リカ場 ~私の脳脊髄液減少症のリカバリー~

原因不明の症状が「脳脊髄液減少症」だった私が、世界中に伝えたいこと

境界性パーソナリティ障害と脳脊髄液減少症

time 2017/10/12

NHKハートネットTVで境界性パーソナリティ障害について放送がありました。

精神科医ならだれでも、境界性パーソナリティ障害については知っているかもしれません。

でも、脳脊髄液減少症が原因で、精神的に不安定になったり、思考力や判断力低下のために、問題行動を起こしかねないということは、想定外かもしれません。

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境界性パーソナリティ障害とは

番組では、境界性パーソナリティ障害の診断基準について説明していました。
DSM‐5 精神疾患の分類と診断の手引き

診断基準として9つ症状があり、そのうち5つ以上が当てはまることが「境界性パーソナリティ障害」と診断されることの条件だという。

その症状とは・・・・。

境界性パーソナリティ障害 診断基準

① 見捨てられることに対する不安が強い

② 対人関係が両極端で 不安定である。

③ めまぐるしく気分が変わる。

④ 怒りや感情のブレーキがきかない。

⑤ 自殺企図や自傷行為を繰り返す

⑥ 自己を損なう行為に耽溺する。

⑦ 心にたえず空虚館を抱いている。

⑧ 自分が何者であるかがわからない。

⑨ 一時的に記憶が飛んだり精神病に似た状態になる。

境界性パーソナリティ障害 (幻冬舎新書)の著書である、精神科医の岡田尊司氏によると、

境界性パーソナリティ障害の特徴として、以下のように話していました。

境界性パーソナリティ障害の特徴
精神科医の岡田尊司氏によると、

・見捨てられることに敏感であり、見捨てられ不安が強い。相手の顔色が曇ったり、自分のことをちょっとでも快く思っていない気配を感じると、不安になってしがみつこうとしたり、逆に見捨てられる前にそっぽを向いてしまったり、そういう風な過敏な傾向ですね。

・対人関係とか気分とかが両極端に揺れ動くというのが特徴。自分にとっての最高の理解者だと理想化したりするが、(相手は)現実の人間なので、もちろんそんな風に100%満たしてくれる存在はいない。どこかで期待外れのところが出てくると、失望から怒り、今度は攻撃という風になりやすい。

・3番目は、自傷行為とか自殺企画を繰り返してしまいやすい。その根底には罪悪感とか自分というものは存在価値がないものだというような、思いがあるのだと思う。

とのお話でした。

これを聞いて、脳脊髄液減少症患者が、「境界性パーソナリティ障害」と診断されかねない危険を感じました。

脳脊髄液減少症患者が繰り返し症状で苦しみ、助けを周囲に求めることが繰り返されると、「境界性パーソナリティ障害」の診断基準に、一見当てはまってしまうように思うからです。

“境界性パーソナリティ障害”に似ている状況に陥るわけ

交通事故に遭って、長く原因不明の症状に苦しんでいると、どんどん誤解に巻き込まれていく構図を考えてみます。

患者、被害者は、自分の体に起こる症状について、医師に訴えても、医師が理解してくれなかったり、軽視して突き放したり、精神的なもの扱いすることに納得ができず、「原因不明」と言われても納得ができないからこそ、他の医師を巡るのです。

それは、生き残るために生物が自分で自分を救うために起こす、当たり前の行動だと思います。

患者は治りたくてしかたなく医師巡りをするのですが、その行為自体が、医師側から見たら「ドクターショッピング」と白い目で見られ、困った患者として見られてしまうのです。

患者の本来なら自然な行為「医師が誤診するから治してくれないから次の医師に行く」という当たり前の行為が、医師側からみたら、「患者の問題行動」とすり替えられ、そんな問題行動を起こす患者だからこそ、訴えているその症状も「心の病」「精神的な原因」から起こっていると、さらなる誤解を重ねられてしまいかねないのです。

そういう危険性を私はいままでつねづね感じてきました。

やがて、診断できる医師にやってとたどりついて、脳脊髄液減少症とたとえめでたく診断がついても、その後症状を再発し続けると、同じように、患者自身の心の問題と誤解されかねない状況がまた生まれてしまうと感じます。

患者は苦しいから医師に訴え続けます。しかし、髄液漏れはそう簡単に、血圧とか、血液検査とか、MRI検査とかですぐさまその場で診断できないし、第一診断できる医師がほとんどいないのです。

だから、日本のどこで、髄液漏れを発症しても、いつでもどこでも身近な病院で、その日のうちに、すぐさま診断し、早期治療に入る、ということがほとんど不可能なのが現状なのです。

身近なケガで起こるのが髄液漏れにもかかわらず、髄液漏れがたとえひどい状態であっても、体の内部のために、外見からはそれがわかりません。

出血のように血が流れているのが目に見えるわけでもなく、血圧とか血液検査とかX線とかの検査数値や画像で、いつでもだれでも医師なら診断できるというわけでもありません。

患者の症状の訴えを裏付ける異常な検査結果は何もでないから、患者は、「精神的なもの」「狂言」として放置され、みすみす早期発見早期治療のタイミングを逃し、重症化させてしまうのです。

早期発見早期治療のタイミングを逃すと、回復は難しくなるし、症状を繰り返したり、日常生活の中での些細なこと(つまづいてころんだり、急ブレーキで首が振れたり、台風による低気圧にさらされたり)することで髄液漏れが再発したり、漏れが再発しなくとも症状が再発したりすることがあります。

しかし、症状をしつこく患者が訴えること、症状が何度も再発することで、最初は「髄液漏れ」が原因と認めてくれていた医師や周囲の家族、地元医師も、「これはこの人自体の心に問題があるのでは?だからいつまでたっても治らないのでは?自分で症状を作り上げ、自分で自分を悪くし、周囲を心配させることに耽溺しているのでは?」と誤解されかねないと思うのです。

なぜなら、「境界性パーソナリティ障害」の診断基準に、なかなか治らない脳脊髄液減少症の患者の状態が、すっぽり当てはまってしまうと私は感じるからです。

たとえば、先に紹介された、境界性パーソナリティ障害の診断基準の、
① 見捨てられることに対する不安が強い
② 対人関係が両極端で 不安定である。
③ めまぐるしく気分が変わる。
④ 怒りや感情のブレーキがきかない。
⑤ 自殺企図や自傷行為を繰り返す
⑥ 自己を損なう行為に耽溺する。
⑦ 心にたえず空虚館を抱いている。
⑧ 自分が何者であるかがわからない。
⑨ 一時的に記憶が飛んだり精神病に似た状態になる。

について、私自身の脳脊髄液減少症の経験で当てはめてみると、⑤と⑥には一切当てはまりません。
私は自殺企図や自傷行為や自己を損なう行為に耽溺したことは一切ありません。

しかし、あとはすべて大なり小なり当てはまります。
①は地元でも診て相談でき、信頼できる脳脊髄液減少症の専門医が見つからないのですから、不安が強いのは当たり前でしょう。唯一診て助けてくれる医師が遠距離でもいれば、その医師に見捨てられたら終わりだと思うのも当然でしょう。

②と③と④は 脳脊髄液が漏れて減って脳機能が落ちれば、感情のコントロールができなくなり、怒りっぽく切れやすく暴力的になったりしますし、暴言を吐いたりもしますし、気分も天候や光や体調によって日によって別人のように変わったりもします、それを第三者からみたら、怪訝に思うことでしょう。
さらに、脳機能が落ちれば、相手の顔色、気持ちなど、タイムリーにその場の空気を読んでコミュニケーションをする高次な脳機能力が落ちますから、うまく人と付き合えなくなります。したがって、家族や職場や医師にさえ、困った人、付き合いにくい人、訴えや症状もその人の性格の問題だ、心の問題だとますます誤解されていきます。
周囲の誰もが、その人に起こった脳の障害のせいだとは思わないので、その人を嫌い、責め、避けはじめます。

⑥については、脳脊髄液減少症だと診断され治療を受けて一度回復しても、また普通に暮らしている中で症状がではじめ、また治療し、また髄液漏れが起きを繰り返していると、それは患者のせいでは全くないのに、「自分で、わざと発症させてしまっているのでは?」と医師や周囲に思われかねないと感じます。
⑦は、周囲に髄液漏れの症状を理解もされず、暖かく支援もされなければ、心に空虚感を持つのも人として当たり前のことでしょう。
⑧と⑨は、私も体験しています。髄液が漏れ続けることによって、脳が不調になり、脳機能が落ちればさまざまな精神不調が出て当たり前だと思います。⑧の「自分が何者であるかわからない。」と似た感覚は、昨日の記事で書いた、「解離性同一障害」の症状に似ています。人間の脳って精密機械より高機能の物体ですから少しの環境変化で異常をきたすのも当たり前だと思います。⑧

「がん」の再発などでは絶対、「自分でがんを再発させているのではないの?患者の心の問題でがんを再発させているんじゃないの?」なんて言われないと思うのですが、「脳脊髄液漏れ」の場合、「がん」に比べて簡単に、そう「患者自身の心の問題が症状を再発させているのでは?」と誤解されかねないと感じるのです。

髄液漏れが再発するのは、患者自身のせいなどではなく、もとはと言えば、交通事故で、激しい激突での衝撃を体に受けたから体の内部にあちこち見えない傷があって、もろくなっていて、ブラッドパッチで漏れを止めても止めても、ささいなことで再発してしまうだけなのに、そうは思われないのです。

症状の再発を繰り返す脳脊髄液減少症患者は、がんの再発を繰り返すがん患者と違って、すぐ、「心の病」「患者自身の精神的な問題(境界性パーソナリティ障害)」が背景にあるのかも?と誤解されかねないと私は強く思うのです。

とにかく、交通事故にあって脳脊髄液漏れを発症し、それを長く見逃され、「心の病」扱いされ続けたあげく、やっと診断治療に至って回復しても、症状再発時、地元で支えてもらえず、みすみす悪化させたり、また「境界性パーソナリティ障害」を疑われかねないような「心の病」「精神的なもの」扱いされるのでは、罪のない被害者患者にとってあまりにも残酷な仕打ちだと感じます。

精神科医、内科医の方には、一刻も早く「脳脊髄液減少症」の患者の実態、真実の姿について、知っていただき、早期発見と早期治療につなげていただきたいと思います。

医師は、わけのわからない症状を訴える患者を目の前にしたら、仮病、詐病、心の病、精神病、過換気症候群、パニック障害、原因不明の難病、境界性パーソナリティ障害などを疑う前に、

まず、その人の体で、髄液漏れが起こっていないか?をすかさず即日、検査で確かめられ、髄液漏れが確認されたら、即、その日のうちに治療ができるようなシステムを早く整えてほしいと思います。

それが早く整わないと、誤診は続くし、脳脊髄液漏出症患者の見逃しは続くし、それによる重症化する患者も出し、結果的に日本の医療費の増大は止められず、何もいいことはないと思います。

・純粋な「境界性パーソナリティ障害」のケースと、

・脳脊髄液漏れによって、脳が障害され、結果的に、2次的に「境界性パーソナリティ障害」のような状態になってしまっている患者のケースと、

・脳脊髄液漏れが再発したりすることは患者自身のせいではないのに、症状の再発によって必死に医師に訴えることが繰り返されることで起こってくる人としてごく当たり前の自然な行為自体が、「境界性パーソナリティ障害」によるものと誤解されるケースと

3つのケースがあると私は感じています。

医師は、これらの3つのケースを、間違いなくきちんと見分けることが大切だと思います。
どれを、どう、見誤っても、患者は悲劇だと思います。

特に、頭痛のない、記憶障害、おかしな精神状態などの異常を感じて受診する隠れ脳脊髄液漏れ患者は、脳外科・内科・整形外科医にはいかず、精神科を受診すると思います。

その時、精神科医は、脳脊髄液漏れで起こっているであろう状態を絶対に見逃さないでほしいのです。
まちがっても、脳脊髄液減少症患者の見かけだけの症状に騙されず、その背景にある「脳脊髄液漏れ」という大元の原因を見逃さないでください。
隠れ脳脊髄液漏れ患者を簡単に見逃し、自分と患者が納得するような、「うつ病」「境界性パーソナリティ障害」「解離性同一障害」「パニック障害」「強迫神経症」などと病名をつけて患者を薬漬けにしないでください。

確かに薬は対症療法にはなることはあります。しかし、髄液漏れがある場合、表面の症状だけに注目した治療は、患者の症状の根本治療にはならないのです。

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自己紹介

lily

脳脊髄液減少症のサバイバーです。私が生きているうちに「原因不明」「異常なし」「精神的なもの」とされたり、何かすでに別の病名がついている人たちの中に、脳脊髄液減少症が隠れている可能性について、広く社会に伝えたいと思っています。

「脳脊髄液減少症を知っていますか」

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