者がテレビで取り上げられると、現実の数多くの脳脊髄液減少症患者の実態からかけ離れているイメージばかりが広がって誤解が誤解を生むように感じ、そうした報道に私は、感謝どころか「怒り」さえ感じます。
脳脊髄液減少症の真実を報道するなら、「くしゃみ」や「転倒」など自分に原因がある患者だけ報道するのは納得できません。
そういう患者でなく、他人の「暴力」「DV」「いじめ」「スポーツ事故」「交通事故」などで発症し、さらにそれが、医師に繰り返し見逃され続け、「重症化し」「寝たきり同様になり」その末に、やっと脳脊髄液減少症の専門医にたどり着き、健康保険も効かないような理不尽な時代を自費でなんとか切り抜け、家族の理解も地元病院医師の支援も理解もない時代もなんとか耐え抜き、生き抜いて、それでも主治医を繰り返し受診し、検査と治療の繰り返しで次第に回復していったような、そんな、私みたいな患者を伝えなければ、脳脊髄液減少症の真実は社会に伝わらないと思っています。
※あくまで私の考えです。
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