リカ場 ~私の脳脊髄液減少症のリカバリー~

原因不明の症状が「脳脊髄液減少症」だった私が、世界中に伝えたいこと

朝日新聞のスタイルアサヒの帝京大学医学部外科の新見正則医師による連載

“レジリエンスを鍛える”の
2017年2月号の20ページの、
今月の題は

「【がん】逆境を跳ね返すこころの強さを持とう」というものでした。

レジリエンスとは逆境に対する体や心の回復力、抵抗力を意味する言葉だそうです。

過去に、同じスタイルアサヒの連載を読んだ感想をレジリエンスを鍛える で書きましたが、
また、今回も感想を書いてみたいと思います。

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どんな疾患でも、レジリエンスを鍛えることが必要

私自身、自分の今までを振り返って、
「逆境を跳ね返すこころの強さを持つことの大切さ」は
思い知っています。

新見医師の記事の内容はがんの患者さんの例でしたが、
その考え方は、脳脊髄液減少症患者にもまさに当てはまると思いました。

がんにエビデンスがある治療法(医学的に効果があると証明されている治療法)は、
・外科療法
・化学療法
・放射線治療の3つだそうです。
これらの3大治療で治るがんも相当増えた一方で、3大治療では効果が認められない患者さんもいるそうです。

しかし、新見医師の言葉を引用させていただくと、

だめかもしれないと思った人がずっと元気だったり、がんを抱えた状態(担がん状態)で何年も生きることがあったりします。
そんな人たちの多くは、がんという状態を受け入れて、でも精いっぱい生きています。
希望を持っています。毎日に感謝しています。
病気にポジティブに向き合う大切さを教えられることがとても多いと感じます。

これを読んで、がん患者に限らず、
いえ、がん患者よりも、社会に認知度が低く、その支援体制も整っていない、脳脊髄液減少症こそ、
症状に負けず、周囲や医師の無理解や無支援に負けず、ポジティブに向き合う大切さが、
より重要なのではないか?と思いました。

さらに新見医師はこうも書いています。

エビデンスとは統計的有意差です。
ある治療をしたら、どのような効果が得られるか、多くの統計を取って明らかな違いが認められたと
証明されたということです。
ですが、そんな統計的有意差に表れないものもあります。
そのひとつがレジリエンスです。

と。

エビデンスについては、脳脊髄液減少症の治療法で昨年健康保険適用されたブラッドパッチが、さんざん「エビデンスがない」と
何年も叩かれつづけましたっけ・・・。
ブラッドパッチが有効だとされるのは、脳脊髄液漏れが確認され脳脊髄液漏出症と診断された患者だけが、
その治療法として唯一やっと「エビデンスがある。」とされたブラッドパッチ治療を、昨年4月から
健康保険適用で受けられるようになりましたが、
その陰で、つらい症状はあるのに、髄液漏れが画像に映らず、そのために、その唯一の治療でさえ、適用外とされ、受けられない患者も大勢いることでしょう。

そんな「がん」より、医療体制が希薄な脳脊髄液減少症の医療の中で、
孤独や無理解、誤解や偏見に耐え、生き残らなければならない脳脊髄液減少症患者は、
がん患者よりもさらに、強力なレジリエンスが必要でしょう。

エビデンスがあっても、治療効果がない人もいれば、
エビデンス(医学的に効果があると証明されているもの、統計的有意差)がなくても、人を回復させることや物はあるのです。

私は、自分の本能に従って、
エビデンスなんてなくても、自分の体を回復させると思うことは何でもためしてきました。

脳脊髄液減少症は医療支援体制が整っていないぶん、自分の心のあり方、過ごし方は、なおさら回復のためには大切なことでしょう

人間の体は脳と体がつながっているのですから、ポジティブな気持ちですごすのと、そうでないのとでは、
免疫力にも大きな差が出てくるためなのかもしれません。

がんは、世界中の多くの医師が熱心に研究に取り組んでいます。
日本でも、がんの専門医は多いし、がんの緩和ケアやがん患者の心理支援に取り組む、医療福祉の専門家もたくさんいます。

大きな病院では、たいてい医療相談室や、
患者支援室というものがあり、社会福祉士や臨床心理士など専門職の多職種の人たちが、
患者と家族の心と体の悩みや相談に乗ってくれる体制が整っており、
がん患者さんとその家族に対しては、がん患者さん専門の相談窓口まであるところもあります。

そこまで、幾重にも手厚い支援がある「がん」であっても、
当事者のご本人しかわからない、さまざまな悩みや孤独感があり、
それに負けないような「逆境を跳ね返す心の強さ=レジリエンス」が必要であるのなら、
脳脊髄液減少症ならなおさらレジリエンスは大切なはずです。

脳脊髄液減少症に関しては、専門医は極端に少なく、少なくとも私の住む地域では、一人もいません。

これが「がん」だったら、自分の住む地域に、「がん」を診る医師が一人もいないとか、
「がん」の専門医が一人もいないなどと、いうことはありえないことだと思います。

「がん」は長い時間をかけて十分、患者の痛みや苦しみ悩みや問題点に対する検討が繰り返され、
支援の必要性が社会や医療関係者に理解されているから、
現在のような支援体制が整ってきたのだと思いますが、

脳脊髄液減少症は、その病態の認知すらまだまだ進んでおらず、社会の支援体制も整っていません。
そのため、
治療に専門的に取り組む医師も少ない現状では、
医療相談室で、脳脊髄液減少症患者が多職種になにかと支援してもらえるような態勢はまだどの地域でもほとんどないでしょう。

脳脊髄液減少症でも、簡単にいつでも、どこの地域でも医師に診てもらえ、
診断治療が簡単に受けられ、リハビリもしてもらえる。といったわけにはいかないのが現状です。

脳脊髄液減少症の診断や治療やましてやリハビリなど、
手厚い医療福祉の支援を受けられるのは、
全体の脳脊髄液減少症患者のごくごく一部の患者にすぎないのです。

そんな中では、脳脊髄液減少症患者は、
がん患者の何倍も、自分の中の「レジリエンスを鍛える」ことが必要なのではないか?と感じました。

逆境を跳ね返し、現実を受け入れ、ポジティブに考え、
今できないことはできないこととして受け入れつつ、

今できることを精いっぱいやって、
いいと思うことはなんでも積極的に「自分で」動いて試してみて、
それから考え、
失敗したらそこから学び、
失敗を恐れず前に進み、

やりもしないうちから不安と恐れで凝り固まらず、
他人まかせ、医師まかせにせず、
自分で道を切り開き、困難を乗り越えていく力が必要なんじゃないか?と
私は今回改めて感じました。

しかし、脳をやられ、外見からは理解してもらえない激しくつらい症状に、
レジリエンスを鍛えようとしても、その気力、その判断力さえ、奪われていくのが、脳脊髄液減少症ですから、
脳をやられない体の病とは、
同じ「レジリエンスを鍛える」のも、大変さが違うのは事実です。

でも、根性があるわけでもない私が、
しかも決して軽症ではなかった私が、
脳脊髄液減少症にまったく理解のない社会の中で、
孤立しつつも生き延び、
自費の高額医療費をなんとか工面し、
主治医と少数の理解者に支えられ、
ここまで脳脊髄液減少症を乗り越えてこれたのですから、

今は、私が生きた時代よりは、
脳脊髄液減少症に理解ある医師が増えつつあり、

ブラッドパッチ治療も健康保険で受けられる時代になったのですから
たいていの人は、今現在なら、
たとえ、脳脊髄液減少症になってしまったとしても、自分次第でレジリエンスを鍛え、
自分で逆境を跳ね返す力を引き出していけるはずだと思います。

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自己紹介

lily

脳脊髄液減少症のサバイバーです。私が生きているうちに「原因不明」「異常なし」「精神的なもの」とされたり、何かすでに別の病名がついている人たちの中に、脳脊髄液減少症が隠れている可能性について、広く社会に伝えたいと思っています。

「脳脊髄液減少症を知っていますか」

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