リカ場 ~私の脳脊髄液減少症のリカバリー~

原因不明の症状が「脳脊髄液減少症」だった私が、世界中に伝えたいこと

エジンバラ産後うつ病質問票の盲点

time 2017/02/18

妊産婦の自殺防止とこどもの虐待防止のために、 母親のメンタルが健康に保たれることが大切であることは、誰もが同じ考えでしょう。

産後うつ病の早期発見が大切であることについては、昨日の記事でも書きました。

現在、産後うつ病の早期発見のための質問票(エジンバラ産後うつ病質問票)が使われているようです。
しかし、そこには、「脳脊髄液減少症が原因での母親のうつ状態には気づけない。」、という盲点があるように、
私には強く感じます。

sponsored link

エジンバラ産後うつ病質問票とは

東京都福祉局のページで見つけた、エジンバラ産後うつ病質問票についてです。
エジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)を活用した産後うつ病の支援を強化する ための文書のようです。

練馬区の例でしょうか?

このEPDSを活用することにより、産後の母親に対して効果的な支援を行うことができます。

とありますが、私は「たとえこのEPDSを活用したとしても、必ずしも適切な支援が行える」とは思いません。

株式会社プロコムインターナショナルのページで見つけた

エジンバラ産後うつ病自己評価票によると、

エジンバラ産後うつ病自己評価票 (Edinburgh Postnatal Depression Scale: EPDS) は、産後う つ病のスクリーニングを目的として、1987 年に Cox らが開発した自己記入式質問紙です 1。原版は英語ですが、現在、58 ヶ国語の翻訳版が作成され、国際的に広く普及しています。(1. Cox JL, Holden JM, Sagovsky R. Detection of postnatal depression. Development of the 10-item Edinburgh Postnatal Depression Scale. Br J Psychiatry. 1987;150:782-786. )

とあります。
この質問内容は、外国で作られたせいか、日本人の私には、内容に違和感を感じる質問もあります。

その内容は

エジンバラ産後うつ病質問票と私の感じた違和感

①笑うことができるし、物事の面白い面もわかる。

②物事を楽しみにして待てる。

③物事がうまくいかない時、自分を不必要に責める。

④理由もないのに、不安になったり心配したりする。

⑤理由もないのに、恐怖に襲われる。

⑥することがたくさんある時に対処できる。

⑦不幸せで、眠りにくい。

⑧悲しくなったり、みじめになったりする。

⑨不幸せで、泣けてくる。

⑩自分自身を傷つけるという考えが浮かぶ。

という質問で、回答は4つの中から選び、それぞれに割り当てられた点数0~3点を当てはめ、合計点数を出すというもののようです。

この中の質問で私が違和感を感じたのは、①、②、③、⑦、⑨、⑩です。

その理由は私から見たら似ていても別な視点でチェックすべきだと感じることが、同一線上に、連動したものとして書かれていることへ対する違和感です。

たとえば、

①は「笑うことができる。」ということと、「物事の面白みがわかる。」、ということが連動した同じこととして扱われていること。

②は「物事を楽しみにする。」ことと「それを待つことができる。」が同等のこととされていること。

③は「物事がうまくいかないこと」と「自分を不必要に責める。」ことが連動したものと捕らえられていること。

⑦は「不幸せと感じること。」と「眠りにくい。」ということが連動して捕らえられていること。

⑨は「不幸せに感じること」と「泣けてくる」ことが連動して書かれていること。

⑩は「自分自身を傷つけるという考え」ということに限定して書かれていること。

です。

その違和感をさらに説明すると、脳脊髄液減少症でのうつ状態を経験した私に実際に起こったことから考えてみます。

たとえば、

①では「笑うこと」はできても、「物事の面白みが感じられなくなること」もあるし、その逆もあるからです。

当事者にとっては、必ずしも、「笑う事ができること」=「物事の面白い面がわかる。」ということではないのです。

②の質問でも、「物事を楽しめる能力」と、「楽しみを待ち遠しく思ったり、待つことができる能力。」は似ているようで違うと感じます。

③の「自分を不必要に責める」感情は、なにも「物事がうまくいかない時」だけではないし、

⑦の質問の「不幸せと感じること」と「眠りにくい、睡眠の質が下がること」は私から見たら基本別ものだし。

⑨の質問の「泣けてくる」のはなにも「自分が不幸せ」と感じることだけではなく、「申し訳なさ」とか「過去への後悔」とか、「意味もなく」とか「恨みつらみ」で「悔しくて」とかさまざまで、とにかく健康な時に比べて感情が過敏になりささいなことで泣けてくることもあるのです。

⑩の質問では、「自分を傷つけるという考えが浮かぶ」という激しいものでなくても、「つらすぎて消えたい。」とか「現実から逃げたい。」とが「こんな迷惑をかける自分は消えた方がいいのでは?」といった考えが浮かぶ場合もあるからです。

どうも、この30年も昔の「うつ病」の質問票にはざっくり感を感じざるをえないのです。

おそらく、病んだ当事者が作ったものではなく、健康な医師か研究者が作ったのではないでしょうか。

そうだとしたら、しかたないとは思います。

エジンバラ産後うつ病質問票の著作権を持つのは、英国王立精神科医学会(Royal College of Psychiatrists)だそうですが、その英国王立精神医学界ですら、脳脊髄液減少症については今現在、いったいどれだけの知識があるというのでしょうか?
脳脊髄液減少症について十分な知識があり、踏まえたうえで、この質問票があるとは、私にはとうてい思えません。

この質問票は、30年も前の、1987年という大昔に海外で作られたそうです。
それはつまり、脳脊髄液減少症の存在すら、世界中の医師も誰一人想像すらしていなかった時代に作られたということです。
その脳脊髄液減少症の概念すら医師の中にない時代の大昔に作られた質問票が、今もなんの疑いもなく平然と「母親たちの支援」の名目で使われ、現在58か国にこのスケールが普及していると知って、逆に私はそら恐ろしくなりました。

なぜなら、産後うつ病はたしかに早期に発見できるかもしれません。
しかし、産後うつ病と見まごうばかりの状態になった母親のその原因に、脳脊髄液減少症があることはまったく考慮されていないからです。そのことにはこの質問票では気づけないし、逆に、脳脊髄液減少症が見逃され、「うつ病」とされてしまうことで、ますます脳脊髄液減少症を「うつ病」という病名が覆い隠し、医師も周囲も本人も、本当の原因に気づきにくくしてしまうのではないか?という怖さです。

この、脳脊髄液減少症については何も加味されていないスケールによって、「うつ」という症状に隠された、脳脊髄液減少症の母親の見逃しが、今後も世界中で起こり続けるのではないか?
それによって、かつての私のような思いをする人が出続けてしまうのではないか?ととても恐ろしくなるのです。

母親を支援するには、脳脊髄液減少症のスクリーニングは必須

いくら関係者が母親のうつ病などの特定の疾患だけに詳しくて、質問票などを使ってうつ病を早期発見しようとしても、

そのために、エジンバラ産後うつ病質問票を活用しても、それを判断する人たちの頭の中に、脳脊髄液減少症の視点が皆無であるような現状では、母親たちのすべては救えない、と私は思うからです。

実際、昔に比べて「うつ病」の知識は社会や医療福祉関係者に広がったとは感じ、以前より早期発見早期治療の診療体制や、支援体制は整ってきたとは感じますが、その「うつ病」とほぼ同じ状態の人に潜んでいる可能性のある、「脳脊髄液減少症」については、社会にも人々にほとんど知識がない、と私は強く感じています。

こんな現状では、いわゆる「産後うつ病(マタニティブルー)」と産後に悪化した「脳脊髄液減少症」のうつ状態、体調不良の状態が、関係者に見分けられるはずがないと思います。

このままでは、母親の脳脊髄液減少症は今後も見逃され続け、脳脊髄液減少症の症状ごとに、さまざまな病名がつけられ、症状の原因である、脳脊髄液漏れなどはそのままにされ続け、根本的な解決策につながらないまま、母子の命を危険にさらし続ける恐れも私は強く感じます。

国が脳脊髄液減少症対策に早急に取り組む必要性

国も都も、他の自治体も、医師も、看護師も、保健師も、すべての医療、福祉にかかわる人たちが、脳脊髄液減少症についての知識がないままでは、たとえ、このEPDS(エジンバラ産後うつ病質問票)を活用したとして、うつ病が早期に発見されたとしても、それが、もし、脳脊髄液減少症が原因でのものであったなら、けっして「適切な支援」には結びつかないことでしょう。

実際、私が、脳脊髄液減少症を見逃されていた当時の時代の私の状態を思い出して、こちらのすぐ合計がでる

エジンバラ産後うつ病チェック表を見つけたので実際に

チェックしてみると、なんと26点でした。
この高い点数は、あくまで当時の脳脊髄液減少症をわかる前の私の状態を思い起こしてのチェックです。

この点数を見た診断者は、おそらく私のことを「うつのリスクの非常に高い状態」だと判断することでしょう。

唯一、当時の私が当てはまらなかったのは 10の「自分自身を傷つけるという考えが浮かんできた。」が「全くない。」あるいは「めったにない。」ということだけです。

当時、精神的身体的に限界で「もう現実から逃げたい」とは思いましたが、「自分自身を傷つける」という考えとは少し違っていたので、「全くない。」あるいは「めったにない。」だと判断したのですが、「つらくて現実から逃げたい」という心理状態は自殺者にも起こりうる心理状態なので、身体的に傷つけるという考えは浮かばなくても、あまり精神的にいい状態とは言えないと思います。

質問票の10以外はすべて、非常に当てはまる状態でした。

9点以上であれば、「うつ」の疑いが高いとのことですから相当重い方でしょう。

このチェック表での結果26点を見て、見て私を「うつ」と診断しない医師がいるでしょうか?

しかし、その「うつな精神状態」を引き起こしている原因が
実は脳脊髄液減少症だと気づける医師は、
当時はもちろん、今もほとんどいないでしょう。

脳脊髄液減少症の治療を重ねた今の私がこの質問票をチェックしてみました。

すると、30点満点中、8点という結果でした。

9点以上がうつの疑いがあるそうですから、まだぎりぎりですが、セーフです。
それにしても当時の26点という点数から比べたら、かなり改善していると、やってみて実感しました。

脳脊髄液減少症でも、うつ状態とほぼ同じ状態になることを、広く社会に知っていただき、専門家には対策をたてていただきたいと思います。

sponsored link

自己紹介

lily

脳脊髄液減少症のサバイバーです。私が生きているうちに「原因不明」「異常なし」「精神的なもの」とされたり、何かすでに別の病名がついている人たちの中に、脳脊髄液減少症が隠れている可能性について、広く社会に伝えたいと思っています。

「脳脊髄液減少症を知っていますか」

最近のコメント

2023年5月
« 9月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

amazon

広告

広告

リンク集

にほんブログ村ブログパーツ

人気ブログランキングブログパーツ



sponsored link