リカ場 ~私の脳脊髄液減少症のリカバリー~

原因不明の症状が「脳脊髄液減少症」だった私が、世界中に伝えたいこと

「香害」と脳脊髄液減少症

time 2017/08/04

8月2日の朝日新聞の「ニュースQ3」に「柔軟剤の強い香り・・・他人には「香害」かも、という、記事がありました。

これを読んで、私は全く別のことを考えていました。

脳脊髄液が漏れたり減ったりすることで、脳脊髄液がその人の脳にとって少ない状態になると、その人の脳はすべての外部からの刺激に対して過敏になるということです。

これは私の経験からですが、普通の人たちにとっては、なんでもないようなレベルの光、明るさ、音、色、話し声、臭い、体にかかる布団の重さ、衣類の重さ、触感、触感、、普通の人なら多少の不快感は感じても普通に暮らせる程度の気候の変化、湿度、気圧の変化、気温、普通の人なら何も感じないお風呂の湿度、など、ありとあらゆる外部からの刺激に対して、普通に耐えられる閾値が下がったかのように、すべてに過敏に体が反応するのです。

五感が研ぎ澄まされるというより、免疫系や五感が迷走し、正常な人間の普通に耐えられる閾値を大幅に狂わせ、下げ、少しの刺激を10倍にも100倍にも感じてしまうために、脳が苦痛を感じている状態があるのでは?と私は思うのです。

しかし、そういった考えを持つ医師も研究者も少ないのではないでしょうか?
だって、脳脊髄液減少症の患者のそうした実態を知る研究者は少ないでしょうから。

しかも、脳脊髄液減少症患者は、もっと強い症状が他にあるので、多くの患者は「頭痛」や「体の痛み」「激しいだるさ」「体の力の入らなさ」などを主訴として主治医に訴えるでしょう。
だから、脳脊髄液減少症の患者の症状は「起立性頭痛」が必須だとか、髄液漏れ患者は「歩けないのが普通」だとか、誤解してしまう医師もいるのでしょう。

実は、脳脊髄液減少症の症状はそんなものではないのです。
医師に患者が言葉や文字で伝えている症状は、患者が感じている症状のほんの一部だと思った方がいいと思います。

患者の私が経験した脳脊髄液減少症の症状だけでも、かなりあるし、その中には、自分でさえ脳脊髄液減少症の症状だと気づきにくいもの(たとえば痛くない症状、トイレが近いとか、自分で記録しないと気づけないような「生理が不順」とかの症状)もあります。
その患者でさえ医師に伝えるべき、優先順位が低い、かつ、自分でも脳脊髄液減少症の症状だと気づきにくい症状の一つに、「すべての感覚が過敏になる。」ということだと思うのです。
その中でも、音や光は自分でも気づきやすい方なのですが、気圧や湿度や化学物質に対する、脳脊髄液減少症患者の過敏性は患者本人も家族もその因果関係にさえなかなか気づけないはずです。

たとえば、急に具合が悪くなって症状が悪化した時、それが気温の急激な上下動が原因なのか、気圧なのか、湿度なのか、生理周期に連動した悪化か、それとも何か近くでたばこを吸われたとか、新築の他人の家に入った直後とか、なんらかの化学物質の影響を示唆するものかは、患者本人が相当自分の体調と、その時の環境、状況に詳しく感性を研ぎ澄ましていないと気づけないことだと思います。

ましてや、いくら近くにいる家族だって、客観的に、その患者が具合が悪くなった事実は見て確認できても、その悪化の原因が何なのかは、外側から患者をいくら観察しても、相当な意識が準備された注意力がなければ、その患者の置かれた環境や状況まで観察することもなく、わかるはずもありません。

患者が自覚できない脳脊髄液減少症の症状は、家族も気づくはずもありません。

患者も家族も気づけない脳脊髄液減少症の症状や、環境との因果関係は、医師に伝わることもありません。

医師に伝わりやすいのは、患者本人の苦痛がひどく、気づきやすい現象だけ。たとえば「起立性頭痛」のような。

そうしてまるで脳脊髄液減少症の診断には「起立性頭痛」が必須であるかのような誤解を、医師に与えていくのです。

五感が過敏すぎての症状のつらさが、最もつらい脳脊髄液減少症患者は少ないことでしょう。
だから、医師にも、第一主訴としては訴えない。
だから脳脊髄液減少症に、そうした症状があることが知られない。

すると、五感が過敏で苦痛に感じる症状のある人たちの中に、脳脊髄液減少症患者が潜んでいる可能性には、他の医師たちも全く気づけない。
他の医師たちが気づけないから、「五感が過敏な症状」が第一主訴の患者が「もしかしたら脳脊髄液減少症なのでは?」と疑えず、脳脊髄液減少症の専門医のところには紹介されない。

脳脊髄液減少症の専門医にたどり着き、症状が回復してきた私のような患者だけが、症状が回復していくことで「五感が過敏で日常生活さえ苦しかったあの症状は、脳脊髄液減少症によるものだったのだ。」と後から気付くのが現状だと思うのです。

シャンプー、リンス、コンデショナー、ボディソープ、柔軟剤、アロマ、ボディペーパー、回復しつつある私は今、香りを楽しんで生きています。
今はちょっと音に過敏な時期ですが、調子がいい時は。激しい音楽も楽しめるようになりました。

現代社会から「香害」をゼロにすることなど不可能でしょう。
化学物質をゼロにすることなど無理でしょう。
IHもMRIも必要で、Wi-Fiも普及するこの世の中で、電磁波をゼロにすることも不可能でしょう。
その恩恵を受けられないことも不幸なことでしょう。

ではどうするか?

スギ花粉症だって、花粉をゼロにすることは無理でしょう。
ダニアレルギーだってダニを全滅させることは無理でしょう。
だから、人間の方をスギ花粉やダニで過敏に反応しなくなるような、免疫療法も出てきたのでしょう。

アレルギーの対策も以前の「徹底除去」から「体をアレルゲンに慣らす」方向へ治療方針が変わってきたのでしょう?

だったら、同じように化学物質過敏症も電磁波過敏症も、そういう人たちの体や脳で何が起こっているのか?にもっと興味を持って、
大多数の人が大丈夫な環境に、適応できるような体にするための工夫や知恵、そして治療も必要なのではないでしょうか?

そのためのヒントが、脳脊髄液減少症の、私のような患者にあるのではないでしょうか?

記事では

微量の化学物質で頭痛や吐き気などが起きる化学物質過敏症という症状もある。東海大学医学部長の坂部貢教授(環境医学)によると、同じ香りでも人や体調により症状が出るかどうかは違う。化学物質の影響か判断が難しいケースもある。坂部教授は香害の訴えが増えた背景を「香りつきの商品が増え、経験したことのない香りをストレスに感じる人もいるのでは」とみる。

とありますが、私がこの先生に伝えたいのは、脳脊髄液減少症になった人体は、化学物質に、脳も体も、健康な時の数倍過敏に感じて反応する。という事実です。アレルギーも同じです。
同じ私という人間でも、脳脊髄液が多量漏れていた時と、漏れを止める治療を受けた後とでは、同じ香りに対しても、おなじアレルゲンに対しても、体の反応も脳の反応も変わってきます。

「人や体調により症状がでるかどうかは違う。」というより、同じ人間であっても、脳脊髄液の減少によって体調が悪くなり、その一環として化学物質に対しても過剰に反応するのです。私の経験では同じ人間であっても、髄液が漏れていても、気圧が高い時は漏れが少なくなり、気圧が低い時はひっぱりだされるように漏れが多くなることで、体調や症状が変わってくる気がします。
つまり、症状がでるかどうかは、純粋な化学物質に対する耐性の他にも、その人の脳にとっての環境、髄液漏れのあるなし。漏れがなくても、髄液圧の値の高い低い それに加えての気圧などの外部因子などが複雑にからまって、症状が変わるのではないか?と私は考えています。

こうしたことを、おそらく、記事にあった、化学物質過敏症支援センターの事務局長もご存じないかもしれません。化学物質過敏症支援センターの情報にも、脳脊髄液減少症の話題はないようです。
情報がないのでは、過敏症の症状から脳脊髄液減少症を疑うことができる患者もほとんどいないでしょう。
化学物質過敏症の専門医たちもおそらく、脳脊髄液減少症の実際の患者である私のこうした体験や意見など、知る由もないでしょう。

どなたか、この記事のURLを、化学物質過敏症支援センターや、化学物質過敏症を診る医師に伝えていただけませんか?
私はとてもそこまで手がまわりません。
とりあえず、脳脊髄液減少症を見逃さないようにだけはしないといけませんから、CSの患者さんのブログにコメントぐらいは残してこようとは思っていますが、とても全部には伝えきれません。

今回の記事によると、

化学物質過敏症支援センターの広田しのぶ事務局長は「ある人にとって心地いい香りでも、苦痛に感じる人もいることを忘れないでと呼びかけている」

そうですが、それはもっともなことですが、私から言わせれば専門家の人にこそ「同じ人間でも、苦痛な香りでも、苦痛な音でも光でも、脳脊髄液減少症の治療を受けると苦痛の閾値がぐ~んと上昇し、今まで苦痛に感じていた刺激のすべてが苦痛でなくなる。」と事実も知っていただきたいという思いです。

生まれつきではなく、それまで普通に暮らしていたのに、突然、今まで平気だったものが平気でなくなるのは、必ずその変換点に原因があると私は思っています。たとえば転倒して髄液が漏れてしばらくしていろいろな症状が起こってくる脳脊髄液減少症のような。

そして、脳脊髄液減少症でいろいろな症状を出して、それが治療で回復してみて思ったのですが、症状を引き起こしている原因は脳が正常に機能していないことに原因があるのではないか?とも思っています。

研究者の先生が、脳脊髄液減少症当事者である、私の意見を参考にしていただけ、今後、多くの患者を救うために研究していただけたら嬉しく思います。

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自己紹介

lily

脳脊髄液減少症のサバイバーです。私が生きているうちに「原因不明」「異常なし」「精神的なもの」とされたり、何かすでに別の病名がついている人たちの中に、脳脊髄液減少症が隠れている可能性について、広く社会に伝えたいと思っています。

「脳脊髄液減少症を知っていますか」

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