2020/07/04

私はかつて、脳脊髄液減少症でパニック障害とほぼ同じ、立っていると突然起こる動悸、呼吸困難、にたびたび襲われたことがあります。また外出中にあの苦しい症状が起こるのではないか?と不安で、外出が怖くなった時もありました。
でも、あれもすべて、髄液漏れで起こっていたことだと、今ならわかりますが、当時はまさか自分が髄液漏れでの脳脊髄液減少症とは想像もしませんでしたし、どんなに多くの専門医にかかったところで、誰一人、「髄液漏れが原因かも?」なんて気づいてくれる医師はいませんでした。
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過去にさかのぼるほど、脳脊髄液減少症は医師に知られていない
いまでさえ、医師にも認知度の低い脳脊髄液減少症ですから、今から10年前、20年前、30年前に髄液漏れでの数々の多彩な症状に苦しんでいた人たちは、当時の医師の頭の中にある診断名を当てはめられていた可能性は高いと思います。
今、髄液漏れで、人体に、さまざまな症状が起こることが少数ではありますが一部の医師に知られはじめてきました。
ホルモン障害から免疫障害、化学物質過敏症、さまざまな痛み、日常生活も困難なほどの倦怠感、集中力の低下、記憶障害、気力の低下、うつ、パニック障害様の自律神経失調症状など、起立性頭痛以外のさまざまな身体的、精神的症状が、髄液漏れで起こることは、私の経験からもあきらかです。
髄液漏れでこれらさまざまな症状を経験し、その後、治療でいくらかでも症状が改善した人なら私の言っていることが理解できると思います。
人間である以上、成人が体に衝撃を受けて起こる髄液漏れでの脳脊髄液減少症は、その他の年齢の人間にも起こりえることでしょう。
つまり、人は、赤ちゃんだろうが、幼いこどもだろうが、10代だろうが、思春期だろうが、青年期だろうが、働き盛りだろうが、子育て中だろうが、中高年だろうが、高齢者だろうが、誰にだって年齢に関係なく、事故で髄液漏れでの脳脊髄液減少症の症状が起こる可能性があるということです。
脳脊髄液減少症がなかなか気づかれないわけ
あくまで私(脳脊髄液減少症サバイバー)が考えるその理由です。それは、
・医師が脳脊髄液減少症が原因で人体に起こる身体症状と精神症状を知らない人が多いから。
・医師が患者の主訴ごとに病名をつけてしまいがちだから。
・脳脊髄液減少症かどうかを簡単にいつでもどこでもどんな医師でも外来で検査して診断できる検査方法がまだないから。
・だから医師が、一般的な検査(血液検査など)で異常がでないと、患者自身は重症と感じるようなひどいつらさの訴えを本気にしうないで軽視するから。
・現状の一般的な検査項目に、脳脊髄液減少症かどうか?を調べるものが入っていないから。
・脳脊髄液減少症の症状は多彩で複雑で、言葉で表現するのが難しいし、たとえ言葉で表現できたとしても、医師にその苦しさしんどさを理解されるのがとても難しい症状ばかりだから。
・大人が表現力を駆使していくら脳脊髄液減少症の症状を医師に伝えても、患者が感じている症状の深刻さが伝わらないのだから、もし、幼い子供や赤ん坊が、髄液漏れになったら、いくら優秀な小児科医だろうが、その苦しみを察することはかなり困難だと思われるから。だということに気づいていないから。
・髄液漏れが原因でホルモン障害などが出たり、さまざまな症状が結果として検査にひっかかることはあっても、その元凶が脳脊髄液の減少だということに気づけないから。ということに気づいていないから。
この中で一番に危険を感じるのは、脳脊髄液減少症は多彩な症状がでるから、人によって一番つらい症状が微妙に違っていて、それを医師に一番つらい症状として伝える(主訴)ため、医師が医師の経験の中で、患者の症状と一番ピッタリくる症状をあてはめて、医師自身と患者を納得させてしまう危険があると思うこと。そしてその見解をマスコミを通じて広くばらまかれることで、新たにそれを信じてしまう人が出てしまい、「治る」ものを「治らなく」してしまう、あるいは「精神的な疾患」としてまとめられてしまう危険も広がるということ。
医師は頭の中の知識と照らし合わせて患者に病名をつけてしまう
実は脳脊髄液減少症が原因で起こっている症状であっても、医師がそれとは気づかず、患者の主訴ごとに”病名をつけてしまう確率が高いのが脳脊髄液減少症だと私は思います。
つまり、診察時、患者の主訴を医師が聞いた時、医師は自分の頭の中の経験と知識と患者を照らし合わせて考えることでしょう。
患者の主訴が、医学の教科書的にパニック障害にそっくりならパニック障害、産後うつ病にそっくりなら“産後うつ病”、“慢性疲労症候群にそっくりなら“慢性疲労症候群”といった具合に・・・。
患者の主訴が激しい痛みなら“線維筋痛症”、患者の症状がめまいなら“メニエール病”とか“良性発作性頭位めまい症”、立っていると頭痛がひどいなら“起立性頭痛”、患者が子供なら思春期特有の“起立性調節障害”とか自律神経失調症とか。患者が一番つらいのが眠れないことなら“睡眠障害”、眠りすぎるなら“過眠症“といったことも考えられることでしょう。
もし、幼い子供が髄液漏れを起こして、さまざまな精神症状や身体症状を起こしていたら
たとえば、幼い時、ブランコから落ちて頭の後ろを打って髄液漏れが起こったとか、そういうありふれた日常でも髄液漏れは起こる可能性があるでしょう。
でも、外傷がなく、こどもも泣き止んでその後もなんともないような状態だったら、親はなんともないと思い安心するでしょう。
念のため頭を詳しく検査しても、昔だったら、髄液漏れなんて疑う医師もいないし、当時は脳を詳しく検査する機器も診断できる医師もいなかったかもしれません。
その子がしばらくして、だんだんと、呼吸が苦しくなったり、急に動悸がして胸が苦しくなったりしたらどうなるでしょうか?
いくら小児科医が検査をしても異常がなければ、小児精神科医に回されてしまうかもしれません。
しかし、精神科医も、髄液漏れで人体に起こる精神症状、身体症状を全く知らないとしたら。
その精神科医が知っている症状の疾患の中で、一番、患者の状態に近い病名がつけらえれてしまうかもしれません。
私の経験では、髄液が漏れると、パニック障害ともほぼ同じ状態になります。
私がもっとも恐れているのは、「髄液漏れでの脳脊髄液減少症が何人もの医師に次々と見逃され」いろいろな医師に他の病名をつけられたり、精神的なものとされたりし、それによって患者がますます「髄液漏れ」に気づけなくなってしまうような状況が今後も怒り続けることです。
早く多くの医師が、自分とは無関係ではないとして“脳脊髄液減少症”に興味関心をもっていただきたいと思います。