2020/07/04

前回の記事「 救急車の頻回利用者に潜むもの ① 」の記事の続きです。
昨日は、NHKの首都圏ネットワークを見て、「救急車を何回も呼ぶ人の中に、心の病がある。」という、千葉市のレポートを知り、
救急車の頻回利用者を「心の病」と決めつけるのは危険であり、脳脊髄液減少症が見逃されている可能性があるのではないか?という、私の考えを書きました。
今日は、昨日書ききれなかったことを書きます。
脳脊髄液減少症については、社会にあまりにも情報が少なく、どんな症状がでて、それが放置されるといかにさまざまな問題が起こるかについては、まだまだ知られていません。
それを知っているのは、私のような当事者と、私のような脳脊髄液減少症患者をたくさん診察して、患者の話しを聞いている一部の医師だけでしょう。多くの、医師も、救急隊員も、福祉関係者も、脳脊髄液減少症の患者の実態については、知らない人が多いことでしょう。
脳脊髄液減少症の症状や、脳脊髄液減少症の症状が診断も治療もされないまま、「心の病」と誤診されると、
その人の生活や仕事や人生に、どんな悪影響を与えるかを知らない人たちには、原因不明の症状をたびたび訴えて、救急車を呼ぶ人たちの中に、脳脊髄液減少症が潜んでいても、見抜くことなど、できるわけがありません。
私は、自分の経験から脳脊髄液減少症を正しく診断できる医師が少ない現状では、今でも、「心の病」「精神的なもの」と誤診されている人たちが数多く潜在している気がします。
特に、脳脊髄液減少症をよく知らない医師に、その患者の症状は実は脳脊髄液減少症が原因で起こっているのに、「うつ病」や「パニック障害」と誤診されるのは、当たり前だと思います。
体のあらゆる検査でも異常が見つからず、それでも、症状を訴える患者には、症状から「心の病」とするしかないでしょうし、それらの症状は脳脊髄液減少症でも起こり、脳脊髄液減少症の一部の症状は、うつ病、パニック障害とそっくりだからです。
これらのことは、あまりにも情報がなく、多くの人が何の知識も持っていません。
消防だろうが福祉関係者だろうが、NPO関係者の方だろうが、医師だろうが、脳脊髄液減少症に対して認知度が非常に低いのは、今も、昔とたいして変わりません。
この10年以上の、医学界の、かたくななまでの、脳脊髄液減少症に否定的な医師の激しい批判の嵐を超えて、
この春ようやく、脳脊髄液減少症の治療法であるブラッドパッチ治療が健康保険適用になりましたが、いくら病態の存在が認められ、最低限の診断法が認められ、最低限の治療法が健康保険適用になったとしても、
まだまだ多くの患者は救われないままです。
本当の患者の早期発見早期治療に至れる時代は、まだまだ先のような気がします。
世間一般に認知度が上がりさまざまな不定愁訴に隠されていることに誰もが早期に気づけるようになるのは、
あと30年ぐらいかかるのではないか?と私は危惧しています。
まずは、医療関係者、福祉関係者、学校関係者、多くのお母さんたちに、脳脊髄液減少症とはどんな症状がでるのか?いかに医師にも見逃されやすく、いかに「心の病」とされやすいか?いかに、誤診されやすいか?
いかに、治療に取り組む医師が少ないか?
どうすれば気づけ、どうすれば、回復できるのか?について、学び知っていただきたいと思います。
千葉県庁がホームページで公表している千葉県内の脳脊髄液減少症診療医療機関
ただし、救急車の頻回利用者の中に脳脊髄液減少症が見逃されている可能性を感じているのは私だけかもしれません。
脳脊髄液減少症の「救急車を呼びたくなるほどの症状」を経験したことのない人たちからみたら、一般的な体の検査で異常がないと医師に診断されれば、原因として、「心の病」は思いついても、おそらく「脳脊髄液減少症」は思いつかないでしょう。
しかし、私は、自分が経験しているから、思いつくのです。脳脊髄液減少症は、医師にも見つけられず、
その正体を隠して、人の苦しみの影に潜み続けることを、私は自分の経験から知っているかこそ、その可能性を想像できるのです。
「心の病」と決めつける前に、まずは、「脳脊髄液減少症ではない。」ことを確認してから「心の病」の支援に励んでいただきたいものです。そうでないとその人の苦しみの根本解決にはならないし、脳脊髄液減少症の早期発見と、早期治療、社会と医療の脳脊髄液減少症の周知徹底がなければ、ひいては、救急車の適正利用の推進にもつながらないと私は思うのです。